i-Bondは不動産に特化したクラウドファンディング投資の一つです。サービスを運営するのは東証JASDAQスタンダードに上場している株式会社マリオンであり、1口1万円から投資可能な金額設定や、投資資金が固定されずに買取請求をいつでも行えるなどの特徴が話題になっています。
特徴的なサービスを展開するi-Bondですが、一方でどのようなリスクがあるのでしょうか。この記事では、i-Bondの特徴やリスク・注意点を解説するとともに、i-Bondで募集している案件についても詳しくご紹介します。
i-Bondに関心のある方、i-Bondで扱っている投資対象のリスクについて知りたい方は、参考にしてみてください。
目次
- i-Bondの特徴
1-1.東証JASDAQスタンダード上場企業が運営している
1-2.少額で不動産に投資できる
1-3.買取請求はオンラインで24時間365日可能
1-4.申込手数料・買取手数料が無料 - i-Bondのリスク・注意点
2-1.元本が保証されているわけではない
2-2.他の投資方法と比較して利回りが低め
2-3.年一回の分配金配分のため、複利運用の効率はやや悪い - i-Bondの募集案件を徹底分析
3-1.i-Bondの投資対象物件の概要
3-2.ファンドの予定分配率(利回り)
3-3.i-Bondのリスク要因 - i-Bondを始める手順
4-1.会員登録
4-2.会員情報登録
4-3.本人確認キーの入力
4-4.出資申込・出資金の振込 - まとめ
1.i-Bondの特徴
i-Bondは、株式会社マリオンが運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスです。i-Bondのコンセプトは、預貯金(=お金の第1の置き場)と投資(=お金の第2の置き場)の中間に位置する「お金の第3の置き場」で、預貯金より高いリターン、投資より低いリスクであるという特徴があります。
サービス名 | i-Bond(アイボンド) |
URL | https://www.i-Bond.jp/ |
運営会社名 | 株式会社マリオン |
本社所在地 | 東京都新宿区富久町9番11号 |
設立 | 1986年11月 |
代表取締役社長 | 福田敬司 |
資本金 | 13億8764万2720円 |
売上高 | 27億3568万円(2019年9月期) |
上場市場 | 東証JASDAQスタンダード |
サービス開始年月 | 2019年5月 |
予定分配率 | 1.50%(税引き前)*2020年8月時点 |
投資金額 | 1口1万円(販売当初価格)から |
運用期間 | 無期限(買取請求は24時365日受付可能) |
※2020年8月時点の情報となります。最新情報に関しては上記サイトを御覧ください。
まずはi-Bondの具体的なサービス内容や特徴を確認してみましょう。
1-1.東証JASDAQスタンダード上場企業が運営している
i-Bondは、東証JASDAQスタンダードに上場している株式会社マリオンが運営しています。マリオン社は不動産の賃貸管理をはじめ、30年以上の不動産事業の実績を有する企業で、上場企業ならではの財務基盤や経営体制、不動産投資に関する豊富なノウハウなどを強みとしており、これらの強みはi-Bondのサービスにも活かされています。
また、i-Bondでは優先劣後出資を採用しているのも特徴です。投資家からの出資は優先出資として鑑定評価額の95%とし、残りの5%を事業者であるマリオンが劣後出資者として負担する仕組みとなっています。この優先劣後出資の仕組みによって、損失が発生した際もマリオンが5%の範囲内で損失を負担し、投資家への影響を軽減することが出来ます。
1-2.少額で不動産に投資できる
i-Bondの最低投資金額は1口1万円からと、現物不動産投資やJ-REITの個別銘柄と比較して少額です。現物の不動産投資では頭金だけでも大きな資金が必要になるケースも少なくなく、J-REITでは最低投資額が数万円から数十万の銘柄が多く、資金面での投資ハードルは高いと言えます。
1口1万円で不動産に投資ができるi-Bondは余剰資金の少ない方でも手軽に投資を行える大きなメリットがあると言えるでしょう。
1-3.買取請求はオンラインで24時間365日可能
買取請求とは、投資家がその出資持分を運営会社であるマリオンに買い取ってもらうための請求です。買取請求(現金化のための手続き)を行ってから、受付後の5営業日後に振込で所定の口座に出資金が投資家の指定口座に振り込まれます。
他社のクラウドファンディングではファンドの運用期間中は解約ができず、投資資金が固定されるケースも少なくありません。一方、i-Bondでは買取請求をいつでも行うことができるので、運用期間中でも投資資金の回収が可能です。
※買取請求が集中した場合は、対象不動産の全部又は一部の売却等が完了するまで、一時的に買取請求が留保となる可能性があります。
1-4.申込手数料・買取手数料が無料
