高配当の米国株10選、企業概要・利回り・業績・今後の動向を解説【2021年8月】

株式投資のメリットは株価上昇と配当金成長です。配当金は企業業績により変動しますが、米国企業の中には連続増配企業も珍しくありません。

株式投資の尺度に配当利回り(配当金額÷株価)があります。配当利回りが高い銘柄は魅力的な面がある一方、配当利回りの上昇要因が株価下落の場合には注意する必要があります。企業業績の低迷を株価が示唆している可能性があるからです。そのため、株価も配当金も上昇基調にある銘柄に投資することが重要です。

今回は、*バンガード米国増配株式ETF(過去10年連続増配の米国株)の保有銘柄を中心に、株価・配当金ともに上昇基調で、かつ過去5年株価上昇率がS&P500指数と同等以上の10銘柄について、企業概要、利回り、業績や今後の動向を解説します。

*バンガード米国増配株式ETF(ティッカー:VIG)は過去10年間連続増配の米国中型・大型株に投資するETFです。ファンド保有の上位10銘柄は、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、マイクロソフト、J&J、ウォルマート、ユナイテッドヘルス・グループ、ビザ、ホーム・デポ、P&G、コムキャスト、コカ・コーラで、ポート全体の約31%を占めています。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年8月13日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. ブロードコム(ティッカー:AVGO)
    1-1.ブロードコムの企業概要
    1-2.ブロードコムの配当利回り
    1-3.ブロードコムの企業決算
    1-4.ブロードコムの今後の動向
  2. テキサス・インスツルメント(ティッカー:TXN)
    2-1.テキサス・インスツルメントの企業概要
    2-2.テキサス・インスツルメントの配当利回り
    2-3.テキサス・インスツルメントの企業決算
    2-4.テキサス・インスツルメントの今後の動向
  3. ユナイテッドヘルス・グループ(ティッカー:UNH)
    3-1.ユナイテッドヘルス・グループの企業概要
    3-2.ユナイテッドヘルス・グループの配当利回り
    3-3.ユナイテッドヘルス・グループの企業決算
    3-4.ユナイテッドヘルス・グループの今後の動向
  4. JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(ティッカー:JPM)
    4-1.JPモルガンの企業概要
    4-2.JPモルガンの配当利回り
    4-3.JPモルガンの企業決算
    4-4.JPモルガンの今後の動向
  5. コムキャスト(ティッカー:CMCSA)
    5-1.コムキャストの企業概要
    5-2.コムキャストの配当利回り
    5-3.コムキャストの企業決算
    5-4.コムキャストの今後の動向
  6. ブラックロック(ティッカー:BLK)
    6-1.ブラックロックの企業概要
    6-2.ブラックロックの配当利回り
    6-3.ブラックロックの企業決算
    6-4.ブラックロックの今後の動向
  7. マイクロソフト(ティッカー:MSFT)
    7-1.マイクロソフトの企業概要
    7-2.マイクロソフトの配当利回り
    7-3.マイクロソフトの企業決算
    7-4.マイクロソフトの今後の動向
  8. メルク(ティッカー:MRK)
    8-1.メルクの企業概要
    8-2.メルクの配当利回り
    8-3.メルクの企業決算
    8-4.メルクの今後の動向
  9. スリーエム(3M) (ティッカー:MMM)
    9-1.スリーエムの企業概要
    9-2.スリーエムの配当利回り
    9-3.スリーエムの企業決算
    9-4.スリーエムの今後の動向
  10. ジョンソン・エンド・ジョンソン(ティッカー:JNJ)
    10-1.J&Jの企業概要
    10-2.J&Jの配当利回り
    10-3.J&Jの企業決算
    10-4.J&Jの今後の動向
  11. まとめ

1 ブロードコム(ティッカー:AVGO)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
50.00 23.64 13.44 2.96

