近年のデータ量の増加に伴い、進化や成長を続けてきた「AI」。そのAIをビジネスに活用しようとチャレンジするベンチャー企業も日々生まれています。そして、フィンテックが進んだことにより、生まれたばかりのベンチャーにもクラウドファンディングで個人が投資できる時代となっています。
中でも『ファンディーノ』は、国内初・最大手(※取引量24億円超、2019年11月時点)の株式投資型クラウドファンディングサービスです。ファンディーノには、斬新な発想とアイデアで次世代のビジネスを創出しようとするベンチャー企業が数多く集まっており、その事業を応援する形で10万円前後から投資をすることができます。
この記事では、ファンディーノで取り扱うAI(人工知能)を活用したビジネスに取り組む有望企業の一部をご紹介します。AI分野への投資を検討している方は、参考にしてみてください。
目次
- ファンディーノとは
1-1.ファンディーノで購入できるのは未公開株
1-2.ファンディーノに掲載される企業の特徴 - ファンディーノで見つかる「AI」関連ベンチャー5選
2-1.AIで医薬関連学術論文から抽出解析を行うサービス
2-2.AI技術でオンラインでの本人確認を完結させる
2-3.AIによる骨格データ解析による行動判別サービス
2-4.AI技術を駆使しておすすめの行き先やほしい情報を届ける
2-5.「AI」×「香り」による新しい生活支援サービス - まとめ
1 ファンディーノとは
ファンディーノは、株式会社FUNDINNOが提供する株式投資型クラウドファンディングサービスです。
株式投資型のクラウドファンディングとは、企業の構想や事業計画についてインターネットを通じて広く発信し、そのプランの内容に賛同・共感して活動を支援したい人や投資したい人に対して株式を発行することにより、資金を集めるシステムを言います。
ファンディーノは、資金を募集する企業と投資家の間に立って両者を引き合わせるサービスとなります。
1-1 ファンディーノで購入するのは未公開株
ファンディーノを通じて購入する株式は、ベンチャー企業や新興企業が発行する未上場株です。
上場企業が資金を集める場合、株式市場を通じて株を売却する方法が一般的です。しかし、株式市場に上場していないベンチャー企業などは、証券取引所などを通じて資金調達することができません。そのため、一般の個人投資家がベンチャー企業の株を購入する機会はかなり限られていました(当事者間で合意するなど)。
一方、ファンディーノでは、個人投資家でもさまざまな分野の案件の中から、応援したいベンチャー企業や事業に投資することができます。いずれも未上場企業が発行する未公開株式となりますが、中には税制上の優遇措置を受けられるエンジェル税制(国がベンチャー企業への投資を促進するために設けた制度)を活用できる企業もあります。
未公開株は、上場株式と比べて換金性・流動性で著しく劣りますが、クラウドファンディングを通じて社会貢献につながる事業を応援できる上、上場すれば大きなリターンを期待できるのが利点です。
1-2 ファンディーノに掲載される企業の特徴
ファンディーノで投資家を募集している案件は、投資家保護の観点から、厳正な事前審査が行われています。審査では、次のような観点から、決算書・事業計画書の審査や経営者との面談が実施されます。
- 企業の安定性に問題はないか
- 企業に将来性があるか
- 事業計画に革新性や独自性が認められるか
審査は社内の公認会計士等の有識者を中心に行われ、採用の是非を決める審査会議では、審査員の多数決ではなく全員一致が条件となります。
なお、ファンディーノで投資家が年間に投資できる上限額は、1社あたり50万円となります。実際の投資金額は個々の案件によって異なりますが、ファンディーノでは10万円からの投資が最も多くなっています。
2 ファンディーノで見つかる「AI」関連ベンチャー5選
最近は「AI」を武器に、世界に勝負する国内のベンチャー企業が増えています。そこで、ファンディーノの過去の募集・成約案件の中からAI技術を活用する注目企業の一部をご紹介します。
2-1 AIで医薬関連学術論文から抽出解析を行うサービス