i-Bondでは金融機関の口座への入金手数料および出金手数料は投資家の負担となりますが、出資に伴う申込時と買取時の手数料が無料となっています。手数料が利回りへ与える影響を心配して買取請求に消極的となる必要がなく、柔軟性のある資産運用が可能です。
ただし、自分の出資持分を第三者に譲渡するための名義変更については、別途5,500円(税込)の手数料が発生する点には注意しましょう。
2.i-Bondのリスク・注意点
次に、i-Bondにはどのようなリスクや投資時に注意すべきポイントがあるのかを見ていきましょう。
2-1.元本が保証されているわけではない
i-Bondでは、投資分の買取請求をいつでも行うことができるものの、いくら戻ってくるかはその時点における対象不動産の鑑定評価額によります。対象不動産の直近の鑑定評価額の合計が95%未満の場合、戻ってくる資金は投資額より少なくなる可能性があります。
なお、i-Bondでは優先劣後出資を採用しているため、対象不動産の鑑定評価額が下がった場合でも、5%の範囲内であればマリオンが損失負担し、投資家に影響が及ぶことはありません。しかし、5%を超えて鑑定評価額が下落した場合に元本割れする可能性がある点に注意しましょう。
2-2.他の投資方法と比較して利回りが低め
i-Bondにおけるファンドの利回りは、年1.50%(税引前)となっています。他のクラウドファンディングやソーシャルレンディングサービスの期待利回り10%超の案件と数字のみを比較すれば低い水準と言えます。
一方で、i-Bondは対象不動産を厳選し、優先劣後の仕組みなどにより投資リスクを回避している背景から、ハイリスク・ハイリターンな投資を検討している方にとっては不向きな資産運用方法と言えます。分配率の低さが気になる場合は、他の投資商品とのポートフォリオでバランスを図るなどの工夫をしましょう。
2-3.年一回の分配金配分のため、複利運用の効率はやや悪い
i-Bondの分配金は年1回の配分となります。毎月や四半期ごとの分配であれば、分配金を再投資して資産の運用効率を高めることができますが、年1回の分配は複利運用にやや不向きと言えるでしょう。
また、匿名組合の事業収益が想定よりも低い場合は、上限となる予定分配率が下回る可能性がある点にも注意が必要です。
3.i-Bondの募集案件を徹底分析
2020年8月31日時点における対象不動産は次の4物件で、予定利回りは年1.50%(税引前)となっています。対象物件の特徴や予定利回りの妥当性、リスク要因について詳しく見ていきましょう。
3-1.i-Bondの投資対象物件の概要
物件名 | 所在地 | 不動産取得額 | 不動産取得日 | 賃貸可能戸数 | 竣工年月 | 種類 |
---|---|---|---|---|---|---|
コンパルティア練馬 | 東京都練馬区中村北2丁目2番3号 | 359,000,000円 | 2020年9月1日 | 13戸 | 2014年4月 | 共同住宅 |
LEGALAND参宮橋 | 東京都渋谷区代々木五丁目54番44号 | 523,000,000円 | 2020年2月1日 | 15戸 | 2019年3月 | 共同住宅 |
マリオン桑園 | 北海道札幌市中央区北十二条西十六丁目1番5号 | 448,000,000円 | 2019年9月1日 | 58戸 | 2007年6月 | 共同住宅 |
AIFLAT dokanyama | 東京都荒川区西日暮里五丁目23番3号 | 570,000,000円 | 2019年6月1日 | 14戸 | 2019年2月 | 共同住宅 |
「コンパルティア練馬」の竣工は2014年4月と築浅の物件で、西武池袋線・都営大江戸線「練馬」駅から徒歩10分の好立地にあります。
練馬駅は、池袋や新宿などの主要ターミナル駅へのアクセスも良好で、西武池袋線沿線の中ではトップクラスで駅前が発展しており、練馬区役所にも近いというメリットもあるので、一定の賃貸需要を見込むことができます。
「LEGALAND参宮橋」は2019年3月竣工の築浅物件です。小田急線「参宮橋」駅から徒歩4分と駅近で、新宿にも非常に近い好立地です。
近くには代々木公園や明治神宮などがあり、渋谷区内にありながら自然を感じることができる住環境となっています。さらに、外観のデザインも洗練されたスタイリッシュで、「都心のお洒落な住居に住みたい」というニーズに応えることができます。
「マリオン桑園」は2007年6月の竣工、JR函館本線「桑園」駅から徒歩3分の駅近物件です。JR札幌駅へのアクセスも良く、桑園駅前には、既存の大型ショッピングセンターに加え、2020年夏に大型のホームセンターも完成し、一層の発展も見込まれています。
「AIFLAT dokanyama」は、2019年2月竣工の築浅物件で、JR山手線・京浜東北線「西日暮里」駅から徒歩2分の好立地にあります。ホームセキュリティ機能、家電遠隔コントロール機能、居室内音声コントロールなどの最先端スマートホームサービスが設置されているのが特徴です。
東京下町エリアが居住地として見直され人気が出ていること、最先端設備が装備されていることなどから一定の賃貸需要を見込むことができます。
