融資型・不動産投資型クラウドファンディングの違いは?特徴や主なサービスも

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投資型クラウドファンディングにはさまざまな種類があり、実際に投資をする場合は違いについて理解しておくことが重要です。しかし、どのように違うのかよくわからないという方も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回は、「融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)」と「不動産投資型クラウドファンディング」の特徴やメリット・デメリットについて紹介し、違いを比較します。また、それぞれの代表的なサービスも紹介しますので、投資を考えている方はご参考下さい。

目次

  1. 融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)とは
  2. 融資型クラウドファンディングのメリット
    2-1.投資の時間や手間がかからない
    2-2.短期間の運用も検討できる
    2-3.少額から運用できる
  3. 融資型クラウドファンディングのデメリット
    3-1.元本割れリスクがある
    3-2.運用期間中の途中解約はできない
    3-3.早期償還や延滞が発生するケースがある
    3-4.事業者が倒産する可能性がある
  4. 不動産投資型クラウドファンディングとは
  5. 不動産投資型クラウドファンディングのメリット
    5-1.1~10万円から少額投資できる
    5-2.優先劣後スキームにより損失から保全される
    5-3.物件情報を把握できる
    5-4.実物不動産を購入するより手軽に投資できる
  6. 不動産投資型クラウドファンディングのデメリット
    6-1.元本割れのリスクがある
    6-2.融資によるレバレッジ効果は活用できない
  7. 融資型クラウドファンディングと不動産投資型クラウドファンディングの違い
  8. クラウドファンディング投資の代表的なサービス
    8-1.融資型クラウドファンディングのサービス
    8-2.不動産投資型クラウドファンディングのサービス
  9. まとめ

1.融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)とは

融資型クラウドファンディングとは、インターネット上でファンドの募集を行なって投資家から出資を募り、ファンド業者を通じて集まった資金をまとめて事業者に融資する仕組みのことをいいます。融資型クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングとも呼ばれます。

融資型クラウドファンディング業者は、出資する投資家と匿名組合契約を結びます。これは、業者が行なう事業(この場合は融資によるファンド運用)で発生した利益を組合員(投資家)に分配するという契約です。

一方で、融資型クラウドファンディング業者は資金の借り手の事業者と金銭消費賃借契約を結び、投資家の出資で集まった資金を元手に融資します。

融資を受けた事業者は利息と合わせて元本を返済し、利息から管理報酬などを差し引いた分配金が投資家にリターンとして分配されます。

融資型クラウドファンディングは、リスクを取りながら効率的に資産運用を行ないたい方のニーズと、資金を調達したい企業などのニーズの双方に応えられる仕組みとなっています。

2.融資型クラウドファンディングのメリット

融資型クラウドファンディングのメリットには下記のメリットがあります。

  • 時間や手間がかからない
  • 短期間で運用できる
  • 少額から運用できる

2-1.投資の時間や手間がかからない

融資型クラウドファンディングに出資して運用が始まると、満期となって償還を迎えるまで、株式トレードやFXトレードのように、値動きやニュースなどを頻繁に確認する必要もありません。

時間や手間がかからないため、投資に時間を掛けられない方でも利用しやすい投資方法といえます。

2-2.短期間の運用も検討できる

融資型クラウドファンディングの運用期間は案件ごとに異なりますが、多くの場合3ヶ月から1年程度に設定されており、短期間での運用が可能です。

いきなり長期投資を始めるのは不安に感じる方でも、短期間で運用できる融資型クラウドファンディングなら検討しやすいといえるでしょう。

2-3.少額から運用できる

融資型クラウドファンディングは1口1万円から投資できる案件も多く、少額から運用できるのもメリットです。

単元株制度のある国内株式投資などでは数十万円程度の資金が必要になる場合もありますが、1万円から始められる融資型クラウドファンディングは、投資を始める際のハードルが低いといえます。