1-1 ブロードコムの企業概要

ブロードコムは半導体メーカーで、半導体の設計・開発・販売を主要事業としています。

2020年度の売上高は、238.8億ドル(前年比5.7%増)、純利益が26.6億ドル(前年比マイナス1.18%)、売上高利益率は11.14%です。

1-2 ブロードコムの配当利回り

配当利回りは2.96%。配当金は14.4ドル(直近1年:3.6ドル×4回)、株価が486.16ドル(2021年8月13日時点)。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年9月が1.75ドル、2018年12月が2.65ドル、2020年3月が3.25ドル、2020年12月が3.6ドルと上昇しています。

1-3 ブロードコムの企業決算

2021年6月に発表された第2四半期の売上高は66.1億ドルと、市場予想の65.1億ドルを上回りました。

1-4 ブロードコムの今後の動向

次世代通信規格5Gの普及や、半導体不足が深刻化するなかでの半導体需要の増加により、半導体メーカーである同社は恩恵を受けることができるため、業績も順調に拡大すると予想されています。

2 テキサス・インスツルメント(ティッカー:TXN)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
21.75 36.72 8.16 2.16

2-1 テキサス・インスツルメントの企業概要

テキサス・インスツルメンツは世界的な半導体メーカーで、半導体の設計や製造が主な事業です。2020年度決算の売上高は144.6億ドル(2019年度:143.8億ドル)、純利益は55.95億ドル(2019年度:50.17億ドル)、売上高利益率は38.69%(34.88%)です。

2-2 テキサス・インスツルメントの配当利回り

配当利回りは2.16%。配当金は4.08ドル(直近1年:1.02ドル×4回)、株価は188.70ドル(2021年8月13日)。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年9月が0.77ドル、2019年9月が0.90ドル、2020年9月が1.02ドルと上昇しています。

2-3 テキサス・インスツルメントの企業決算

2021年第2四半期の売上高は45.8億ドルと、市場予想の43.6億ドルを上回りました。

2-4 テキサス・インスツルメントの今後の動向

企業の第3四半期の売上高予想は44.0~47.6億ドル(市場予想:46.4億ドル)。市場予想の範囲内に収まっていたため、市場には失望感が出ています。第3四半期決算は2021年10月20日に予定されているため、株価は上値を追いづらい環境にあります。

3 ユナイテッドヘルス・グループ(ティッカー:UNH)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
19.60 38.41 9.02 1.26

3-1 ユナイテッドヘルス・グループの企業概要

ユナイテッドヘルス・グループは管理医療システムを保有、運用する会社です。

2020年度決算の売上高は2,571.4億ドル(2019年度:2,421.5億ドル)、純利益は154.0億ドル(2019年度:138.3億ドル)、売上高利益率は5.99%(5.71%)です。

3-2 ユナイテッドヘルス・グループの配当利回り

配当利回りは1.26%。配当金は5.20ドル(直近1年:1.25ドル×3回、1.45ドル×1回)、株価が409.67ドル(2021年8月13日)。過去3年間の1回当たりの配当金は2018年6月に0.90ドル、2019年6月は1.08ドル、2020年6月が1.25ドル、2021年6月が1.45ドルと上昇しています。

3-3 ユナイテッドヘルス・グループの企業決算

2021年第2四半期の売上高は713.2億ドルと、市場予想の694.4億ドルを上回りました。

3-4 ユナイテッドヘルス・グループ今後の動向

シニアサービスの成長は顧客層の拡大に繋がっているため、今後の業績についても堅調に推移するとの見方がコンセンサスとなっています。

4 JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(ティッカー:JPM)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
14.87 34.57 3.81 2.25

4-1 JPモルガンの企業概要

JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーは国際的な金融機関です。リテール銀行業務から投資銀行業務まで幅広い業務を行っています。

2020年度決算の売上高は1,195.4億ドル(2019年度:1,153.9億ドル)、純利益は291.3億ドル(2019年度:364.3億ドル)、売上高利益率は24.36%(31.56%)です。

4-2 JPモルガンの配当利回り

配当利回り2.25%です。配当金は3.60ドル(直近1年:0.90ドル×4回)、株価が159.98ドル(2021年8月13日)。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年9月が0.80ドル、2019年9月が0.90ドル、2021年9月が1ドル(予定)と上昇しています。

