ヘルステック業界のシェア上位は?業績と事業概要、株価推移も【2022年9月】

ヘルステックとは、ヘルス(Health)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉です。近年、IT技術の進歩によって、医療や健康の分野でAI等のテクノロジーが使われるようになりました。

日本は国民皆保険制度を取っており、国民は平等に医療サービスを受けられます。一方で、高齢化に伴う医療費の増加や、医療の地域間格差が社会問題となっています。こうした問題を解決するために、医療サービスにテクノロジーの力を利用したサービスがヘルステックです。

ヘルステック業界は、健康管理から遠隔手術など幅広く、小さな資本でも参入できるため多くの企業が参画しています。そこで今回は、ヘルステック業界のシェア上位の上場企業(日米)を中心に業績と事業概要を解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年9月16日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. ヘルステックサービスの分類
    1-1.予防医療に関するもの
    1-2.治療に関するもの
    1-3.健康維持に関するもの
  2. ヘルステック業界シェア上位の銘柄
    2-1.治療に関する企業
    2-2.健康維持に関する企業
  3. 2-3.予防医療に関する企業

  4. まとめ

1 ヘルステックサービスの分類

ヘルステック業界は、予防関連、治療関連、健康維持関連の3つに分類されます。それぞれ見ていきましょう。

1-1 予防医療に関するもの

予防医療とは、病気にかからないために、日々の食事管理や運動をして予防することです。定期健診の受診や、栄養補助サプリメントの摂取といった予防医療に加え、最近では腕時計型の端末を着用することで、1日の歩数や睡眠の質、カロリー消費量などを自動的に測定し管理できるスマートウォッチも登場しています。

このほか、唾液を検査することで、遺伝子との関連が強い疾患に対するリスクを解析し、かかりやすい病気や傾向を知ることができる遺伝子解析サービスも増えています。

1-2 治療に関するもの

治療に関するものとしては、オンライン診療が挙げられます。近隣に病院などの医療施設が少なくて困っている人や、外出が困難な方もオンラインで治療を受けられるようになりました。

また、電子カルテの登場により、従来の紙ベースからパソコンやタブレットでの管理となったことで、ミス防止や医療従事者の業務負担軽減につながっています。CT等の画像データや検査結果も簡単に共有可能となったことで、より適切で効率的な医療が受けられるようになり、過疎地域での医師不足にも貢献しています。

1-3 健康維持に関するもの

健康維持には、適度な運動とバランスの取れた食事、十分な睡眠が大切です。最近では、ウェアラブル端末で、日々の消費カロリーや血中酸素濃度、睡眠の管理ができるような健康管理機器・ツールが多く登場しています。これにより、個々人がこれまでよりも簡単に健康状態が管理できるようになりました。

2 ヘルステック業界シェア上位の銘柄

ここでは、ヘルステック業界を、予防医療に関する企業、治療に関する企業、健康維持に関する企業に分け、シェアの高い銘柄を解説します。

2-1 治療に関する企業

治療分野の主な企業には以下のようなものがあります。

メドレー(4480)

メドレーのCLINICSカルテ(電子カルテ)は、2022年上半期の電子カルテ選びの指標である問い合わせ数ランキング(クリニック開業マガジン)で1位でした。患者のアプリと繋がり効率的な診察ができることが評価されています。

2022年度の売上高は124億円と前期比13.7%増で、順調に売上を伸ばしています。株価は2,953円、予想PERは103.96倍と相対的に割高な水準と言えそうです。

エムスリー(2413)

エムスリーは、医療従事者向けに医療関連情報をインターネット経由で提供しています。高齢化社会が直面する問題を解決することをミッションとし、事業展開をしています。

2022年3月決算の売上高は2,081.59億円で、前期比23.02%増と好調でした。過去5年の平均売上成長率は21.26%と、高成長企業と言えそうです。株価は4,434円で、予想PERが56.36倍と割高な水準と言えそうです。

大塚ホールディングス(4578)

大塚ホールディングスは、医療関連事業を管理・運営しています。グループ会社の大塚製薬が提供するサービスであるデジタルメディスンは、錠剤に微小なセンサーを埋め込み、服薬状況等を把握するサービスです。

センサーが胃液に反応し、患者に貼り付けた別のセンサーがシグナルをキャッチし、クラウド上で服薬状況が確認でき、薬の飲み忘れの防止が可能です。また、患者の活動量なども把握可能なため、より効率的で個々に適した治療が可能となることが期待されています。

