投資のプロがおすすめする高配当株3選 配当利回り3.5%以上の割安銘柄を解説【日本株】

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高配当株への投資に興味を持っているものの、どのように選んだらいいのか分からず、悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

本稿では投資のプロである筆者が、高配当株の種類や、今後の成長が期待でき、長期運用に向いている高配当銘柄を解説します。NISA枠の活用などで、是非参考にしてみてください。

※株価は全て2023年11月15日の終値です。
※本記事は2023年11月27日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. 高配当銘柄の種類
    1-1.成熟産業
    1-2.成長産業
  2. 今から狙える高配当銘柄
    2-1.本田技研工業(7267)
    2-2.INPEC(1605)
    2-3.日本製鉄(5401)
  3. まとめ

1.高配当銘柄の種類

高配当銘柄には、2つのタイプに分類できます。

  • 成熟産業に属する企業で、今後の成長が期待されないため、株価が割安な水準に放置されている企業
  • 企業が成長しているものの、なんらかの理由で株価が低水準で推移している企業

以下で、詳しく解説します。

1-1.成熟産業

成熟産業の例として、学習塾が挙げられます。日本では少子化が進んでいるため、市場が縮小傾向にあります。参入障壁が低く競争が激しいためです。

総務省によると2022年10月時点では15歳未満人口は前年に比べ28.2万人減少しました。

参照:総務省「人口推計

高配当株の例としてナガセ(9733)を取り上げてみましょう。同社は、大学受験塾の「東進ハイスクール」や中学受験塾の「四谷大塚」を運営しています。

2023年3月期の売上は前年比6.0%増、純利益は16.3%増と好調でした。しかし、2022年12月に1,830円(分割調整後)だった株価は1,895円と、ほぼ同水準で推移しています。TOPIXは同期間で約25%上昇しています。

参照:ナガセ「決算説明会資料

ナガセは、株価低迷により配当利回りは約3.5%と、高利回りです。

1-2.成長産業

成長産業の例としては、半導体産業が挙げられます。半導体の市場規模は、AIや電気自動車の普及とともに拡大基調にあります。半導体の世界市場は2030年には約1.13兆ドルと、2022年の6,406億ドルからの拡大が予想されています。

参照:Newscast「半導体の世界市場-2023年~2030年

半導体関連の高利回り銘柄として、フェローテックホールディングス(6890)が挙げられます。フェローテックホールディングスの2023年3月期の売上高は前年比57.53%増の2,108億円、純利益は同11.41%増です。

参照:フェローテックホールディングス「第43期決算報告書

2023年3月期の配当金額は105円、株価が2,758円なので、配当利回りは3.80%です。株価は安値圏で推移しています。

2.今から狙える高配当銘柄

2-1.本田技研工業(7267)

本田技研工業は、自動車メーカーとして国内第3位、世界第4位、オートバイで世界トップククラスの販売台数を誇っています。特に、オートバイはアセアン3国(インドネシア、ベトナム、タイ)で75%以上の市場シェアを占めています。インドにおいても、約25%の市場シェアを誇っています。

二輪事業の営業利益率(2023年第2四半期累計)は16.10%と、四輪事業の4.74%を大きく上回っています。同期の売上高は二輪車事業が1兆5,725億円、四輪車事業が6兆3,470億円と大きな差があるものの、営業利益では二輪車事業が2,533億円に対し、四輪車事業は3,012億円と売上高ほど大きな差はありません。

参照:HONDA「2023年度第2四半期決算説明会

本田技研工業は、2001年からインドでの事業を展開しており、2024年に二輪電動製品の発売を予定しています。

インドでは二輪車のEV化が進んでおり、インド道路交通・高速道路省によると、2022年の二輪電動バイクは2021年の15.6万台から62.9万台と、約4倍に拡大しました。インドの二輪車市場は世界最大で、同社の市場シェアは拡大の余地があります。インド市場での販売拡大が業績の鍵となりそうです。

参照:ジェトロ「2022年のEV登録台数100万台超、二輪車は前年比4倍以上

予想PER8.52倍、PBR0.63倍、株価1,602.5円、配当金58円、配当利回り3.62%です。

2-2.INPEC(1605)

INPEC(旧国際石油開発帝石株式会社)は、日本最大級の総合エネルギー開発企業として、石油・天然ガスなどを日本に供給しています。株式の21.19%を経済産業大臣が保有しています。

日本政府は、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け取り組んでいます。二酸化炭素を排出しない、クリーンエネルギーとして水素への期待が高まっています。同社は、川崎重工業と岩谷産業が共同出資する日本水素エネルギー株式会社(JSE)に資本算入し、2030年代の水素商業化に向け水素の液化・輸送技術の確立と、国際液化水素サプライチェーンの構築を目指しています。

なお、INPECは株主優待制度を実施しており、毎年12月31日時点、400株以上を1年以上継続保有すると株数・継続保有年数に応じ、QUOカード(1,000円~5,000円)を受け取ることができます。

予想PER7.98倍、PBR0.62倍、株価2,083円、配当金74円、配当利回り3.55%です。

2-3.日本製鉄(5401)

日本製鉄は、日本最大手の高炉メーカーです。粗鋼生産量において日本最大で、世界では第4位です。

参照:日本製鉄「統合報告書

製鉄所では、鉄鉱石やコークス(石炭)を高炉に投入し、鉄を製造しています。コークスを燃やす際には二酸化炭素が大量に発生し、鉄鋼業界の二酸化炭素排出量は、国内製造業業界別排出量371万トン(2020年度)のうち、最大の35%を占めています。

参照:経済産業省「鉄鋼業の脱炭素化に向けた世界の取り組み(前編)~「グリーンスチール」とは何か?

そのため、日本鉄鋼業は「COURSE50」というプロジェクトを立ち上げ、コークスの代わりに水素を利用して鉄を製造する「水素還元製鉄」の開発に取り組んでいます。2030年に高炉・転炉プロセスでのCOURSE50の実機化などで、対2013年比で30%の二酸化炭素削減の実現、2050年にはカーボンニュートラルを目指しています。

2023年8月には、高炉水素還元技術Super COURSE50の試験炉において、高炉本体から二酸化炭素排出量を22%削減する効果(世界最高水準)が確認されました。さらに、2023年内をめどに、30%以上の削減を目指した試験を予定しています。

参照:日本鉄鋼業「カーボンニュートラルビジョン2050

予想PER7.27倍、PBR0.66倍、株価3,314円、配当金150円、配当利回り4.53%です。

3.まとめ

今回は、高配当銘柄を3銘柄を解説しました。INPECはクリーンエネルギー分野、日本製鉄は水素還元製鉄の開発で、ともに脱酸素化を目指しています。本田技研工業は、成長期待が高いインド市場で2024年に二輪電動製品の販売を予定しています。

これら3銘柄については、いずれも配当利回りが3.5%超えで、PBRは1倍を下回り、PERについても割安感があります。また今後の成長期待が高いため、長期運用に適している銘柄と言えるでしょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。