4-3 JPモルガンの企業決算

2021年第2四半期の売上高は304.79億ドルと、市場予想の300.61億ドルを上回りました。

4-4 JPモルガンの今後の動向

テーパリングを控え金融市場に収益機会が増えることが予想されます。

5 コムキャスト(ティッカー:CMCSA)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
12.83 25.00 7.89 1.68

5-1 コムキャストの企業概要

コムキャストはケーブルテレビや情報通信の会社です。

2020年度決算の売上高は1,035.6億ドル(2019年度:1,089.4億ドル)、純利益は105.3億ドル(2019年度:130.5億ドル)、売上高利益率は10.17%(11.98%)です。

5-2 コムキャストの配当利回り

配当利回りは1.68%。配当金は1.00ドル(直近1年:0.25ドル×4回)、株価が59.32ドル(2021年8月13日)です。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年10月が0.19ドル、2019年1月が0.21ドル、2020年1月が0.23ドル、2021年1月が0.25ドルと上昇しています。

5-3 コムキャストの企業決算

2021年第2四半期の売上高は285.4億ドルと、市場予想の271.8億ドルを上回りました。

5-4 コムキャストの今後の動向

同社の事業内容は一定の安定性があり、今後も米国や英国での売上増が期待できると想定されています。

6 ブラックロック(ティッカー:BLK)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
11.66 14.62 12.04 1.74

6-1 ブラックロックの企業概要

ブラックロックは投資運用会社です。ファンド運用のほか、リスク管理サービスなどを世界展開しています。ETFに関してはiSharesブランドで知られ、この商品は日本市場にも上場しています。

2020年度決算の収益は162.05億ドル(2019年度:145.53億ドル)、純利益は49.32億ドル(2019年度:44.76億ドル)、売上高利益率は30.43%(30.78%)です。

6-2 ブラックロックの配当利回り

配当利回り1.74%です。配当金は16.02ドル(直近1年:4.13ドル×3回、3.63ドル×1回)、株価が916.86ドル(2021年8月13日)です。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年1月が3.13ドル、2019年1月が3.30ドル、2020年1月が3.63ドル、2021年1月が4.13ドルと上昇しています。

6-3 ブラックロックの企業決算

2021年第2四半期の売上高は48.2億ドルと、市場予想の45.8億ドルを上回りました。

6-4 ブラックロックの今後の動向

近年、ETFやESG(環境・社会・ガバナンス)関連のファンドに投資家からの資金が流入し、運用手数料が増加。ESGは世界的な投資テーマとなっているため、今後もこの流れは続く見込みです。

7 マイクロソフト(ティッカー:MSFT)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
9.52 15.07 14.21 0.76

7-1 マイクロソフトの企業概要

マイクロソフトはソフトウェアメーカーで、開発、製造、販売、サポート事業を展開しています。

2021年度決算の収益は1,680.88億ドル(2020年度:1,420.15億ドル)、純利益は612.71億ドル(2020年度:442.81億ドル)、売上高利益率は36.45%(30.96%)です。

7-2 マイクロソフトの配当利回り

配当利回りは0.76%です。配当金は2.24ドル(直近1年:0.56ドル×4回)、株価が292.85ドル(2021年8月13日)です。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年9月が0.46ドル、2019年9月が0.51ドル、2020年9月が0.56ドルに上昇しています。

7-3 マイクロソフトの企業決算

2021年第4四半期の売上高は461.52億ドルと、市場予想の442.40億ドルを上回りました。

7-4 マイクロソフトの今後の動向

サブスクリプション契約者数の増加や、クラウドサービスの販売額増が全体の売上高増を牽引しています。コロナ禍を背景とした在宅ワークや学校等の遠隔授業の広がりにより、クラウドサービスは今後も成長期待がもてる事業と見込まれます。

8 メルク(ティッカー:MRK)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
6.94 15.05 5.43 3.33

8-1 メルクの企業概要

メルクは医薬品大手で、処方薬、ワクチン、コンシューマーケア製品などの開発、製造、販売を行っています。

2020年度決算の収益は479.94億ドル(2019年度:468.40億ドル)、純利益は706.70億ドル(2020年度:984.30億ドル)、売上高利益率は14.72%(21.01%)です。

