投資信託は、日々忙しく働く会社員の方や副業が制限されている公務員の方でも、無理なく投資に参加でき、資産形成の一助となる金融商品です。毎日相場ばかり見ていられない、という方も、月次レポートの内容を確実に抑えておけば運用状況を把握でき、運用成果をもとに運用方針を判断することができます。公務員の方は本業以外の貴重な収益源として、投資信託による資産形成を活用することも可能です。
この記事では、働きながら資産形成を行うにあたって、知っておくと良いことや、注意点などをまとめています。将来のための資産運用をお考えの方はご確認ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 仕事が忙しい会社員・公務員にうれしい投資信託
1-1.相場やマーケットに縛られずに済む - 公務員は長期運用で資産形成
2-1.投資信託の長期運用で資産形成 - 投資信託のメリット・デメリット
3-1.投資信託のメリット
3-2.投資信託のデメリット - 投資信託の具体的な運用方法
4-1.投資信託は長期運用が強み
4-2.短期運用で利益を狙うファンド
4-3.ブル・ベア型とインデックス型ファンドの比較 - 投資信託を運用する上での注意点
5-1.定期的な見直しが必要
5-2.運用手法や方針を理解する
5-3.運用コストの信託報酬に注目 - まとめ
1.仕事が忙しい会社員・公務員にうれしい投資信託
毎日忙しく仕事している方にとって、日々相場をチェックして、いいタイミングで金融商品の売買を行うのは難しいでしょう。相場のチェックもままならないこともあると思います。その点、運用を一任できる投資信託は会社員や公務員の方にとって、無理なくマーケットに参加できる運用商品なのです。
1-1.相場やマーケットに縛られずに済む
投資信託はファンドマネージャーに運用を一任しますので、日々の相場の動きや、関連ニュースを細かく確認する必要がありません。自分でポートフォリオを組んで、銘柄や運用商品を細かく確認しながら運用を進めるのは、本業がある方には至難の業です。
しかし信託報酬を払いつつ運用をファンドマネージャーへ一任すると、本業に支障をきたさずにマーケットに参加することができます。運用は一任できますが、運用状況は毎月報告される月次レポートにて、しっかり確認しておきましょう。
2.公務員は長期運用で資産形成
公務員は法律の規定により、副業を行うには原則として許可が必要です。納税される税金が給料となっているため、本業に専念しないと市民に示しがつかない、という理由からとされています。したがって公務員の方にとって資産運用は、将来の備えとして抑えておきたい重要ポイントの一つとも言えます。
2-1.投資信託の長期運用で資産形成
公務員は安定的な収入が見込める点が強みですが、資産を全て現金で保有しておくのは得策ではありません。実質的に物価は年々上がっており、現金のまま保有していると、物価の上昇に対して資産の価値はそのままになってしまい、釣り合いが取れなくなってしまうのです。
預金の利率が悪い現状では、資産の長期運用にて物価上昇に見合う資産価値の向上が必要とされています。
3.投資信託のメリット・デメリット
日々忙しく働く方にとって心強い運用商品である投資信託ですが、運用上のメリットやデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
3-1.投資信託のメリット
以下、4点のメリットをピックアップしました。
少額から投資できる
株の個別銘柄やREIT、債券に投資するにはある程度まとまった資金が必要ですが、投資信託は数百円から数千円の単位で投資に参加することができます。少額で多くの銘柄にまとめて投資できる点は、投資信託の大きなメリットです。
運用は専門家におまかせ
自力でポートフォリオを組むと、自分で納得のいく売買ができる点がメリットですが、日々忙しく働く方にとっては簡単ではないでしょう。しかしファンドマネージャーへ運用を一任する投資信託では、難しい局面での判断を専門家へ任せることができます。
仕事中に投資判断のことばかり考えていて、本業がおろそかになってしまっては元も子もありません。日々の運用や判断はファンドマネージャーに任せて、業務に専念できるのも大きなメリットの一つです。
幅広い資産へ分散投資できる
