大手ソーシャルレンディングサイトのクラウドバンクを運営する日本クラウド証券は、2019年8月29日に香港のFinance One Limited社(以下:FO社)との業務提携を発表しました。
FO社はmaneoのシステムを利用してソーシャルレンディングサイトを運営しているスマートレンド株式会社と同じ金融グループに属する会社です。FO社は、なぜクラウドバンクとの業務提携に踏み切ったのでしょうか。その背景や今後の取組を確認していきます。
目次
- スマートレンドとは
1-1.maneoマーケットのシステムを利用して募集を行っていた
1-2.2019年7月以降は案件の募集を停止している
1-3.FO社とは - クラウドバンクとFinance One Limitedの提携の内容
2-1.Finance One Limitedへの融資案件を取扱う
2-2.以前の案件とは無関係である - クラウドバンクとFinance One Limitedの提携がもたらす効果
3-1.案件の安定した供給
3-2.金利が高めの案件の供給 - まとめ
1.スマートレンドとは
まずはソーシャルレンディングサイトのスマートレンドについての状況を整理して見ていきましょう。
1-1.スマートレンドはmaneoのシステムを利用して募集を行っていた
スマートレンドは第二種金融商品取引業事業者として登録を行っておらず、maneoマーケットのシステムを利用してソーシャルレンディングの資金を募集していました。
主に金融関係の会社への融資案件を中心に扱っていて、日本国内の融資先だけでなく、香港の金融機関への事業者支援ファンドなどを組成していました。募集の累計額は、2016年4月から2019年7月までの3年と3カ月間で約90億円です。
1-2.2019年7月以降は融資案件の募集を停止している
スマートレンドは、2019年7月までに返済の遅延や貸倒れを発生させたことはありませんが、2019年7月中旬以降は融資案件をまったく募集していません。その募集の状況はmaneoマーケットの本体もしくは同社のシステムを利用していた他のソーシャルレンディング会社と同じです。
1-3.FO社とは
クラウドバンクが提携を発表したFO社は、スマートレンドそのものではありません。クラウドバンクのリリースに、以下の説明を見つけることができます。
FO社はSmartLend株式会社(2016年4月より融資型クラウドファンディングサービス「スマートレンド」を運営)を傘下に置く金融グループに属しており
FO社はスマートレンドと同じ金融グループに属する会社ではありますが、スマートレンドと同一の会社ではないとの明記があります。すなわち、スマートレンドがクラウドバンクを通じてソーシャルレンディングの募集を再開するわけではないのです。
あくまでもスマートレンドと同じ金融グループのFO社が、クラウドバンクを通じてソーシャルレンディング案件を募集するのだと捉えるべきでしょう。
2.クラウドバンクとFinanceOneLimitedの提携の内容
今回のクラウドバンクの発表をもとに、FO社との業務提携の内容を確認していきます。
2-1.FinanceOneLimitedへの融資案件を取扱う
クラウドバンクは以下の内容について触れています。
FO社は、(中略)香港における小口金融業者として専門性の高い金融サービスを展開しております。同事業においては最終資金需要者が小口分散されており、一定数の最終資金需要者において未回収が発生しても、全体の元本保全・収益に大きな影響を受けることない特長を有しております。
上記のような特長を持つ事業を展開するFO社とクラウドバンクが提携することで、クラウドバンクにおける新たなジャンルのファンドの取扱い、関連する新たな金融サービスの提供など、可能性を幅広く模索していく予定です。
スマートレンドでも、かつては香港における金融業者への融資案件を募集していました。融資先の小口分散が行われるなど、一定のリスクを折込みながら投資家の保護と対策を行ってきたのです。今後はクラウドバンクが同じグループ内の会社への融資案件を扱っていくものとみられます。
実際にクラウドバンクは、発表の直後から香港中小企業支援型ローンファンドの取扱いを開始しています。
2-2.以前の案件とは無関係である
一方、リリースの中には以下のような注意書きを記しています。
なお、過去にSmartLend株式会社が、「スマートレンド」を通じFO社を融資先とするファンドの募集、運営を行った経緯もございますが、当該ファンド等について直接的に当社が関与するものではなく、当社がSmartLend株式会社を営業者とするファンド等の募集の取り扱いを行う予定はございません。
上記の一文は、以前にスマートレンド社がmaneoマーケットのシステムを利用して募集した案件のことを指しているとクラウドバンクへ確認しています。この案件では特に返済の遅延や貸倒れは発生していません。
こちらの案件の運用状況に問題があっても、クラウドバンクが募集するFO社関連の融資案件に直接影響することはないとしています。
3.クラウドバンクとFinance One Limitedの提携がもたらすメリット
クラウドバンクとFO社が提携することによって、ソーシャルレンディング投資家にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
3-1.案件の安定した供給
クラウドバンクの累計募集額は2019年9月現在で640億円を突破しています。毎月安定した投資案件数が投資家に提供されていますが、FO社関連の案件が提供されることで、今後一層の案件の充実が図られる効果が期待できます。
案件数・募集金額の双方において投資家にとって大きなメリットがあるでしょう。
3-2.金利が高めの案件の供給
スマートレンドの香港関係のソーシャルレンディング案件では、利回り10%以上の高利回り案件の提供が行われていました。
クラウドバンクの香港中小企業支援型ローンファンドの予定利回りは6.8%となっています。スマートレンドが過去に募集していた案件ほどの利回りではありませんが、今後の高利回り案件の登場に期待が膨らみます。
まとめ
スマートレンドはmaneoマーケットのシステムを利用してソーシャルレンディングサイトを運営しています。しかし、maneoマーケットでのソーシャルレンディング投資の募集が一旦停止する状態に陥り、maneoマーケットのシステムを利用していたスマートレンドでも、2019年7月以降は新規案件の募集が停止していました。
FO社はスマートレンド社そのものではありませんが、関係のある企業です。香港の金融機関への融資案件の募集がクラウドバンクを通じて再開すれば、ソーシャルレンディング投資家の選択肢と投資の機会が増えることになります。
maneoマーケットを通じてソーシャルレンディングサイトを運営していたものの、現在は案件の募集を中止した他の会社もソーシャルレンディング案件の募集を再開するかもしれません。各ソーシャルレンディング会社の動向に注目したいものです。
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