ハイリスク・ハイリターンの投資信託は?特徴と主なファンド

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低リスクな投資信託で長期運用というスタイルは一般的に見られるものの、ハイリスク・ハイリターンな投資信託で収益を狙ってみたい、という考えを持つ人もいるのではないでしょうか。

分散投資と低リスク運用のイメージが強い投資信託ですが、中にはハイリスク・ハイリターンで収益を狙うファンドも存在します。

本記事では、ハイリスク・ハイリターンなファンドを紹介するとともに、ファンドの活用方法や、リスクとリターンの関係性についても説明します。投資信託で積極的に収益を狙ってみたいと考える人はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. ハイリスク・ハイリターンのファンドが多いジャンル
    1-1.ブル・ベア型
    1-2.通貨選択型
    1-3.新興国ファンド
  2. ハイリスク・ハイリターンな投資信託の探し方
    2-1.標準偏差を元に探す
    2-2.運用効率を見るにはシャープレシオ
    2-3.ベンチマークを軸にリスクを見るベータ
    2-4.短期から中期のトータルリターンも確認
  3. ハイリスク・ハイリターンなファンドの活用方法
    3-1.運用ルールを定めて遵守する
    3-2.相場が一方向へ動くタイミングの見極め
    3-3.場合によってはETFの活用も考える
  4. ハイリスク・ハイリターンな3つのファンドの比較
  5. まとめ

1.ハイリスク・ハイリターンのファンドが多いジャンル

ハイリスク・ハイリターンなファンドを探すにあたって、ファンドタイプの目星を付けておくと探しやすくなります。ハイリスク・ハイリターンファンドが多いジャンルは以下の3つです。それぞれのジャンルについて説明します。

  1. ブル・ベア型
  2. 通貨選択型
  3. 新興国ファンド

1-1.ブル・ベア型

ブル・ベア型ファンドは先物やオプション取引を活用して、ベンチマークとする指数を大きく上回る収益を目指すファンドです。相場のトレンドに合致すると大きなリターンを期待できますが、外れると同等の損失を覚悟しなければいけません。また、商品設計上、長期で保有するとマイナスが出やすくなっているため、長期投資には適していない点に注意が必要です。

ブル・ベア型のブルは、雄牛が下から上に突き上げる動作になぞらえて、上昇相場においてリターンが期待できるファンドを指します。ベア型は熊が前足を振り下ろす動作に似ていることから、下落相場においてリターンが期待できるファンドを指します。

1-2.通貨選択型

株や債券など、投資対象資産の他に、通貨も選択できるファンドです。基準価額には、資産価値の変動による収益の他に、為替変動による収益や金利差相当分の収益が得られるプレミアム収益も含まれます。プレミアム収益は、選択した通貨の短期金利が投資対象資産の通貨の短期金利よりも高い場合に支払われます。

通貨選択型のファンドでは、ブラジルのレアルや、トルコのリラなど、短期金利が高い通貨をメインとして、プレミアム収益を狙う仕組みです。対象資産はハイイールド債や新興国債券とされており、利回りが高い一方で、価格変動リスクや信用リスクも高くなっています。

1-3.新興国ファンド

ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)のイニシャルをとったBRICsに代表される新興国には成長の期待があります。世界全体の景気が良い時は、新興国の成長を期待して、多くの資金が投入されることも珍しく有りません。

その反面、金融危機が発生した時は一気に資金が引き上げられる傾向があります。新興国の市場規模は小さいため、多額の資金が引き上げられると、一時的に流動性が確保できなくなります。

新興国ファンドは、先進国ファンドに比べて、大きなリスクを負うことが一般的です。

2.ハイリスク・ハイリターンな投資信託の探し方

ハイリスク・ハイリターンなファンドを探す時は、投資指標をもとにスクリーニングする方法も有効です。リスク分析に活用できる4つの指標を紹介します。

  1. 標準偏差を元に探す
  2. 運用効率を見るにはシャープレシオ
  3. ベンチマークを軸にリスクを見るベータ
  4. 短期から中期のトータルリターンも確認

2-1.標準偏差を元に探す

標準偏差は、一定の測定期間内において、ファンドの平均リターンから月次、年次リターンなどがどの程度離れているか、を求めることで得られる数値です。まとまりがなく、ばらつきが多い場合は数値が大きくなり、リスクが高いファンドと見ることができます。

ハイリスク・ハイリターンなファンドを探す場合、標準偏差が高いファンドを探すと良いでしょう。

2-2.運用効率を見るにはシャープレシオ

シャープレシオは負ったリスクに見合うリターンを獲得できているか、を確認する指標です。シャープレシオの数値が思わしくないと、ハイリスク・ミドルリターン、ハイリスク・ローリターンに終わっている可能性を示唆します。

数値が高いファンドは効率的な運用をしていると見て良いでしょう。ハイリスク・ハイリターンを実現しているファンドを探すための指標としてシャープレシオは見逃せません。

2-3.ベンチマークを軸にリスクを見るベータ

インデックスファンドなどにおいて、ベンチマークとなる指標との連動性を示した数値です。市場の動きに対してどの程度敏感に反応しているか、と見ることもできます。

例えばベータ値が1.5のファンドは、ベンチマーク指数が10%上昇した時に、15%上昇し、10%下落した時は15%下落することを意味します。

ベータ値の高さは、基準価額のブレ幅が大きいことの証左です。ハイリスク・ハイリターンなファンドを探す時に、ベータ値はよい参考になるでしょう。

2-4.短期から中期のトータルリターンも確認

基準価額がどの程度動いているか確認するために、トータルリターンも確認しておきましょう。リスクを取る以上、出来る限り大きなリターンを狙いたいところです。シャープレシオの数値と合わせて、過去1年〜3年の間でより高いリターンを出しているファンドをピックアップし、リスク分析を行うスクリーニング方法もあります。