東京都に本社を構えるAI Infinity株式会社は、AIを用いた自然言語処理や音声認識、画像認識サービスなどを開発する「AI Integrator(AIer)」を自称する企業です。同社の「人工知能AI技術を駆使した最先端の価値を提供!『AI Infinity』」は目標募集額2,000万円に対し3,990万円の資金調達に成功しています。
製薬会社の業務では、新薬開発のプロセスにおいて膨大な量の医薬関連学術論文から医薬品と副作用の相関について抽出・解析し、記載元の学術論文にマーキングするという作業があります。専門用語を含む複雑な日本語の読み解きが必要なため、熟練スタッフのみが担当できる部分となり、大手製薬会社では数百~数千人規模の人員が投入され、年間数十~数百億円のコストがかけられています。
この案件では、「学術論文のデータベースや、Web情報から論文を読む」「薬と副作用の関係性を指摘している言葉を抽出する」「マーキングを行う」「ダブルチェック&トリプルチェックをする」といった複雑な作業工程をAIが代替・支援し、ヒューマンエラーの減少と業務効率化、コストダウンを同時に実現します。
医薬関連学術論文の読み解きプロセスに関連した業務コストや人的リソースの確保は、製薬各社が抱える共通の問題であり、ニーズも見込めます。すでに1,400社以上の企業に自然言語解析の根幹技術を導入するなどの実績もある同社では、国内大手にターゲットを絞り込んだ形で商談が始まっています。本案件だけでなく、さまざまなAI利用サービスの開発・展開が見込まれており、今後さらなる成長が期待される企業です。
2-2 AI技術でオンラインでの本人確認を完結させる
東京都に本社を置くファイナンシャルテクノロジーシステム株式会社は、Fintech領域でのSES事業や金融関連システムの開発を行う企業です。「画像解析AI×OCR技術で本人確認を高精度で実施する『FTS AI Platform for ID』」は、ファンディーノで投資家から多くの注目を集めた案件が進んだプロジェクトです。
ファンディーノでは過去2回募集が行われており、初回は1,800万円の目標募集額に対して4,975万円が集まり、2回目の募集プロジェクトでは1,800万円の目標募集額に対して4,210万円の調達に成功しています。
OCRによる画像認識・帳票作成が少しずつ行われるようになっていますが、その精度は十分とは言えず、本人確認書類のように画像を含むフォーマットの解析では利用が難しい部分がありました。特に金融業界はサイバー攻撃や詐欺による被害も多く、法律により目視による写真と本人確認書類の照合が求められる状況があり、IT化による効率化の恩恵が届きにくい状況でした。
しかし、2018年11月30日に法制度が変わり、オンライン上で本人とその身分証明書の正確性が確認できるなら、写真付き本人確認書類の画像と本人の容貌の画像の送付による本人確認が可能となったことで、オンラインによる本人確認処理が可能となりました。本案件は、AIの画像認識を利用することによりオンラインでの本人確認処理を高速・効率化し、口座開設などの事務処理スピードを飛躍的に向上させることを目的としています。
銀行や信販会社、証券会社など各種金融機関からのニーズも高く、マネタイズ方法も多様に考えられ、今後は同様に本人確認が必要なビジネスへの展開も期待できるため、多くの投資家が注目しています。
2-3 AIによる骨格データ解析による行動判別サービス
東京都に本社を構える株式会社AXIVEは、監視カメラやAI技術を用いて、見守りのソリューションを提供している企業です。同社の「骨格データを独自開発のAIによって解析することで、対象の行動を判別するサービス「AXIVE」を介護業界向けの見守りサービスとして提供する」という案件では、目標募集額2,200万円に対して2,400万円が集まっています。
現在、病院や介護施設などでは一日を通し、介護対象者の転倒や状況を確認するために専用の監視カメラを用いたり、看護師・介護士などの見守りが行われたりしています。しかし、その負担は現場を疲弊させるほど大きく、時には迅速な発見・対応がその後の処置や様態を左右する場合もあり大きな問題となっています。
また、監視カメラによる監視はプライバシーの問題もあり、浴室やトイレにおけるトラブル対応も難しいのが現状です。こうした問題の解決策として、同社では「オープンポーズ」というカメラの映像から骨格データだけを抽出する技術を使い、その骨格データを独自開発のAIで解析する方法を開発しました。