3.融資型クラウドファンディングのデメリット

融資型クラウドファンディングには下記のデメリットがあります。

  • 元本割れリスクがある
  • 運用期間中の途中解約はできない
  • 早期償還や延滞が発生するケースがある
  • 事業者が倒産する可能性がある

3-1.元本割れリスクがある

融資型クラウドファンディングは、銀行預金のように元本が保証された金融商品ではありません。

借り手の事業者の業績悪化などによって返済が遅れたり、返済できなくなったりすることもあります。

融資型クラウドファンディングにおいては「プロジェクト(事業)の進捗」が担保となるため、プロジェクトが中止された場合には債務不履行となり元本割れが発生します。

3-2.運用期間中の途中解約はできない

融資型クラウドファンディングのほとんどの案件では、運用期間中の途中解約が原則できません。

運用期間中は出資金が拘束され換金は不可能になるため、余剰資金で投資を行なうことが重要になります。

途中解約ができないということを念頭においたうえで、慎重に投資判断を行いましょう。

3-3.早期償還や延滞が発生するケースがある

融資型クラウドファンディングでは、早期償還や延滞が発生する可能性があります。

融資先が予定日よりも早く資金を全額返還する早期償還が行なわれた場合、募集時に謳われていた運用成果が挙げられなくなることもあります。

また、融資先が返済日の延長を申し入れるケースがあります。この場合、ファンドの運用期間も延長されることになってしまうため、予定日に償還金が戻ってこないケースもあります。

ファンドの償還金を別の資産運用への利用や支払いの予定に充てている場合は、予定が狂うことがあるため、注意が必要です。

3-4.事業者が倒産する可能性がある

融資型クラウドファンディングのリスクとして、運営事業者が倒産してしまう可能性があります。このようなリスクを事業者リスクと言い、最悪の場合、運営事業者の経営が悪化して倒産することで投資家が預けている資金が返ってこなくなる可能性があります。

融資型クラウドファンディング自体が新しい仕組みであることに加え、運営事業者は設立から数年の比較的規模の小さい新興企業も多く含まれます。なかには、経営状態に不安を抱えている企業がある可能性もあります。

倒産によって損失が発生するリスクを低減させるために、複数のサービスを利用して分散投資を行なう、事業者のウェブサイトで財務状況を確認するなどの対策を講じることが大切です。

4.不動産投資型クラウドファンディングとは

不動産投資型クラウドファンディングとは、一般の投資家から出資を募り、集まった資金を利用して不動産の取得・運営を行ない、発生した賃貸料収入や不動産の売却益が投資家に分配される不動産投資法です。

実物の不動産投資を行なう場合、多額の資金が必要になるほか、修繕管理・入居者管理などの手間が発生します。

不動産投資型クラウドファンディングでは、1口1万円程度から投資できる案件も多く、修繕管理や入居者管理にかかる手間やコストをクラウドファンディング業者に任せられるため、手軽に不動産へ投資できます。

5.不動産投資型クラウドファンディングのメリット

不動産投資型クラウドファンディングには下記のメリットがあります。

  • 1~10万円から少額投資できる
  • 優先劣後スキームにより損失から保全される
  • 物件情報を把握できる
  • 実物不動産を購入するより手軽に投資できる

5-1.1~10万円から少額投資できる

不動産投資型クラウドファンディングサービスの最低投資額は、1万円に設定されていることが多いです。

実物の不動産投資では、融資を受けたうえで何百万円・何千万円の物件購入費用や取得費用を工面する必要があります。

少額から不動産に投資できる投資方法ということが、不動産投資型クラウドファンディングのメリットとなります。

5-2.優先劣後スキームにより一定割合まで損失を保全できる

不動産投資型クラウドファンディングサービスでは、優先劣後スキームを用意しているケースがあります。

優先劣後スキームとは、投資額に対する損失が発生した場合、優先出資者である投資家ではなく、劣後出資者である運営会社が先に損失を負担する仕組みをいいます。

優先劣後スキームが設定されている場合は、投資額に対する一定割合までの損失は運営会社が負担するため、投資家には影響がありません。

優先劣後スキームが設定されているかどうかは、プラットフォームや案件によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

5-3.物件情報を把握できる

不動産投資型クラウドファンディングでは、投資対象物件の情報が公表されていることがあります。

物件の所在地や概要、面積、構造、状態などがプラットフォームに記載されているため、どの物件に投資をするのかを投資家が把握できます。

築年数や所在地などから資産価値を推測することも可能なので、投資先として妥当なのかも判断しやすいといえます。

ただし、サービス提供会社や案件によって公開されている情報の範囲は異なります。中にはほとんど情報が公表されていないケースもあるため注意しましょう。

5-4.実物不動産を購入するより手軽に投資できる

不動産投資型クラウドファンディングでは、会員登録され済ませててしまえば、資金を準備するだけですぐに投資を始められます。物件の運営や管理は運営会社が代理で行うため、大きな手間がかかりません。

一方、実物の不動産に投資する場合、不動産物件の検索から購入、購入後の管理・運営などを行なわなければなりません。

購入には数千万円規模の資金、融資を受けるためには審査の準備が必要です。そのほか、各種保険への加入手続きや、修繕・リフォームなどさまざまな手続き・対応が必要になります。