高い収益を狙う時は、短期〜中期の投資がメインとなるため、あえて長期のトータルリターンを参考にする必要はありません。

3.ハイリスク・ハイリターンなファンドの活用方法

投資信託の商品設計上、長期運用を前提とされることが多く、ハイリスク・ハイリターンのファンドを、ポートフォリオの中心とするケースは少ないと言えます。ここではハイリスク・ハイリターンなファンドをピンポイントに上手く活用するための考え方を3点、紹介します。

  1. 運用ルールを定めて遵守する
  2. 相場が一方向へ動くタイミングの見極め
  3. 場合によってはETFの活用も考える

3-1.運用ルールを定めて遵守する

個別株式や、為替、先物取引などリスクが高い運用商品になればなるほど明確な運用ルールを定め、必ず守る運用を心がける必要があります。例えば売却タイミングのルールでは、含み益15%に到達したら売却、もしくは含み損15%で売却などが挙げられます。特に含み損のルールは決めた以上必ず守らなければいけません。

相場への参加タイミングを決めるときのルールも決めておくと、判断に迷いや後悔が無くなります。

ハイリスク・ハイリターンな投資信託へ投資する時は、なんとなく始めてしまうと思わぬ損失を被ることがあるため、ルールは決めておきましょう。

3-2.相場が一方向へ動くタイミングの見極め

ブル・ベア型投信は、相場が上昇か下落のどちらか一方向へ強く動く時に大きなリターンを獲得できます。逆に、狙いが外れると大きな損失を被ります。相場のトレンドを判断するには慣れが必要です。ブル・ベア型投信で大きなリターンを狙いたい場合、先に相場観を身に着けましょう。

相場観は、日々の市場の推移を追い続けることで身につくスキルです。

3-3.場合によってはETFの活用も考える

ブル・ベア型ファンドのように、相場の動きに対して機動的な取引が求められる場合、投資信託にこだわらずETFを使って、リアルタイムに取引を行うほうが良いケースもあります。

投資信託はその日の夜に基準価額が発表され、機動的な取引ができない仕組みです。相場急変の時には、投資信託の売買タイミングでは間に合わないこともあるでしょう。場合によっては、ハイリスク・ハイリターンな取引をETFでできないか、検討する必要もあります。

4.ハイリスク・ハイリターンな3つのファンドの比較

ハイリスク・ハイリターンなファンドを見極める時に見るべき指標は標準偏差、シャープレシオ、ベータ、トータルリターンの4点です。4つの指標をもとに、以下3つの代表的なハイリスク・ハイリターンなファンドを比較してみましょう。

  1. 楽天日本株4.3倍ブル
  2. 国際・キャピタル 日本株式オープン(通貨選択型)トルコ・リラコース(毎月決算型)
  3. 資源株ファンド 通貨選択シリーズ<ブラジルレアル・コース>(毎月分配型)
項目 標準偏差(1年) シャープレシオ ベータ トータルリターン/6カ月 トータルリターン/1年 トータルリターン/3年
楽天日本株4.3倍ブル 81.67 -0.35 -24.08 -46.12 -13.16
日本株式オープン(通貨選択型)
トルコ・リラコース(毎月決算型)
32.07 -0.22 1.02 37.54 -11.52 -0.9
資源株ファンド 通貨選択シリーズ
<ブラジルレアル・コース>(毎月分配型)
40.75 1.39 1.17 37.58 62.09 10.95

楽天日本株4.3倍ブルはハイリスク・ハイリターンなブル型投信の代表ともいうべきファンドです。4.3倍のレバレッジに設定されており、標準偏差はとても大きな数値が出ています。数日単位のピンポイントな短期投資がメインとなるため、トータルリターンや、シャープレシオの数値は正確ではありません。

日本株式オープン(通貨選択型)トルコ・リラコース(毎月決算型)と資源株ファンド 通貨選択シリーズ<ブラジルレアル・コース>(毎月分配型)は、いずれも通貨選択型ファンドで、ハイリスク・ハイリターンな運用スタイルが訴求ポイントです。

新興国通貨であるブラジル・レアルと、トルコ・リラを選択しており、カントリーリスクや信用リスクが高いハイリスクなファンドとなっています。

資源株ファンドでは、リスクを取りながらもうまく運用している結果がシャープレシオの数値にも現れています。しかし、運用手法は複雑を極めており、よく精査しないとどんなルートで投資して、どこで収益を出しているのか正確に把握しにくいファンドです。投資の際には注意が必要です。

まとめ

投資信託は、少額から分散投資ができる低リスク運用が基本的な運用スタイルですが、中にはハイリスク運用にて高い収益を狙うファンドが存在します。主なハイリスク・ハイリターンファンドは、ブル・ベア型投信や通貨選択型ファンド、ヘッジファンドの手法を取り入れたファンドなどです。

いずれも、上手く運用できると大きな収益を獲得できますが、同等のリスクも負うことを忘れてはいけません。

ハイリスク・ハイリターンファンドは、運用スタイルが難しく理解しにくいことが多いため、投資するときは目論見書をよく確認の上、運用手法をよく理解した上で投資するようにしましょう。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。