これにより、介護現場におけるベッドやトイレ、浴室などにおける転倒などの異常を速やかに検出・通知し、スタッフの負担減と介護サービスの向上を提供することが可能です。
東京都中小企業振興公社主催「次世代イノベーション創出プロジェクト2020」にも採択されている注目プロジェクトで、すでに大学や企業との共同研究も進められています。将来的に、家庭用見守りサービスへの展開や、介護分野にとどまらずに自動車のドライバーの状態監視や工場・工事現場などへの労災防止などさまざまな展開が考えられています。応用範囲が広く、大きな成長が期待できる注目の企業です。
2-4 AI技術を駆使しておすすめの行き先やほしい情報を届ける
福岡市に拠点を構える株式会社nommocは、これまでにないサービスを創出するために作られたベンチャー企業です。同社の「ユーザーが関心を持っているジャンルに関する広告を車内に表示する『移動型広告メディア nommoc(ノモック)』のサービスを提供する」という案件は、目標募集額1,600万円に対してわずか4分で5,000万円が集まったことでも話題となりました。
現在、企業活動で宣伝効果を上げるには、ユーザーの趣味・嗜好や行動パターンに基づく的確な情報提供が必要ですが、現時点で効果的な広告媒体は少ないのが現状です。
そこで「nommoc」では、無料で利用できる移動車を提供しつつ、アプリを介してユーザーの情報を取得し、関心を持っているジャンルに特化した広告を車内に表示することにより、ユーザーに魅力的なサービスを提供するとともに、飲食店・観光地・宿泊施設・ブランドショップなどの企業にとって有力な広告媒体となることを目指しています。
ユーザーは、ダウンロードしたアプリを使って移動車を呼び出し、車内で自分の趣味・嗜好や関心があるジャンルについて情報提供を受けながら目的地に向かうことができます。
「車による移動を無料に」を掲げた同社の代表は、若干15歳で会社を立ち上げたことで話題となった青年実業家の吉田拓巳氏です。広告のターゲティングと車移動の無料化を結びつけた斬新な発想が特徴で、今後のイグジットが注目されています。
2-5 「AI」×「香り」による新しい生活支援サービス
福岡市に本社を構える株式会社リーモ・トロージェンは「香り」を使って企業のブランド戦略を実践面で支援している会社です。同社の「香りを用いて企業のブランドイメージや価値を提供する定額制サービス『AUSCENT CLAN(オウセントクラン)』を提供・普及する」という案件では、目標募集額1,200万円に対して1,440万円の調達に成功しています。
現在、ホテル・小売業・飲食店などのオフライン型ビジネスでは、集客や顧客維持、店舗や商品のブランド化のために、広告費をはじめ多大のコストがかかっています。
同社では、実際に香りを導入したことによる消費者の購買意欲増加、データエントリー業務の効率向上、MRI検査機関で患者の不安減少などの効果測定に基づき、世界中から集めたエッセンシャルオイル(精油)をブレンドし、オイル選び・調香・クオリティコントロール・提供までを行うことにより、企業や店舗のブランドイメージを高めることを狙いとしています。
将来的にはAIを活用し、ユーザーの体調に応じて精神的な安定感を与えるなど、医療分野への展開も視野に入れている注目の企業です。
3 まとめ
すでに資金調達に成功した企業を中心にご紹介してきましたが、ファンディーノでは今後もAI技術で社会課題や社会貢献に取り組む様々な企業が投資家を募集しています。
なお、ファンディーノで募集している案件や投資先企業に関する情報はスマートフォンから閲覧できるだけでなく、投資家登録など一連の手続きもネット上で完結するので、気になる案件があればすぐに申し込むことが可能です。「AI」のキーワードで見つかるベンチャー企業に興味のある方は、この記事を参考にご自身でも探してみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム
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