実物不動産を購入するよりも、手軽に不動産に投資できるというのは、不動産投資型クラウドファンディングの大きなメリットとなります。

6.不動産投資型クラウドファンディングのデメリット

不動産投資型クラウドファンディングには下記のデメリットがあります。

  • 元本割れのリスクがある
  • 融資によるレバレッジ効果は活用できない

6-1.元本割れのリスクがある

不動産投資型クラウドファンディングには、元本割れのリスクがあります。

例えば、不動産市場が一斉に暴落するような状況では、不動産の価値が大きく下落することもあります。

このような状況で事業者が投資家への返済のために不動産を売却する場合、買い叩かれて想定の不動産評価額よりもはるかに安い価格で売却せざるえないケースがあり、結果的に元本割れが起こることがあります。

6-2.融資によるレバレッジ効果は活用できない

実物の不動産投資を行なう場合、現金のみで物件を購入するのではなく、投資用ローンを利用して物件を購入できるメリットがあります。

融資を受けることで、自己資金以外のお金を使って物件を購入して利益を上げられるため、現金のみで不動産投資を行なうよりも大きなリターンが期待できます。これが、融資によるレバレッジ効果です。

不動産投資において、不動産価値の変動は他の投資対象と比較して緩やかであることや、不動産を担保として設定できることから、多くの金融機関が不動産投資用のローン商品を扱っています。

一方、不動産投資型クラウドファンディングは複数の投資家から出資金を集めて不動産を運用する仕組みのため、原則的には手元の資金以上の運用が出来ず、レバレッジを活用することが出来ません。

不動産投資型クラウドファンディングは、自己資金以上の大きな利益を上げたい場合ではなく、コツコツと資産運用を行ないたい場合に適している投資手法といえます。

7.融資型クラウドファンディングと不動産投資型クラウドファンディングの違い

融資型クラウドファンディングと不動産投資型クラウドファンディングの違いの1つが、リスクに対する対策です。

不動産投資型クラウドファンディングでは優先劣後スキームによる損失保全、融資型クラウドファンディングでは担保の設定によってデフォルトリスクの低減を図ります。

ただし、どちらのリスク対策もすべての案件に確実に設定されているわけではなく、全損失をカバーするものでもありません。優先劣後スキームの有無や担保評価について確認しておくことが大切です。

また、同じクラウドファンディングでも、融資型は「事業者への融資の返済」、不動産投資型は「不動産の取得(売買)と運営」によって運用されます。

融資型では、事業者からの返済金利からリターンが発生します。一方、不動産投資型では、賃貸料収入によるリターンや物件売却によるリターン(償還)が発生します。

さらに、それぞれの事業が異なるため、関連する法律・規制・登録なども異なります。

融資型クラウドファンディング

  • 第二種金融商品取引業の登録が必要(匿名組合契約が金融商品取引法のみなし有価証券に該当するため)
  • 貸金業の登録が必要(資金を貸し付ける行為が貸金業法に規定する貸付行為に該当するため)

不動産投資型クラウドファンディング

  • 国土交通省の許可が必要(不動産特定共同事業法の基づく取引となるため)

(※不動産投資型クラウドファンディングも匿名組合契約に基づいた契約形態だが、不動産特定共同事業契約となり、契約上の権利はみなし有価証券の定義から外れるため、第二種金融商品取引業の登録は不要。)

その他、融資先企業の匿名性が高い融資型クラウドファンディングと比較して、不動産投資型クラウドファンディングは投資先物件の情報が公開されていることも多く、様々な情報から比較検討しやすい特徴があります。

しかし一方、融資型クラウドファンディングは金利収入であることから原則的に予定分配率(利回り)が一定で、収益予測を立てやすいメリットがあります。不動産投資型クラウドファンディングは、想定価格で不動産が売却できない場合などで、案件募集時の予定分配率が大きく下がる可能性もあります。

このように、融資型クラウドファンディングと不動産投資型クラウドファンディングは特徴に違いがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。投資を検討する際はこのような大きな違いを念頭に置き、利用するサービスを検討してみると良いでしょう。

8.クラウドファンディング投資の代表的なサービス

最後に、融資型クラウドファンディング・不動産投資型クラウドファンディングの代表的なサービスを紹介します。

8-1.融資型クラウドファンディングのサービス

まずは、融資型クラウドファンディングの主なサービスを見ていきましょう。

  • オーナーズブック(OwnersBook)
  • CRE Funding
  • Funds(ファンズ)
  • COMMOSUS(コモサス)