投資信託は数百円から分散投資の効果を得ることができます。自力でいくつかの資産へ分散投資する場合、ある程度まとまった資金が必要ですが、投資信託は複数の資産・銘柄に分散投資を行うため、最低数百円の投資からでもいくつかの資産へ分散投資でき、リスクを抑えることができるのです。
積立運用も可能
つみたてNISAやiDeCoの登場以来、注目されている積立投資ですが、投資信託は長期間の積立運用に親和性が高く、インデックスファンドを中心に、金融庁からも推奨されているファンドもあります。
毎月の余裕資金を少しづつ投資に回す運用スタイルは、日々働く社会人にとって、有効な資産形成の方法となっています。また、つみたてNISAの非課税制度を合わせて利用すると、換金時の収益に対して非課税になるメリットも見逃せないポイントです。
3-2.投資信託のデメリット
主なデメリットは以下の3点です。
継続的に運用コストがかかる
投資信託はファンドを保有している間、信託報酬というコストがかかり続けます。信託報酬は預かり資産に対して年率の計算となり、実際には日割り計算され、信託報酬の金額を引いた基準価額が公表される仕組みです。
インデックスファンドは、信託報酬が比較的低く設定されていますが、アクティブファンド、特にヘッジファンドスタイルなど複雑な運用を行うファンドでは高めに設定されています。信託報酬は投資信託の手数料の中で、もっとも大きな運用コストとなり得ますので、事前の確認が必要です。
運用手法が複雑なファンドは内容がわかりにくい
インデックスファンドやバランス型ファンドは比較的運用の内容が分かりやすいのですが、相場の状況に関わらず常に収益を出そうとするヘッジファンドスタイルのファンドは、運用の手法がとても複雑で理解するのが大変です。
複雑な運用を行うファンドほど信託報酬が高い傾向にありますので、運用方法もわからないまま日々高い運用コストを払い続ける、という状況にもなりかねません。投資信託は、一任するメリットとデメリットが混在している運用商品なのです。
元本保証はない
投資信託以外の運用商品にも言えることですが、元本保証はありません。運用次第では、元本割れのリスクがあります。
許容できるリスクが大きいほど(=期待するリターンが大きいほど)元本割れのリスクも大きくなりますので、運用をスタートする時は、許容できるリスクをしっかりと考えておく必要があります。
4.投資信託の具体的な運用方法
投資信託には長期運用と短期の利益を狙う運用スタイルがあります。
4-1.投資信託は長期運用が強み
投資信託は基本的に、長期視点でゆるやかに収益を積み上げていく運用に強みがあります。長期運用に適した具体的なファンドのタイプは以下の2点です。
インデックス型ファンド
インデックスファンドは、株式や商品などの指標と連動する運用成績を目指します。代表的な株式指数は、日経平均、ダウ平均株価などがあり、商品では原油や金などが挙げられます。
長期運用に適しているポイントは、運用コストの低さです。信託報酬が低く抑えられているので、長い期間保有しても収益が運用コストに圧迫されにくいのです。
5年、10年の視点でみると日本やアメリカの株式市場の利回りは緩やかにプラスとなっていますが、株式指数インデックスファンドの長期運用は、株式市場のリターンと同じ利回りを目指すことになります。原油や金、REITのインデックスファンドもありますが、5年、10年あるいはより長期間の運用成績を考慮して、長期運用に適しているか判断する必要があります。
バランス型ファンド
インデックスファンドは、株、コモディティ(商品)などの単一資産に投資しますが、バランス型ファンドはいくつかの資産に分散投資し、収益の安定をはかります。主な構成銘柄は、国内外の株式、債券、REITなどで、4資産、8資産分散のバランスファンドがメインとなっています。定期的なリバランスをファンドが行ってくれる点が特徴です。
バランス型ファンドはリスクを抑えつつ、長期の資産形成に最適化されたファンドです。バランス型ファンドの中でも、リスクや信託報酬に差がありますので、選ぶ時は内容をしっかり確認しまししょう。
4-2.短期運用で利益を狙うファンド
投資信託には一時のチャンスを積極的に狙って、短期で収益を上げるファンドもあります。
ブルベア型
ブルは上昇相場のことを指し、ベアは下落相場のことを指します。ブルは牛が下から角を突き上げる、ベアは熊が上から爪を振り下ろすイメージで名づけられたものです。
