株式投資には、企業の成長に投資する方法と、株価の値動きに着目し売買を繰り返す方法(トレード)があります。企業成長に投資する場合には財務分析、株式トレードの場合にはチャート分析が中心です。
初心者の方が株式トレードを始めるには、準備や心構えが必要です。そこで今回は、株式トレードの始め方や注意点について解説します。
目次
- 株式トレードとは
- 株式トレードの始め方
2-1.取引手法を勉強する
2-2.ルールを作る
2-3.株式シミュレーションアプリを活用する - 銘柄選びのコツ
3-1.日々の変動幅
3-2.日々の出来高
3-3.株価の呼び値(よびね) - 注意点
4-1.現物取引から始める
4-2.ロスカットルールを作る
4-3.国内株から始める - ネット証券、対面型証券のメリット・デメリット
5-1.ネット証券
5-2.対面型証券会社 - まとめ
1 株式トレードとは
株式トレードとは、株価の値動きだけに注目し、売買を繰り返す手法です。売買のタイミングが重要で、投資家の多くがチャート分析を用いています。チャート分析には、いろいろな方法があり、複数の分析方法を組み合わせることで、売り・買いのタイミングを判断する必要があります。
ただしチャートは確実でないため、損失を出してしまうことがある点には注意する必要があります。
2 株式トレードの始め方
株式トレードを始めるにあたり、まず証券会社の口座を開設する必要があります。株式を取り扱うことができる金融機関は証券会社のみで、銀行や郵便局では個別株に投資することができません。
2-1 取引手法を勉強する
株式トレードで重要なことは、チャート分析の手法を学ぶことです。チャート分析には、移動平均法、RSI、MACD、パラボリック、GANN、マーケット・プロファイルなど様々な方法があります。最近では、ネット上でチャート分析を学ぶこともできるので、比較的簡単な移動平均法などから勉強してみましょう。
2-2 ルールを作る
チャートは万能ではありません。そのため、損失が発生することもあります。損失を最小限に抑えるためには損切り(損を確定させること)が必要です。損切りのルールを作りましょう。例えば、購入価格から株価が20%下落した場合は売却する、というように、具体的な損切りの水準を決めることが大切です。
2-3 株式シミュレーションアプリを活用する
初心者の方は、実際の取引を開始する前に、株式シミュレーションアプリで取引の練習をすると良いでしょう。アプリでトレードを体験し、ある程度株価の動きに慣れてから本格的なトレードを始めます。
株式シミュレーションアプリとしては、トレダビ、株たす、などが挙げられます。実際の市場価格での取引体験ができるため、トレードの練習が可能です。もちろん、損が出ても帳簿上のみのことなので自身の資産が減ることはありません。
3 銘柄選びのコツ
株式トレードでは銘柄選びが重要です。ここでは、銘柄選びのポイントを見ていきましょう。
3-1 日々の変動幅
株価の動きは、銘柄によってまちまちです。1日に1,000円以上上下するものもあれば、10円程度のものもあります。現在、国内の取引所上場銘柄の最低投資単位は100株です。株価が1,000円変動すると10万円、10円では1,000円です。
大きく変動する銘柄は、利益を上げやすい反面、損失も大きくなる傾向があり、一方で変動が小さい銘柄は利益も損失も少額となる傾向があります。投資初心者の方は、まず値動きが小さな銘柄を選びましょう。
3-2 日々の出来高
値動きも大切ですが、出来高も重要です。出来高が多い銘柄ほどトレードをしやすい傾向があります。出来高が少ない銘柄は、売りと買いの値幅が広い傾向にあるため、思い通りの価格で購入できなかったり、売却できなかったりすることがあります。
3-3 株価の呼び値(よびね)
株価の呼び値も重要です。呼び値とは、株価の値段の刻みのことです。株価が低いほど値刻みが小さく、最低は0.1円単位、最大が10万円単位です。呼び値が小さく、板が厚い(売り買いの注文数が多い)銘柄ほど、価格の動きが鈍い傾向があります。
4 注意点
初心者の方が株式トレードを始めるうえでは、下記の点に注意しましょう。
4-1 現物取引から始める
取引には現物取引と信用取引があります。初心者の方は現物取引から始めるようにしましょう。信用取引は少額で大きな取引ができますが、リスクが高く、自己資金以上の損失が発生する可能性があります。
4-2 ロスカットルールを作る
取引のルールを決めて売買するようにしましょう。特に、損失を確定するロスカットルールを設け、早めに損切り(損を確定)することが重要です。初心者の方は、逆指値注文(買いの場合は、この値段まで株価が下落した場合に売る)を株式の購入時に入れると良いでしょう。
4-3 まずは国内株式から始める
トレードは国内株式から始めましょう。日本株には値幅制限(1日に動く値幅)が設定されていることや、日本時間に取引が可能なためです。
米国株式は1株から投資可能なため魅力的ですが、値幅制限(1日に動く値幅)が決められていないため、場合によって大きな損失を出してしまう可能性もあります。また、取引時間が日本の夜中であるのもデメリットです。
5 ネット証券、対面型証券のメリット・デメリット
株式トレードを始めるためには、証券会社で口座を開設する必要があります。証券会社にはネット証券と対面型証券会社の2つのタイプがあります。自身にあったタイプを選ぶようにしましょう。
5-1 ネット証券
ネット証券とは、店舗を持たずにインターネット上で営業をしている証券会社です。SBI証券や楽天証券、マネックス証券などが主要な証券会社です。ネット上で口座開設から売買、資金移動まで全て完結できます。
メリットとしては、株式の売買手数料の安さが挙げられます。手数料が安いほど株式のトレードには有利です。デメリットとしては、銘柄選びや投資判断は基本的に全て自身で行わなければならないことが挙げられます。
5-2 対面型証券会社
対面型証券会社のメリットは、企業情報や投資アドバイスを証券会社の担当者から受けられるため、相談しながら投資できることです。ネットに不慣れな方や自身で銘柄を選べない初心者の方には向いています。
一方、デメリットとしては、手数料がネット証券と比べると高いことが挙げられます。そのため、短期売買を繰り返すトレードにはあまり適していません。
まとめ
初心者の方が株式トレードを始めるにあたっては、事前に株式シミュレーションアプリを活用し、トレードの練習をしましょう。なお、チャート分析などの方法を並行して学ぶとより効果的です。またトレードには、手数料が低く設定されているネット証券を利用するのが良いでしょう。
口座開設と同時に、買い値から何パーセント下がった場合には強制的に売却するといったロスカットルールを作ることも必要です。そして、決めたルールには必ず従うように心がけましょう。
米国株式のトレードに興味がある方もまず、値幅制限があり取引もしやすい日本株式のトレードに慣れてから始めると良いでしょう。
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藤井 理
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。
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