ブラザー工業のESG・サステナビリティの取り組みは?配当情報も

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ブラザー工業は、ミシンの修理業から始まった日本を代表する電気機器の会社の一つです。また、ミシンだけではなく、工作機械やギアモータ、通信カラオケシステムなど様々な事業を展開しており、サステナビリティを重視した経営で持続可能な社会に貢献しています。

そこでこの記事では、ブラザー工業のESG・サステナビリティの取り組み内容について詳しく解説します。ESG投資に関心のある方や、ブラザー工業を検討している方は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年1月3日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. ブラザー工業の特徴
  2. ブラザー工業のESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.環境
    2-2.社会
    2-3.ガバナンス
    2-4.サステナビリティ
  3. ブラザー工業の業績・株価動向
  4. ブラザー工業の配当推移
  5. まとめ

1 ブラザー工業の特徴

ブラザー工業は、東証プライムに上場している時価総額5,000億円規模の会社です。1908年にミシンの修理業から事業を開始したあと、ミシンやプリンター、デジタル複合機を主力製品とするようになりました。経営理念は、あらゆる場面でお客様を第一に考える「At your side」を掲げ、優れた価値を迅速に提供することを使命としています。

ブラザー工業の事業は、主に以下6つのセグメントから構成されています。

  • プリンティング・アンド・ソリューションズ事業(P&S事業)
  • ドミノ事業
  • マシナリー事業
  • ニッセイ事業
  • パーソナル・アンド・ホーム事業
  • ネットワーク・アンド・コンテンツ事業

基本的に事業セグメント利益の大半をP&S事業が占め、プリンターや複合機、スキャナーなどの製品を提供しています。また、ドミノ事業ではコーディングやデジタル印刷機の提供、マシナリー事業では工作機械や工業用ミシン、ニッセイ事業ではギアモータや歯車などを提供しています。そのほか、業務用通信カラオケシステムやコンテンツサービスを提供しており、様々な分野で顧客を支えています。

2 ブラザー工業のESG・サステナビリティの取り組み

ブラザー工業のESG・サステナビリティの取り組みは、以下の通りです。

2-1 環境

ブラザー工業は、企業活動を通じて地球環境にも配慮した継続的な取り組みを行っていくことを基本理念としています。製品の開発段階から、使用されて廃棄されるまでの全ての段階で、環境に対する影響に配慮するため、「Co2排出削減」「資源循環」「生物多様性保全」の重要課題を定めた上で、2030年度目標の達成と2050年ビジョンの実現に向けて取り組んでいます。

重要課題 2030年度中期目標 2050年ビジョン
Co2排出削減 2015年比で30%、65%削減 脱炭素社会への貢献
資源循環 新規資源削減 資源循環の最大化
生物多様性保全 生態系への環境負荷低減 生態系への貢献

Co2排出削減は、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の実現に向けた取り組みです。脱炭素社会への貢献としては、太陽光発電の導入や生産設備の更新および省エネ化に取り組むことで、事業活動全体におけるCo2排出量の最小化に努めています。

資源循環の最大化では、製品や部品をリユースしたり、リサイクル材を使用したりすることで、資源の再生利用に積極的に取り組んでいます。また生態系への貢献としては、生態系へ与える環境負荷を最小化するため、生態系の保全活動や資源循環を推進しています。

2-2 社会

ブラザー工業は、多様性を尊重しており、従業員にとって働きやすい職場環境を整えることに努めています。例えば、現地スタッフを積極的に経営幹部に登用することで、地域に密着した経営を目指しています。実際、2021年の地域責任者の現地従業員率は67%まで上昇しており、経営幹部のグローバル化を促進中です。

また、経営幹部のグローバル化のみならず、女性が活躍できる施策を推進しています。具体的な施策として女性キャリア研修や、育休中従業員の復職サポートなどを行っています。高齢者の再雇用についても整備が進んでおり、60歳で定年を迎えた後も希望者に対して65歳まで雇用を継続するシニアスタッフ制度を導入しています。

2-3 ガバナンス

ブラザー工業は、企業として高い透明性と客観性を確保するため、コーポレートガバナンスの仕組みを充実させています。経営資源の最適化と顧客価値の創造によって企業価値を高めることを基本理念としており、株主に対しては企業情報を積極的に提供するとともに、長期的な信頼関係を構築するため、建設的な対話を促進する体制を整備しています。

リスクマネジメントについては、リスク管理委員会を設置し、半年に1度のリスク項目の見直しを実施しています。リスク項目にはサプライチェーンや環境、法規制などがあり、グループの重大リスクを識別した上で、各項目についてリスク評価を行っています。また、情報セキュリティについてはグループの情報管理規定を定めた上で、機密性に応じて4つの情報レベルを設定することで、情報流出の防止に努めています。

2-4 サステナビリティ

ブラザー工業は、サステナビリティの基本方針である「At your side 2030」の実現に取り組んでいます。主なマテリアリティ(重要課題)は、以下の5つから構成されています。

社会の発展 人々の価値創出の支援
多様な人々が活躍できる社会の実現
責任あるバリューチェーンの追求
地球の未来 Co2排出削減
資源循環

各重要課題に対して2024年度のサステナビリティ目標を定めており、例えば「社会の発展」では、顧客のライフタイムバリューを高めるための基盤構築や多様な従業員が活躍できる環境づくり、RBA Gold認証を取得したグループ製造拠点数を3拠点に増やすなど、より具体的な目標が定められています。