大塚ホールディングスの2021年度の売上高は、1兆4983億円と前年比5.3%増でした。売上高は2016年度から拡大傾向にあり、過去5年の売上平均成長率は6.7%です。株価は4,530円、予想PERが18.08倍と若干割高な水準と言えそうです。

2-2 健康維持に関する企業

健康維持には、バランスの取れた食事と適度な運動を心掛け、実践が大切です。

最近では、腕時計型のウェアラブル端末や、スマートフォン向け健康管理アプリ等を利用し、簡単に1日に食事のカロリー計算や運動量などを把握することができます。自身の1日に必要なカロリーと消費カロリーを比べ、運動量をコントロールしながらカロリー調整することで、健康維持ができます。

アップル(AAPL)

アップルは、iPhone(アイフォーン)と連携するアップルウォッチを販売しています。アップルウォッチは、運動量や心拍数、睡眠時間の記録や血中酸素濃度を測ることができ、自身の健康状態が管理できます。

2021年度の売上高は3,658.17億ドル、前期比33.25%増です。過去5年の平均売上高成長率は13.51%と順調に成長しているようです。株価は150.7ドル、予想PERが24.69倍と割高な水準で推移していると言えそうです。

オムロン(6645)

オムロンは、ヘルスケア事業として、日常的に装着可能なウェアラブルタイプの血圧計の販売を開始しました。血圧や歩数、睡眠パターンなどをスマートフォンへ自動で記録できるほか、服薬時間リマインダー機能などもあり、医療機器として薬事認証を取得しています。

2022年度の売上高は7,629億円、前期比20.95%増です。株価は2022年初より下落基調にあり、2021年12月末に11,500円台だった株価は2022年6月には6,500円を下回りました。現在の株価は6,895円、予想PERが21.8倍で若干割高な水準といえそうです。

ペロトン・インタラクティブ(PTON)

ペロトン・インタラクティブは、米国のフィットネスサービス企業でフィットネス関連機器の開発や販売をおこなっています。また、エクササイズ動画を制作・配信し、自宅で本格的なトレーニングが可能です。

2021年度の売上高は35.82億ドル、前年比10.93%減です。利益はマイナス28.27億ドルです。コロナ禍で売上が急伸した反動が出ているようです。株価は9.74ドルと上場来安値近辺で推移しています。

2-3 予防医療に関する企業

予防医療に関する企業を2社紹介します。

イルミナ(ILMN)

イルミナは、ゲノム解析に用いるDNA解析装置の最大手で、機器の開発から販売を展開しています。

2021年度の売上高は、前年比39.73%増の45億2,600万ドルでした。過去5年間の平均売上成長率は16.59%で、順調に売上を伸ばしています。また、売上利益率が約70%、利益率が16.84%と好調です。

一方、株価は前回高値を付けた2021年8月中旬の526ドルから下落基調にあり、足元の株価は199.88ドル、予想PERが71.21倍と相対的に割高な水準で推移していると言えそうです。

ディー・エヌ・エー(2432)

ディー・エヌ・エーは、スマホ向けゲーム開発・配信やコミュニティサイト運営のほか、ヘルスケア事業も手掛けています。ヘルスケア事業としては、健康データの一元管理などを行う健康保険組合向けサービスのほか、遺伝子検査マイコードの運営などが挙げられます。

遺伝子検査マイコードは、個人の唾液から遺伝子を分析し、病気のかかりやすさや体質が分かるため、日々心掛けることで病気の予防ができます。

2022年度の売上高は1,300億円で前年比4.45%減でした。利益率が23.33%と高く、業績は比較的堅調と言えそうです。株価は1,871円、予想PERが15.65倍と割高感はないと言えそうです。

まとめ

ヘルステック業界は、すそ野が広く参入障壁が低いという特徴があります。そのため、未上場企業が多く参入しています。

健康志向の高まりや、高齢化や医療の地域格差問題などを背景に、ヘルステック市場は今後も拡大が予想されています。グローバルインフォメーションの予想では、同市場は2020年の1,833億ドルから2025年には4,800億ドルに成長するとされています。

今回、解説した企業以外にも多くの上場企業がヘルステック業界に参入しています。今後も新しい企業が参入し、市場が活発となることが予想されます。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。