コロナ禍や企業の業績悪化などにより将来への不安が高まる中、投資への関心が高まっています。こうした中、初心者でも気軽に運用できる商品として投資信託が注目されています。投資信託は資産運用をプロに丸一任することができる金融商品で、初心者にもハードルが低い商品です。
そこで今回は、初心者の投資信託購入、選び方のポイントについて説明します。
目次
- 投資信託を知る
1-1.投資信託は100円から買える
1-2.銀行や郵便局でも買える
1-3.運用は専門家にお任せ
1-4.分散投資でリスク回避
1-5.長期運用でリスク回避 - 投資信託の銘柄選びのポイント
2-1.株式型か債券型、それともバランス型か
2-2.運用スタイルでパッシブ・アクティブを選ぶ
2-3.手数料は安いほうが良い
2-4.信託期間に注意
2-5.インデックスファンドは手数料率が低く、値動きが分かりやすい - 投資信託初心者に適した証券会社は?
- まとめ
1 投資信託を知る
投資信託とは、多くの投資家から集めたお金をひとつの大きな資金にまとめ、運用の専門家であるファンドマネージャーが株式や債券などに投資し運用する金融商品のことです。
まずは投資信託の特徴やメリットとデメリットについて見ていきましょう。
1-1 投資信託は100円から買える
投資信託は、複数の投資家から資金を集めるため、一人ひとりの投資家は少額でも投資できます。最低出資金額が決まっていることが多く、それらは大体1万円程度となっていますが、なかには100円から購入できるものもあります。手元資金が少ない方や最初から多額の投資をすることに抵抗がある方にとっては、購入しやすい商品です。
1-2 銀行や郵便局でも買える
株は証券会社でしか購入することができませんが、投資信託は普段から利用している銀行や郵便局でも購入することができます。銀行や郵便局での用事のついでに、窓口で相談し購入することが可能です。
1-3 運用は専門家にお任せ
初心者にとっては「どういった銘柄に投資したらよいか」というのが大きな悩みでしょう。経済情勢や金融市場の動きに詳しくない初心者にとっては、運用の専門家であるファンドマネージャーやアナリストに、銘柄選定から運用まで全てをお任せすることができるというのも投資信託のメリットです。
1-4 分散投資でリスク回避
投資信託の銘柄には、いろいろな株や債券が含まれており、一つ購入するだけでも分散投資になるのもメリットです。また、個人では投資しにくい国・地域、資産へも投資できます。銘柄、地域、商品、通貨、時間を分散することにより、リスクを軽減することができます。
1-5 長期運用でリスク回避
投資信託は運用成績が良ければ当初の投資金額を大きく上回ることもありますが、元本の保証がない商品のため、運用成績が悪いと当初の投資金額を下回り、損をすることがある点には注意が必要です。
目先の損失に振り回されないためには運用軸を長期に置くことが大切です。長期運用をすることで資産の複利効果が期待できます。
2 投資信託の銘柄選びのポイント
投資する銘柄は、①投資信託の種類、②手数料、③残りの運用期間の3つの側面から選びましょう。まずは、投資信託の種類について見ていきます。
2-1 株式型か債券型、それともバランス型か?
