2021年7月15日に不動産投資型クラウドファンディングサービス「BATSUNAGU」の募集サイトが公開され、第1号ファンド「北海道当麻町 古民家再生 大自然アースバッグサウナファンド」が満額での資金調達に成功しました。
今回は新しい不動産投資型クラウドファンディングサービスBATSUNAGUの特徴やメリット・デメリット、会員登録の手順などを紹介します。BATSUNAGUの投資を検討されている方はご参考ください。
目次
- BATSUNAGUの特徴
1-1.Crowdship FundingのSaaSシステムが導入されている
1-2.地方の古民家再生の案件を提供
1-3.BATSUNAGUの第1号ファンドの詳細 - BATSUNAGUのメリット
2-1.ウェブ上で間接的に不動産投資ができる
2-2.1万円から投資可能
2-3.対象不動産の種類が豊富
2-4.優先劣後構造により投資リスクを軽減できる
2-5.地方の不動産へ分散投資ができる - BATSUNAGUのデメリットや注意点
3-1.元本を回収できないリスクがある
3-2.投資した後は途中解約ができない
3-3.税制の優遇制度がない
3-4.不動産投資のスキルが身に付きづらい
3-5.投資金は総額100万円までに設定される - BATSUNAGUでの会員登録の手順
4-1.会員仮登録
4-2.仮登録完了メール記載のURLをクリック
4-3.会員審査・転送不要郵便の発送
4-4.会員登録完了
4-5.投資申請・契約・入金
4-6.ファンド成立・運用開始
4-7.分配・償還 - まとめ
1.BATSUNAGUの特徴
BATSUNAGU(バツナグ)は株式会社リムズキャピタルが運営する不動産投資型クラウドファンディングです。「地方と人をつなぐ不動産投資」をテーマに、古民家再生やペンションの再生案件など、地方創生に特化したサービスを提供しています。
運営会社である株式会社リムズキャピタルは、不動産リノベーション事業や空き家などの古民家再生事業、地方創生事業など、さまざまな事業で実績のある企業であり、不動産投資型クラウドファンディングサービスで取り扱う投資物件についても、事業で培ったノウハウを生かした運用が期待されます。
これまでにBATSUNAGUで募集された案件の想定利回りは6~7%に設定されており、他のクラウドファンディング投資サービスと比較しても高い水準と言えるでしょう。
1-1.Crowdship FundingのSaaSシステムが導入されている
BATSUNAGUは、グローシップ・パートナーズ株式会社が提供する投資型クラウドファンディングシステム「Crowdship Funding」のSaaSシステムが導入された初めて不動産投資型クラウドファンディングでもあります。
SaaS(サース)とは「Software as a Service」の略称で、パッケージ製品として提供していたソフトウェアを、インターネット経由でサービスとして提供・利用する形態のことを指します。つまり、Crowdship FundingのSaaSモデルとは、小規模不動産特定共同事業者向けに開発された投資型クラウドファンディングシステムです。
従来の機能に加えて、WEB画面レイアウトや契約書面、送信メールが事前に設定されているため、少人数・短期間で事業が立ち上げられるという特徴があります。
クラウドファンディング投資では、運営事業者が集めた資金を適切に効率よく運用できるかどうかという視点も重要となります。このようなシステムを導入して運営事業者の業務が効率化され、運営コストが削減されている点は、投資家にとってもメリットがあると言えます。
1-2.地方の古民家再生の案件を提供
BATSUNAGUでは、小規模不動産特定共同事業投資対象物件として地方の古民家再生の案件を提供しています。これまで大手不動産業者が参入しづらかった分野で投資ができるという点は、BATSUNAGUの大きな特徴と言えるでしょう。
1-3.BATSUNAGUの第1号ファンドの詳細
BATSUNAGUの基本的なファンドコンセプトは、地方創生プロジェクトをメインに、リノベーションやコンバージョンを通じた古民家の再生・活用などを行い、プロジェクトを通して新しい価値の創造や地域の活性化、雇用の創出などを目指すというものです。
以下、実際に募集されたファンドの詳細を確認してみましょう。
北海道当麻町 古民家再生 大自然アースバッグサウナファンド
案件名 | 北海道当麻町 古民家再生 大自然アースバッグサウナファンド |
対象物件 | Café、宿泊・ワーケーション施設、サウナ施設 |