8-2 メルクの配当利回り

配当利回り3.33%です。配当金は2.56ドル(直近1年:0.65ドル×3回、0.61ドル×1回)、株価が76.72ドル(2021年8月13日)です。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年10月が0.55ドル、2019年11月が0.61ドル、2020年11月が0.65ドルと上昇しています。

8-3 メルクの企業決算

2021年第2四半期の売上高は1,140.2億ドルで、市場予想の1,119.6億ドルを上回りました。

8-4 メルクの今後の動向

新型コロナ感染症の影響でコロナ以外のワクチンや処方箋薬の販売が鈍っていましたが、医療機関においてコロナ感染症とコロナ以外の治療の両立が可能となってきたため、がん治療薬や予防薬の売上が回復傾向にあります。

9 スリーエム(3M) (ティッカー:MMM)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
6.68 21.72 3.75 2.94

9-1 3Mの企業概要

3Mはコングロマリット企業です。電子、工業、商事、オフィス製品、ヘルスケア、テクノロジーなど幅広い事業を手掛けています。

2020年度決算の収益は321.84億ドル(2019年度:321.36億ドル)、純利益は53.84億ドル(2020年度:45.70億ドル)、売上高利益率は16.72%(14.22%)です。

9-2 3Mの配当利回り

配当利回り2.94%です。配当金は5.9ドル(直近1年:1.48ドル×2回、1.47ドル×2回)、株価が200.58ドル(2021年8月13日)です。過去3年間の1回当たりの配当金は、2018年2月が1.36ドル、2019年2月が1.44ドル、2020年2月が1.47ドル、2021年2月が1.48ドルと上昇しています。

9-3 3Mの企業決算

2021年第2四半期の売上高は89.50億ドルと、市場予想の85.67億ドルを上回りました。

9-4 3Mの今後の動向

米国でのヘルスケア事業の売上高が50.62億ドル(前年:42.00億ドル)と、前年比20.52%伸びています。この事業は年々拡大傾向にあり、全体の売上高に占める割合が25.92%(前年23.12%)に成長しました。ヘルスケア分野は米国で市場が拡大傾向にあり、この事業の伸びが同社にとっての鍵となりそうです。

10 ジョンソン・エンド・ジョンソン(ティッカー:JNJ)

5年間の配当成長率(%) 5年間の株価上昇率(%) 5年間の売上平均成長率(%) 配当利回り(%)
6.04 15.32 5.11 2.34

10-1 J&Jの企業概要

ジョンソン・エンド・ジョンソンはヘルスケア製品メーカーです。医薬品、医療機器など製品やサービスを提供しています。

2020年度決算の売上は825.84億ドル(2019年度:820.59億ドル)、純利益は147.14億ドル(2020年度:151.19億ドル)、売上高利益率は17.81%(18.42%)です。

10-2 J&Jの配当利回り

配当利回り2.34%です。配当金は4.14ドル(直近1年:1.06ドル×2回、1.01ドル×2回)、株価が176.25ドル(2021年8月13日)です。過去3年間の1回当たりの配当金は2018年4月が0.90ドル、2019年4月が0.95ドル、2020年4月が1.01ドル、2021年4月が1.06ドルと上昇しています。

10-3 J&Jの企業決算

2021年第4四半期の売上高は233.12億ドルと、市場予想の225.39億ドルを上回りました。

10-4 J&Jの今後の動向

2020年度の売上セグメントでは、医療機器の売上が前年比マイナス11.57%の229.59億ドルでした。医療機器の売上減少が、コンシュマーヘルスや製薬事業の足を引っ張る格好となっています。今後は医療機器分野の動向が注目されます。

まとめ

足元での配当利回り水準が低くても、増配が繰り返されることで簿価を基準とした配当利回りは上昇します。

配当利回りが高い銘柄の多くは、株価上昇期待が低いことから株価が低迷し、結果的に配当利回りが高いという傾向があります。そのため、配当利回りが高い企業の株式に投資する際には、過去の株価と指数の推移を比較し、株価が指数を大幅に下回っている企業は避けるようにしましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。