ブル型ファンドの特徴は上昇相場の時に、レバレッジを効かせて通常の値動きの3倍や4倍の値幅を獲得でき、収益も3倍、4倍となる点です。逆にベア型は、下落相場において通常の3倍や4倍の値幅で収益を獲得できるファンドで、ブル型の下落相場版と言えます。
レバレッジ倍率は各ファンドで設定されていますが、4倍程度のファンドが人気を集めています。ブルベア型ファンドを上手く活用することで色々な相場状況にも対応できますが、読みが外れるとレバレッジ倍率ぶんの大きなリスクを負うことにもなるので注意が必要です。
トレンドが明らかな時は、ピンポイントでブルベア型の投資信託を活用して収益を狙うこともできますが、細かい売買が必要となるため長期運用には適していません。
4-3.ブル・ベア型とインデックス型ファンドの比較
日経225インデックスファンドとブルベア型ファンドの運用成果を表にまとめました(2021年10月1日時点の情報です)。
ブルベア型ファンドは、ピンポイントで買い付ける方が多いため、純資産の変動が多く、トータルリターンも安定していません。対してインデックスファンドは、純資産は積み上げられており、3年の期間で見ると2割程度の収益を確保しています。
ファンド名 | トータルリターン | 純資産額(百万円) | 信託報酬(税込) | 基準価額 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
6ヶ月 | 1年 | 3年 | ||||
ニッセイ日経225インデックスファンド | -1.47% | 25.70% | 24.72% | 193,949 | 0.28% | 33,913円 |
SBI 日本株4.3ブル | -14.80% | 112.86% | -2.09% | 25,716 | 0.97% | 11,633円 |
SBI 日本株3.7ベアⅢ | -8.37% | -67.66% | -87.75% | 6,330 | 0.91% | 821円 |
5.投資信託を運用する上での注意点
投資信託を運用するにあたって、気をつけたいポイントを3つにまとめました。
5-1.定期的な見直しが必要
投資信託を長期運用するにあたって、定期的な見直しは必要です。毎月の月次レポートを確認しつつ、半年や1年のタイミングで資産全体の点検や見直しを検討するとよいでしょう。運用に問題がなければそのまま継続し、現金資産に余裕がある場合、追加投資も検討します。
長期運用の場合、初期の段階で問題がなければ、その後はほったらかしにしてしまう方も見られますが、将来のリスクに適切に対応するためにも定期的な資産の見直しは行うようにしましょう。
5-2.運用手法や方針を理解する
先述の通り投資信託には様々な運用手法があり、中にはあらゆる相場状況でも収益が出るように細かく売買を繰り返すファンドがあります。
絶対収益型と呼ばれるファンドは、下落相場でも収益が出るような運用を行いますが、流動性の低い商品への対応を誤ると、損失を被る可能性もあります。目論見書をしっかり確認し、内容を理解した上で投資するようにしましょう。
5-3.運用コストの信託報酬に注目
最近では購入手数料なしのノーロードが増えてきましたので、手数料チェックをついおろそかにしがちですが、ファンドを保有している間、ずっとかかり続ける信託報酬はしっかりチェックしましょう。信託報酬はファンドによって差が大きく、シンプルな運用を行っているインデックスファンドに比べて、細かく売買を行うアクティブファンドは信託報酬が高い傾向にあります。
また、信託報酬は運用成績に影響を与えるため、料率と合わせて過去のパフォーマンスも確認しましょう。
まとめ
毎日忙しく働く会社員の方や、副業に制限がある公務員の方は、投資信託の運用スタイルを上手く活用しましょう。相場を逐一確認しなくとも、ファンドマネージャーの責任で運用を行ってくれますので、運用管理の負担を軽減することができます。
運用を一任できるので管理は楽ですが、定期的な見直しや運用のチェックは必要です。大事な資産運用を任せるわけですから、運用コストや、運用手法の確認など、重要なポイントを事前にしっかりと確認しておきましょう。
sayran
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