投資信託にはいろいろな種類があります。大きく分けると、株式を中心に組み入れられた株式型、債券中心の債券型、そして株式と債券の両方が組み入れられたバランス型があります。
長期運用において気をつけないといけないのはインフレです。インフレとは貨幣価値が減り物の値段が上がることで、長期運用の「天敵」です。
株式型は、株価が大幅上昇しているときは大きな利益が得られる可能性があり、インフレを上回る運用成果が期待できます。
債券型は、元本割れのリスクは小さいものの、インフレに弱いという特徴があります。この点で債券型の投信信託は長期運用には適しているとは言いがたいのです。
長期投資で資産形成を考えた場合は、株式型もしくは株式と債券の両方が組み入れられた銘柄が適しています。なお、外国株式や外国債券が組み入れられている商品もありますが、為替のリスクも発生するため初心者の方は国内に絞った投資信託が無難です。
2-2 運用スタイルでパッシブ・アクティブを選ぶ
運用スタイルには、パッシブ運用、アクティブ運用の2つがあります。
パッシブ運用とは主に日経平均株価指数やTOPIXなどインデックスの動きに連動させる運用方法です。インデックスファンドなどがこれに該当します。なお、手数料率がアクティブ運用と比較し、低く設定される傾向にあります。
アクティブ運用は、組み入れる銘柄をアナリストや運用担当者が選定し、より高い収益を目指す運用方法のことです。運用担当者の能力がそのまま運用成績に繋がります。
2-3 手数料は安いほうが良い
投資信託の手数料には、購入手数料と信託報酬の2種類があります。購入手数料は、購入金額の1~3%程度が一般的で、購入手数料1%の投資信託を1万円購入した場合は100円(+消費税)が手数料となります。購入手数料は購入時のみにかかります。最近では購入手数料が無料の投資信託(ノーロード投資信託)もありますが、同じ商品でも販売会社によって手数料率が異なることには注意が必要です。
信託報酬は、投資信託を保有している間、自動的に引き落とされる手数料です。手数料率は銘柄によって異なりますが、年率0.5%から2%程度(+消費税)が一般的です。投資信託の純資産総額(投資信託が保有している債券や株の合計)に一定の割合(%)を掛けた金額が毎日自動的に引かれていきます。
手数料が引かれているにもかかわらず、投資家は手数料を支払っているという認識が薄くなりやすいため、できるだけ手数料率の低い銘柄を選択しましょう。一般的には、インデックスファンドの手数料率はアクティブファンドより低く設定されています。
2-4 信託期間に注意
投資信託の満期を信託期間と呼びます。これが決められている銘柄はあらかじめ運用される期間が決まっています。一方、無期限の銘柄もあります。
投資信託の運用は長期が基本です。時間を味方につけることで資産を大きく増やせる可能性が高くなります。無期限のもの、もしくは10年以上信託期間が残っている銘柄が良いと言えます。
2-5 インデックスファンドは手数料率が低く、値動きが分かりやすい
インデックスファンドは、手数料率が低く設定されていることや、値動きが分かりやすいという特徴があります。
例えば、日経平均株価指数の連動するファンドなら日経平均株価指数と同様の動きをするため、値動きが理解しやすい銘柄といえます。インデックスファンドは指数と連動するため運用成績は指数と同様です。
アクティブファンドはインデックスファンドよりも手数料が高めなので、銘柄選定にあたっては過去の実績や運用額の推移、運用方針などをしっかり調べてから決めることが大切です。あまり検討の時間が確保できないという方は、複数のアクティブファンドに少額から投資をしてみて、運用成績やレポートなどを見ながら徐々に金額を増やしていくと良いでしょう。
3 投資初心者に適した証券会社は?
証券会社を選ぶ際は、手数料がどのくらいか、投資のアドバイスを受けられるかどうかなどで決めましょう。
手数料を基準とした場合、ネット証券が有利です。一方、投資のアドバイスを受けながら運用を始めたい方は、証券会社の窓口が良いでしょう。窓口の場合、手数料はネット証券より割高となります。
ネット証券の場合は、大手のSBI証券や楽天証券、マネックス証券、松井証券などから検討してみると良いでしょう。いずれもノーロード(購入手数料無料)投資信託が充実しています。1日100円から投資信託を積み立てることもできますので、各社のキャンペーンやサービスなども比較してから検討されてみると良いでしょう。
まとめ
初心者にも投資しやすい投資信託ですが、購入前に投資信託の種類や手数料などを確認することが大切です。はじめは値動きが分かりやすい日経平均連動型やTOPIX連動型から投資を検討し、自身の資産状況に合った無理のない金額から始めましょう。
藤井 理
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。
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