アズビル株式会社は、制御および自動化機器等で高いシェアを誇る老舗企業です。独自の高い技術力を通じて人々の安心や快適さ、地球環境への貢献を目指して事業を展開しているだけでなく、環境負荷の低減や人的価値の向上などサステナブル経営についても積極的に取り組んでいます。
この記事では、アズビルのESG・サステナビリティの取り組み内容について詳しく解説しています。株主還元策についても紹介していますので、アズビルへの投資を検討している方は、参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年1月10日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- アズビルの特徴
- アズビルのESG・サステナビリティの取り組み
2-1.E(環境)
2-2.S(社会)
2-3.G(ガバナンス)
2-4.アズビルのESG・サステナビリティに関する外部評価 - アズビルの業績・株価動向
3-1.アズビルの業績
3-2.アズビルの株価動向 - アズビルの配当推移
- まとめ
1 アズビルの特徴
東証プライム市場に上場しているアズビルは、計測機器の設計・製造や制御装置の開発・販売等を手がける会社です。自動化機器で高いシェアを握っているほか、空調制御については国内首位であり、時価総額は4,750億円の規模となります(2023年1月10日時点)。人々の安心や快適、達成感そして地球環境への貢献を目指しており、以下の3つの事業を収益の柱として、事業に取り組んでいます。
- ビルディングオートメーション事業
- アドバンスオートメーション事業
- ライフオートメーション事業
ビルディングオートメーション事業は、自社で開発・製造したアプリケーションソフトやコントローラ、パルプやセンサを建物市場向けに提供しています。ビルシステムや入退室管理システム、風量制御システムのような高機能の製品を販売することで、効率の良い生産現場を作ることに貢献しています。
アドバンスオートメーション事業は、工業やプラントなどの製造現場で使用される設備や装置の運用を支援する製品や保守サービスを提供する事業です。計測制御技術を発展させることで、運転監視システムや圧力計、流量計、エアクリーナのような製品を提供し、人の能力をより発揮できる生産現場の実現を目指しています。
ライフオートメーション事業は、計測や制御、計測の技術を活用することで生活に欠かせないライフラインや日常生活に密着した市場で展開している事業です。病院や研究所、製薬工場などにおいて安全な現場環境を整えるため、滅菌システムや超低温冷凍庫を提供しているほか、住宅用の火災報知器やガスメーターなどガス機器の提供を行うことで暮らしの安全に貢献しています。
2 アズビルのESG・サステナビリティの取り組み
アズビルは人を中心としたオートメーションをグループの理念に掲げて、継続的にSDGsに貢献する活動を推進することで、サステナビリティに対する価値を社会と共有しています。サステナビリティに含まれるESGのアズビルに関する具体的な取り組みは、以下の通りです。
2-1 E(環境)
アズビルは、環境負荷の低減に取り組むため、温室効果ガスの排出を削減する長期ビジョンを掲げています。2050年度の排出量を実質ゼロにすることを目標として、2030年度の事業活動に伴う排出量を2017年基準で55%削減すること、およびサプライチェーン全体の排出量を2017年基準で20%削減することを定めています。
また、製品の納品先である顧客の現場においてもCo2の削減効果を得られるように、新製品を100%リサイクル可能な設計にするなど、環境問題の解決に貢献しています。
2-2 S(社会)
アズビルは人的資本の価値向上にも取り組んでおり、「健幸経営」を定義してダイバーシティの推進や社員の働きがいの向上に努めています。例えば、ダイバーシティ推進の観点では女性の活躍を推進するため、2024年度目標として女性の役員や管理職などの役割に応じて独自に集計する「女性活躍ポイント」を2倍にすることを目指しています。
また、社員の働きがいを向上させるため、総労働時間の削減や多様なキャリア形成を促進する目的で社員が学ぶ機会を増やす取り組み等も実施中です。具体的な目標数値としては、2030年度の働くことに満足している社員の比率を65%以上、仕事を通じて成長を実感する社員の比率を65%以上とすることを掲げています。
2-3 G(ガバナンス)
アズビルでは、コーポレートガバナンスを充実させることを経営の重要課題としています。具体的には、取締役会の監督や監査機能の強化、経営の透明化に積極的に取り組んでおり、経営の監査機能を強化するため、監査役設置会社から指名委員会等設置会社に移行することで、社外取締役からの多様な意見を取り入れる基盤を整えています。
また、コンプライアンス意識を徹底するため、コンプライアンス遵守体制を構築するとともに、役員や部門長に対し、外部の専門講師によるコンプライアンス教育を実施中です。
2-4 アズビルのESG・サステナビリティに関する外部評価
アズビルのESG・サステナビリティの取り組みは、以下のように外部機関から高い評価を受けています。
2022年12月 | CDP2022「気候変動」において最高評価のAリストに選定 |
2022年9月 | 第5回「SUSTAINA ESG AWARDS 2022」シルバークラスを受賞 |
2022年4月 | 「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に選定 |
2022年2月 | 「サプライヤー・エンゲージメント評価」で最高評価のリーダーに選定 |
2022年1月 | シンガポールApexコーポレートサステナビリティアワード2021を受賞 |
CDP2022「気候変動」は、国際環境非営利団体であるCDPが気候変動に関して、温室効果ガスの排出削減などに取り組む企業のうち、情報開示とともに優れた企業を評価しています。CDPの回答に応じた約18,700社の主要企業のうち、アズビルは気候変動のAリスト283社に選ばれています。
