「投資」と「投機」の違いがわからないという人もいるのではないでしょうか。この記事では「投資」と「投機」の違いと、それぞれのメリット・デメリット(リスク)について解説します。自身にどちらのスタイルが合っているかを確かめる際など、ご参考にしてください。
目次
1.投資は「付加価値」を生み出す
投資は、対象となる資産が付加価値のあるものでなければいけません。たとえば、株式や不動産などの資産などです。
株式の場合、株式会社は付加価値のある製品やサービスを世の中に提供することで売上を生み、経費を差し引いた後に利益を生みだすのです。株主は利益の一部を配当として受け取り、残りは事業拡大のための投資として会社に留保されます。
そして、不動産の場合、オフィスビルや賃貸住宅には家賃が発生し、オーナーはそれを定期的に受け取ります。もちろん、物件の修繕や管理には一定の費用がかかりますが、それらを差し引いた上で、オーナーは投資に対するリターンを受け取ることができるのです。
このように、株式や不動産などは、時間はかかるものの、着実に付加価値をつけて価値を高めていく資産なのです。
2.投機は「ゼロサムゲーム」
一方、為替や商品(金や原油など)は価格そのものが取引の対象となり、売り手と買い手の損益の合計がゼロになるものは投機と定義できます。合計の和(英語でsum)がゼロであることから、「ゼロサムゲーム」とも呼ばれています。
ゼロサムゲームの代表的な例として、金(ゴールド)の取引があります。金のような商品の取引は、利息がなく、価格が上がるか下がるかがすべてです。
株式でも「今日買って、明日売る」というように、短期間で利益を上げることは可能です。しかし、これは投資ではなく、投機的な取引になります。企業が今日から明日という短期間で得られる利益は、1年間の利益の365分の1に過ぎず、利益の増加を正しく市場価格に反映させることはできないからです。
株式取引は、短期で行えば「投機」、長期で行えば「投資」になるのです。
3.キャピタルゲインとインカムゲイン
投資の利益には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」がありますが、投機の利益は「キャピタルゲイン」のみです。
キャピタルゲインとは、株式や債券など所有している資産を売却した際に得られる売買差益のこと。たとえば、50万円で購入した株式を60万円で売却した場合、その差額の10万円(手数料や税金は除く)がキャピタルゲインとなります。キャピタルゲインは、株や債券だけでなく、不動産や金・プラチナなどの貴金属、FXなどの売買でも得ることができます。
一方のインカムゲインとは、株式や債券などの資産を保有している間に得られる収益のことです。たとえば、株式の配当金、債券の利息、不動産の賃料収入などがインカムゲインであり、これらの資産を保有し続けることで、継続的な収入が期待できるのです。
キャピタルゲインは、インカムゲインよりも大きくなる傾向があります。株式を例にとると、配当金は通常、株価の年率数%ですが、売却時の利益(キャピタルゲイン)は購入額よりはるかに高くなることがあるからです。
数ヶ月~数年といった期間で株価が2倍、3倍になる銘柄もあります。ただ、インカムゲインはマイナスになることはありませんが、株式や債券など所有している資産を売却すると、価格が大きく下落する可能性もあるため、損失(キャピタルロス)となる場合があります。
4.投資のメリット
中長期的な投資には、資金を投入して得た利益をさらに投入し、時間をかけて増やしていく「複利」の効果があります。投資期間が長くなればなるほど、複利効果は大きくなるのです。また、投資期間が長いほど価格変動リスクが小さく、安定したリターンを得ることが期待できます。
以下の図をご覧ください(筆者作成)。
100万円を年率5%で10年間、単利と複利で運用した結果です。5年間では26,282円の差しかありませんが、10年間では128,895円もの差になっています。長期になればなるほど、複利効果は高くなることがわかります。
5.投資のデメリット・注意点
投資は10~20年といった長期で資産を築き上げていくものです。株式投資では、企業の成長を見込んで長期的な運用をするので、短期間で利益を上げることは困難です。結果がでるまで時間がかかると考えた方がよいでしょう。
また、不動産投資は株式投資ほど時間を必要としませんが、入居者が入るまで利益がでません。複数の物件を貸しだしている場合、満室になるまで管理費などの経費がかかるため、短期間で大きな利益をだすことは難しいのです。
投資では目先の利益ではなく、長期での利益を狙うようにしてください。
まとめ
投資はキャピタルゲインだけではなく、インカムゲインも狙うことができ、長期での資産形成に向いています。一方の投機は短期間で大きな利益(キャピタルゲイン)を狙うこともできますが、大きな損失がでる恐れもあります。
自分の投資手法や資金にあった方法を選ぶことが大切です。ただ、投資でも投機でも元本が保証されているわけではないので、必ず余裕資金で運用するようにしてください。
山下耕太郎
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