また、「地球の未来」ではCo2排出の削減目標と題し、2030年度に2015年度比で65%の削減に取り組むこと、資源循環では、新製品に投入する新しい資源率を81%以下に抑えることを掲げています。

このようにブラザー工業では、「世界中のあなたの生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」というビジョンのもと、サステナビリティ目標の達成に向けて積極的に取り組んでいます。

3 ブラザー工業のESG・サステナビリティに関する外部評価

ブラザー工業のESG・サステナビリティの取り組みは、以下の通り、外部機関から高い評価を受けています。

2020年3月 「第1回上手な医療のかかり方アワード」で最優秀賞受賞
2020年7月 「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」の構成銘柄に選定
2022年3月 「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定
2022年3月 「Clarivate Top100 グローバル・イノベーター2022」に選出
2022年5月 「Eco Vadis(エコバディス)サステナビリティ調査」シルバー評価を獲得

「FTSE Blossam Japan Sector Relative Index」は、2022年3月30日からGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG指数として採用している株価指数です。TPI経営品質スコアにより改善の取り組みが評価されることから、ESGの対応に優れた日本企業のパフォーマンスを反映しており、ブラザー工業は構成銘柄として選ばれています。

また、モルガン・スタンレー社が算出している「MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)」の構成銘柄にも選定されています。労働者や管理職に占める女性の割合などから、女性の活躍を積極的に推進している企業を評価するESG指数であり、ブラザー工業は女性活躍に積極的な企業であると認められています。

そのほか、世界中のサプライチェーンに対して、21のサステナビリティ基準に基づいてスコアを算出するEco Vadis(エコバディス)のサステナビリティ調査で、シルバーの評価を獲得しています。

4 ブラザー工業の業績・株価動向

ブラザー工業の業績は好調を維持しています。2022年11月9日に開示した2023年3月期の第2四半期決算短信では、通期業績予想の上方修正を発表しています。売上収益8,400億円、営業利益730億円、経常利益730億円、最終利益510億円をそれぞれ予想しており、前回の予想売上収益を上回る見込みです。

項目 売上収益 営業利益 経常利益 最終利益
今回発表予想 8,400億円 730億円 730億円 510億円
前回発表予想 7,750億円 730億円 730億円 510億円

売上収益の上方修正に至った理由としては、期初に予想した想定為替レートが円安に推移したことや、部材不足による供給制約が緩和したこと、インクジェット複合機やプリンターなどの製品販売が堅調に推移したことなどが挙げられます。部材コストの高騰が想定以上に続いていることにより、事業セグメントの利益は下方修正しているものの、ネガティブな材料を吸収する形で過去最高の売上収益となる見込みです。

また、今期の通期業績予想と過去の業績実績を比べると、業績の拡大が続いています。特に売上収益は拡大を続ける一方、今後の課題は前年度の営業利益や経常利益、最終利益を上回れるかどうかとなっています。

項目 売上収益 営業利益 経常利益 最終利益
2021年3月期(実績) 6,318億円 427億円 429億円 245億円
2022年3月期(実績) 7,109億円 855億円 864億円 610億円
2023年3月期(予想) 8,400億円 730億円 730億円 510億円

ブラザー工業の直近の株価動向は、2022年11月9日に第2四半期決算短信を発表して以降、株価の下落が続いています。決算短信が発表されると、翌日には200円近くのギャップダウンとなり、その後は下降トレンドが継続したことで、一時は2,000円を割り込む水準まで株価が下落しています。2022年12月30日時点は2,007円台とやや回復していますが、2,500円前後の水準に戻るまでは時間を要する見込みです。

一方、直近5年間の長いスパンで株価動向を見ると、1〜2年くらいの周期で1,000円前後の値幅を横ばいで推移しており、株価のレンジは1,500円〜2,700円です。直近2017年の11月9日以来、上場来高値3,135円を更新できておらず、今後の株価動向には注視が必要です。

5 ブラザー工業の配当推移

ブラザー工業は、株主還元策として配当金による支払いを実施しています。配当金は1株あたり年間68円の配当を下限水準とした上で、内部留保とキャッシュフローの状況を鑑みて決定されます。

配当金の水準は年度ごとの業績が良ければその分引き上げられます。実際、業績が好調であることから2023年3月期の1株あたり配当予想は年間68円と、前年比で年間4円の増配を行っています。直近5年間の配当推移は、以下の通りです。

各年度 中間配当 期末配当 年間配当
2018 30円 30円 60円
2019 30円 30円 60円
2020 27円 33円 60円
2021 30円 34円 64円
2022 34円 34円(予定) 68円(予定)

期末配当の金額はあくまでも予想ですが、実現すれば年間配当金68円と過去最高の見通しです。今後も引き続き業績が好調であれば、配当金のさらなる増額も期待できるでしょう。

まとめ

ブラザー工業は、ESGやサステナビリティについて重要課題を設定した上で積極的に取り組んでおり、ESG指数の構成銘柄に採用されたり、表彰されたりするなど国内外を問わず外部機関から高く評価されています。また、ブラザー工業の売上収益は過去最高を更新しており、配当については業績の拡大に伴って増配も期待できます。

ブラザー工業のESGやサステナビリティの内容に関心のある方は、この記事を参考にご自身でも調査を進めてみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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