これら2020年8月時点の投資対象物件を見てみると、東京都内の中でも好立地の物件に絞り、長期的な賃貸需要の確保を視野に入れた中長期的な投資方法が取られている点が共通点として挙げられます。
クラウドファンディングによって間接的に好立地の物件に少額投資ができる点も、i-Bondならではのメリットと言えるでしょう。
さらに、i-Bondのファンドの中に複数の投資対象物件で構成されることで、物件ごとの変動要因(例えば、鑑定評価額など)を複数でリカバリーすることが可能となります。
3-2.ファンドの予定分配率(利回り)
i-Bondの予定分配率は1.50%(税引き前)です。これは現物の不動産投資や他のクラウドファンディング投資と比較すると低めですが、前述したように対象物件が好立地物件である点や優先劣後出資を採用している点、買取請求をいつでも行えるように流動性を高めている点など、投資家のリスクを抑えている背景があります。
また、現物の不動産投資を行う場合、まとまった不動産の購入資金が必要になる上、空室リスク・物件修繕リスク・不動産価値の下落(売却時の損失)などの負担やリスクを伴うことを考慮する必要もあります。
i-Bondは利回りこそ低めですが、リスクを軽減し、運用の手間をかけずに不動産投資を行うことができると言えます。
3-3.i-Bondのリスク要因
投資資金が回収できないリスク要因としては主に以下2つが挙げられます。
- 対象不動産の鑑定評価額の合計が5%超下落する場合
- 運営企業のマリオンが経営破綻する場合
対象不動産の鑑定評価額の合計が5%超下落した場合、投資家の元本にも影響が及ぶ可能性があります。物件選定は、運用経験豊富なスタッフが行っているものの、元本保証のある投資方法ではない点には注意が必要です。
2つ目のリスク要因として、運営企業であるマリオンが業績悪化により経営破綻し、出資金が回収できない事業者リスクが考えられます。クラウドファンディングにおける対象不動産のパフォーマンスだけでなく、マリオンの決算情報などを確認し、定期的に経営状況についても注意しておきましょう。
なお、2020年9月期第3四半期のマリオンの業績を見てみると、売上高は前年同期比43.7%増、経常利益は前年同期比30.7%増と、コロナ禍で国内経済全体が停滞する中でも業績を順調に伸ばしています。
4.i-Bondを始める手順
最後にi-Bondを始める手順についても確認しておきましょう。
- 会員登録
- 会員情報登録
- 本人確認キーの入力
- 出資申込・出資金の振込
4-1.会員登録
まずはi-Bondの会員登録ページから「会員登録」タップします。登録画面から「連絡用メールアドレス」、「パスワード」(英数混在の8文字以上20文字以内で申請者が設定)などの必要項目を入力し、「個人情報保護方針」「サイトの利用規約」を確認したら、確認欄にチェックを入れ、「上記内容に同意し、確認メールを送信する」をタップすると、登録したメールアドレス宛にログインIDが届きます。
4-2.会員情報登録
ログインIDが届いた後は7日以内にログインし、会員登録に必要な個人情報の入力、及び本人確認書類のアップロードを行います。なお、アップロードする本人確認書類は、次のいずれか2点が必要になります。
- 運転免許証(表裏の両面)
- 健康保険証・共済組合員証(表裏の両面)
- マイナンバーカード(表面)
- 住民基本台帳カード(表裏の両面で顔写真、住所、生年月日の記載があるもの)
- 国民年金手帳(オレンジ色手帳で発行者印、氏名、住所、生年月日の印字ページ)
- パスポート(顔写真ページと所持人記入欄ページ) など
4-3.本人確認キーの入力
個人情報の入力、本人確認書類のアップロードを完了した後、株式会社マリオンで審査が行われます。審査が終了すれば本人確認キーが記載された郵便が届くので、その本人確認キーを入力し、会員登録を完了させます。
4-4.出資申込・出資金の振込
会員登録が完了すれば出資申込ができるようになります。出資申込は商品ページで希望口数を入力して行います。出資申込を行うと、株式会社マリオンから契約成立のメールが届くので、メールに記載された指定振込先に10営業日以内に出資金を振り込みます。
まとめ
i-Bondは、預貯金より高いリターンで、株式投資や現物の不動産投資よりもリスクが低いので、新たな資金運用方法(=第3のお金の置き場)としての役割を担うことができます。
老後の生活資金確保や長期的な資産形成が求められる中、昨今の厳しい経済・社会情勢を踏まえると、リスクを軽減した資産運用の需要は今後も増える可能性があると言えます。
なお、i-Bondはリスクを軽減した運用に期待できるものの、元本が完全に保証されているわけではありません。商品選びを行う際はリスクや投資対象についてしっかりと確認することが大切です。
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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