オーナーズブック(OwnersBook)

オーナーズブックオーナーズブックは東証グロース上場企業ロードスターキャピタルの100%子会社であるロードスターインベストメンツ株式会社が運営するサービスで、不動産に特化した融資型クラウドファンディングサービスです。

各案件に返済金額をカバーできる可能性が高い不動産を担保に設定しており、融資に返済にかかるリスクを低減しているのが特徴です。

不動産鑑定士を含む不動産投資の専門家が厳選した案件を取り扱い、投資家のリスク許容度に応じて不動産の投資タイプを選択可能です。

CRE Funding

CRE FundingCRE Fundingは東証プライム上場企業のCREグループが運営するオンラインファンドで、個人投資家に物流不動産への投資機会を提供する融資型クラウドファンディングサービスです。

利回りが2.5%~4%程度とやや低いものの、グループ会社によるマスターリースや担保物件が設定されているため、元本割れのリスクを抑えながら投資可能です。

Funds(ファンズ)

Funds(ファンズ)株式会社クラウドポートが運営する国内初の「貸付ファンド」オンラインマーケットです。

国内不動産や事業者貸付、マイクロファイナンス、リースなど、さまざまなテーマの貸付ファンドに分散投資ができるのが特徴です。

1円から投資可能で、投資期間は4ヶ月から1年程度と比較的短いため、少額投資や短期投資家を始めたい投資初心者の方にも適したサービスです。

COMMOSUS(コモサス)

COMMOSUS(コモサス)COMMOSUS(コモサス)は、株式会社コモサスが運営するソーシャルレンディングサイトです。

案件によって最低投資額は異なりますが、ほとんどのファンドが1万円から投資可能となっており、あまり投資の経験のない人でも少額から始めることができるメリットがあります。予定利回り3.0%〜7.0%(2019年9月〜2021年8月の取扱実績、年率・税引前)と、リスクとリターンのバランスも検討しやすいのが特徴です。

また、融資型クラウドファンディングでは、融資先の企業名や具体的な事業内容などが公表されていないケースもあります。しかし、コモサスでは融資先の社名が公開されており、どのような事業のために資金を必要としているのか、また、返済計画や事業計画の確認も可能です。

8-2.不動産投資型クラウドファンディングのサービス

不動産投資型クラウドファンディングのサービスもいくつか見ていきましょう。

  • COZUCHI
  • Rimple
  • TECROWD(テクラウド)

COZUCHI

COZUCHICOZUCHIはLAETOLI株式会社が運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスです。運営会社は、不動産ファンドをメインに、リノベーションや買い取り事業など、幅広く不動産事業を展開しています。

厳選された好立地で収益性の高い不動産に1口1万円から出資できるうえ、途中解約ができるため、換金性にも優れています。

優先劣後方式を採用しており、リスクを抑えながら堅実な運用を期待できるサービスとなっています。

Rimple

不動産投資クラウドファンディング リンプル(Rimple)リンプルは東証プライム上場グループ企業のプロパティエージェント株式会社が運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスです。

運営会社が企画・開発したマンションを中心に、1口1万円から投資できます。運用期間は6ヶ月程度で年率利回りは5%前後となっています。

優先劣後方式を採用し、損失の30%まで投資家の資金が守られるため、損失リスクを抑えながら投資可能です。

TECROWD(テクラウド)

TECROWD(テクラウド)TECROWD(テクラウド)は、モンゴルなど中央アジアにある新興国不動産を扱う不動産投資型クラウドファンディングです。

日本で運営されている不動産投資型クラウドファンディングの多くは、日本国内の不動産案件を運用対象としています。しかし、TECROWDは日本国内の不動産ではなく、中央アジアの不動産物件を専門に扱っている特徴があります。

また、TECROWDを運営するTECRA株式会社は日本や海外で建設と不動産を扱う会社です。豊富な物件の施工実績は、TECROWDで運用される不動産の品質にも活かされています。

TECROWDで運用される新興国の不動産は、日本の物件と同じ基準で工程・品質の管理・監督を行っている物件が対象となります。

まとめ

今回は融資型クラウドファンディングと不動産投資型クラウドファンディングの特徴や代表的なサービスについて紹介しました。

同じクラウドファンディングでも、融資型と不動産投資型で投資対象や運用方法は全く異なります。そのため、それぞれの特徴やメリット・デメリットをよく理解して、投資判断を行なうことが重要になります。

クラウドファンディング投資を検討する際は、このような大きな違いを念頭に置き、利用するサービスを検討してみると良いでしょう。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。