先物取引、レバレッジは何倍まで可能?リスクの取り方や計算方法も

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先物取引の特徴の一つが「レバレッジ取引」です。レバレッジ取引を利用すれば、少額の資金でも大きな利益を狙えます。しかし、思惑通りにマーケットが動かなかった場合は、大きな損失を被る恐れがあるので注意が必要です。

この記事では、先物のレバレッジ取引の方法とリスク管理の仕方について解説します。

目次

  1. レバレッジ(leverage)とは
  2. レバレッジは先物取引の特徴の1つ
  3. 株価指数先物取引の証拠金は「SPAN」で計算する
  4. レバレッジ取引ではリスク管理をきちんとする
  5. 先物取引の追証に注意する
  6. まとめ

1.レバレッジ(leverage)とは

レバレッジとは、「てこの作用」のことです。てこを用いると、自分の力では動かせなかった重いものを持ち上げることができます。てこによって、自分の加えた力が何倍にもなるからです。

先物取引のレバレッジにも、同じような働きがあります。担保として預けたお金(証拠金)の何十倍もの金額を取引できるからです。少額の資金で大きな金額を取引することを「レバレッジ効果」といいます。

たとえば、6万円の証拠金で60万円分の先物取引をした場合、レバレッジは10倍(60万円÷6万円)となります。

2.レバレッジは先物取引の特徴の1つ

レバレッジは、先物取引の特徴の一つです。少額の資金でも大きな利益を狙えるため、有効に利用するとメリットも大きくなります。

たとえば、60万円分の現物株を購入していた場合、66万円に値上がりすると収益率は10%になります。一方、6万円の証拠金で60万円分の先物を取引していた場合(レバレッジ10倍)は、66万円に値上がりすると収益率は100%になります。

つまり、レバレッジの分だけ収益率に差がでるのです。ただし、先物取引は相場が思惑と逆に動いた場合、証拠金以上の損失がでる可能性もあります。早めに損切りするなど、リスク管理をきちんとする必要があるのです。

3.株価指数先物取引の証拠金は「SPAN」で計算する

日経225先物などの株価指数先物取引は、現物株のように売買代金のすべてを支払うのではなく、「SPAN(スパン)証拠金」から計算される証拠金で取引できます。

SPAN(スパン)とは、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)が1988年に開発したリスクベースの証拠金計算方法です。日本証券クリアリング機構がSPANパラメーターとして毎週第一取引日に見直しをし、公表日の翌週に適用されます。

主な株価指数先物の1枚あたりのSPAN証拠金額は、以下の通りです(11月16日の夜間取引から)。

日経225先物 1,350,000円
日経225先物ミニ 135,000円
TOPIX先物 810,000円
東証マザーズ指数先物 141,000円

具体例として、日経225先物のレバレッジがどの程度になるか計算してみます。

日経225先物の値段が26,000円だとすると、1枚当たりの約定代金は以下の通りです。

26,000円×1,000倍(取引単位)×1枚=2,600万円

日経225先物のSPAN証拠金は135万円なので、レバレッジは次のようになります。

2,600万円÷135万円=19.25倍

レバレッジは19.25倍になります。株式の信用取引は約3倍のレバレッジなので、日経225先物取引は、信用取引以上のレバレッジ取引ができるという計算になるのです。

4.レバレッジ取引ではリスク管理をきちんとする

先物取引は高いレバレッジで取引できるのがポイントです。ただし、高レバレッジには注意が必要です。大きな利益が期待できる一方、大きな損失がでるリスクもあるからです。

とくに、必要最低限の証拠金しか預けていなかった場合、すぐに証拠金不足になってしまいます。ですから、実際の取引ではSPAN証拠金よりも多めに資金を入れておき、一定の損失に耐えられるような体制で取引を行うようにしてください。

5.先物取引の追証に注意する

損失が増え、維持しなければいけない証拠金額(SPAN証拠金)を受入証拠金が下回った場合に、追加して差し入れなければいけない証拠金を「追証(おいしょう)」といいます。

追証の期限は証券会社によって異なりますが、たとえば楽天証券の場合、追証の判定を15時15分の日中立会終了後に行います。そして、追証の入金期限は翌営業日の正午までです。

日経225先物の追証例を解説します。日経225先物の価格が26,000円の時に証拠金として150万円を指し入れ、1枚購入したとします。SPAN証拠金が135万円だった場合、追証までに15万円(150万-135万)の余裕があります。

日経225先物の売買代金は、価格を1,000倍した金額。つまり、15万円の損失は日経225先物が150円下がった時です。つまり、26,000円で購入して25,850円(26,000円ー150円)よりも価格が下がり、15時15分の日中立会終了を迎えると追証になってしまうのです。

そこで、楽天証券で日経225先物を26,000円で1枚買って、25,800円で15時15分の日中立会終了を迎えた場合を考えてみます。

この場合、買った価格から200円下がっているので、最初に差し入れた150万円の証拠金に対して20万円の含み損が生じています。つまり、受入証拠金は130万円(150万円―20万円)になってしまいます。SPAN証拠金は135万円なので、5万円足りない計算になるのです。

この5万円を追加証拠金として入れてくださいというのが「追証」です。追証が発生した場合、楽天証券では翌営業日の正午までに5万円を差し入れる必要があるのです。

追証発生から入金までの期間は短いので、証拠金を多めに入れておいて、できるだけ追証が発生しないようにしておくことが大切です。最低でもSPAN証拠金の200%、できれば300%以上の証拠金を入れておくようにしてください。

まとめ

先物のレバレッジ取引は大きな利益が狙えますが、リスク管理をきちんとしないと大きな損失がでる可能性もあります。日経225先物やTOPIX先物取引など株価指数先物取引では毎週SPAN証拠金が発表されているので、きちんと確認し、余裕をもった運用を心掛けてください。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011