また、「SUSTAINA ESG AWARDS 2022」は、サステナビリティ経営において先進的な企業を表彰する制度です。ESGスコアと財務スコアを総合して上位100社を選定しており、アズビルはこのうち上位50社に当たるシルバークラスを受賞しています。
「FTSE Blosom Japan Sector Relative Index」は、ESG投資におけるグローバルインデックスです。セクターごとにESGの対応に優れた日本企業のパフォーマンスを反映しており、ESG投資の運用におけるベンチマークとして活用される中、アズビルはESG投資の主要指数を構成する銘柄に選ばれています。
「サプライヤー・エンゲージメント評価」は、サプライチェーン全体で気候変動の課題を解決しているかを評価する制度であり、グローバル企業約6,300社のうち、アズビルは上位8%に選ばれています。このほか、シンガポールにおいて最も栄誉ある「シンガポールApexコーポレーション」主催のサステナビリティアワードでも表彰されています。
3 アズビルの業績・株価動向
アズビルの業績や株価動向などの銘柄に関する情報も確認してみましょう。
3-1 アズビルの業績
2022年11月8日に開示した2023年3月期の第2四半期決算短信では、通期業績予想の上方修正を行っています。当初の予想数値と比べ、売上高は25億円増加の2,775億円、経常利益は8億円増加の310億円、当期純利益は3億円増加の218億円を見込んでいます。
業績好調の背景にあるのは、都市再開発計画によって大型建物向けの空調制御機器およびシステムの需要が堅調に推移していることや、既存設備の改修について好調に受注を拡大していることなどが挙げられます。今期の業績予想と直近の業績実績は、以下の通りです。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
---|---|---|---|---|
2019年3月期実績 | 2,620億円 | 266億円 | 276億円 | 189億円 |
2020年3月期実績 | 2,594億円 | 272億円 | 277億円 | 197億円 |
2021年3月期実績 | 2,468億円 | 257億円 | 263億円 | 199億円 |
2022年3月期実績 | 2,565億円 | 282億円 | 295億円 | 207億円 |
2023年3月期予想 | 2,775億円 | 298億円 | 310億円 | 218億円 |
また、アズビルでは2030年度をゴールとする長期目標と、2024年度を最終目標とする中期経営計画を掲げて事業に取り組んでいます。2030年度をゴールとする長期目標では、売上高4,000億円、営業利益600億円、ROE13.5%程度を目指しており、2024年度の中期目標では、売上高3,000億円、営業利益360億円、ROE12%程度の達成を目指しています。
3-2 アズビルの株価動向
一方、株価は冴えない展開が続いています。2022年1月から株価は右肩下がりを続けており、2022年1月4日の株価は5,420円で始まりましたが、2023年1月6日時点終値は3,285円と2,000円以上値下がりしています。
なお、2022年1月以前の株価推移は好調で、2020年3月のコロナショックでは、株価は一時的に2,215円を付けているものの、そのあとは右肩上がりが継続したことで、2021年1月14日には上場来高値6,120円を付けるなど、1年間で3倍近く値上がりしました。
直近の株価動向はいまいちの展開が続いていますが、年足チャートは引き続き上昇トレンドが継続していることから、株価が反発するかどうかに注目したい状況です。
4 アズビルの配当推移
アズビルは、株主還元策として配当金の支払いを行っています。配当金は中間配当と期末配当の年に2回支払われます。
アズビルでは、連結業績や自己資本における当期純利益の割合および将来の事業展開に必要な内部留保など、さまざまな数値を考慮して配当水準を決めており、その向上に努めています。
2022年度の配当金は1株あたり中間配当で32.50円、期末配当で32.50円を予想しており、年間配当金は65円となる見込みです。今期の配当予想と過去10年の1株あたり配当金の推移は、以下の通りです。
各年度 | 年間配当金 |
---|---|
2012年度 | 31.50円 |
2013年度 | 31.50円 |
2014年度 | 31.50円 |
2015年度 | 33.50円 |
2016年度 | 38.50円 |
2017年度 | 41.00円 |
2018年度 | 46.00円 |
2019年度 | 50.00円 |
2020年度 | 55.00円 |
2021年度 | 60.00円 |
2022年度 | (予想)65.00円 |
2012年度〜2014年度までの年間配当金は変わらないものの、その後は順調に配当金の増配を行っています。今期の年間配当金額についても過去最高を見込んでおり、今後も増配が期待できます。なお、アズビルの決算期は3月であることから、9月30日と3月31日に株主が確定します。配当金を受け取りたい場合、株主が確定する期日までに株を保有することが大切です。
まとめ
アズビルは、社会の持続可能性に寄与するべく、ESG・サステナビリティに対して積極的に取り組んでおり、気候変動対策である温室効果ガスの削減について外部機関から高く評価されるなど、実績も豊富です。また、株主還元策として配当金の支払いは増配が続いており、今後さらなる配当金の増額が期待できる状況です。
アズビルのESGやサステナビリティの内容に関心のある方は、この記事を参考にご自身でも調査を進めてみてください。
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