募集金額 | 1,000万円 |
最低出資額 | 10,000円(1口) |
運用期間 | 12ヶ月 |
想定利回り | 6.0% |
募集期間 | 2021年7月21日~2021年8月16日(終了) |
募集方式 | 先着式 |
BATSUNAGUで初めて募集された第1号ファンドは、長年空き家となった古民家を宿泊施設・飲食店スペースにリノベーションし、敷地内にアースバックづくりのサウナ施設を併設させた複合施設にするというものでした。2021年8月時点、ファンドの募集期間は終了し、募集金額を達成しています。
2.BATSUNAGUのメリット
BATSUNAGUのメリットについて詳しく見てみましょう。
- ウェブ上で間接的に不動産投資ができる
- 1万円から投資可能
- 対象不動産の種類が豊富
- 優先劣後構造により投資リスクを軽減できる
- 地方の不動産へ分散投資ができる
2-1.ウェブ上で間接的に不動産投資ができる
不動産投資型クラウドファンディングの「BATSUNAGU」では、ウェブ上での作業だけで間接的に不動産投資ができる点が大きなメリットです。
面倒な対面での契約手続きや不動産登記の手間がなく、簡単な会員登録を済ませるだけで、自宅にいながら不動産投資ができます。
2-2.1万円から投資可能
実物不動産投資を始める場合、多額の頭金や金融機関での資金調達が必要になりますが、BATSUNAGUでは1口1万円の少額から投資ができるというのもメリットです。
特に地方の不動産再生投資はハイリスクな投資となりやすく、多額の資金を投入してしまうと大きな損失を生んでしまう可能性がある点がデメリットと言えました。
少額投資ができることで投資による元本毀損リスクをコントロールしやすく、複数の案件へ投資することで分散効果を得ることも可能です。投資資金があまり多くない方でも気軽に不動産投資を始めることができる点もメリットと言えるでしょう。
2-3.対象不動産の種類が豊富
BATSUNAGUでは、オフィスビルやレジデンス、商業施設、ホテルなどのオペレーショナルアセットに投資できます。
オペレーショナルアセットとは、管理運営において特別なノウハウや専門性が必要で、マネジメントに精通した専門のオペレーターの経営次第で収益が大きく変動する資産のことを指しています。
運営会社の株式会社リムズキャピタルが不動産の開発事業も手掛けていることから、多彩な商品ラインナップを投資家に提供できています。
2-4.優先劣後構造により投資リスクを軽減できる
BATSUNAGUでは、優先劣後構造を導入することで、投資リスクを軽減しています。優先劣後構造により、投資家を優先出資者、リムズキャピタルを劣後出資者として、元本の償還や配当金の支払いについて出資者へ優先的に行い、優先出資者である投資家の元本・配当金の償還率を高めています。
仮に、空室や修繕費など発生により家賃収益が減少した場合でも、まずは劣後出資分から損失に充てるため、一定割合の損失までは投資家の配当金に影響が出ないようになっています。
2-5.地方の不動産へ分散投資ができる
BATSUNAGU以外にも様々な不動産投資型クラウドファンディングサービスが提供されていますが、多くのサービスにおいて主に東京の物件が投資対象となっています。これには、東京は人口が増加傾向にある都市の一つであり、豊富な賃貸ニーズが見込めることから案件数も多い、という背景があります。
しかし、一か所に集中して実物不動産への投資を行うと、局所的な災害の影響や人口減少の影響を大きく受けることになります。そのため、不動産投資ではエリアをできるだけ分散させることも、重要なリスク対策となります。
東京以外のクラウドファンディングサービスは多くない状況ですが、BASTUNAGUのような地方案件をあつかうサービスを利用することで、エリアを分散させることが可能です。投資家にとってエリア選択の幅が広がるメリットがあると言えるでしょう。
3.BATSUNAGUのデメリットや注意点
一方で、BATSUNAGUの利用には下記のデメリットがあります。こちらも詳しく見て行きましょう。
- 元本を回収できないリスクがある
- 投資した後は途中解約ができない
- 税制の優遇制度がない
- 不動産投資のスキルが身に付きづらい
- 投資金は総額100万円までに設定される
3-1.元本を回収できないリスクがある
BATSUNAGUのような不動産投資型クラウドファンディングでは、元本は保証されません。そのため、運用状況によっては分配金が減少するケースや、投資元本が全額償還されないケースがあります。
また、優先劣後構造によって一定の範囲が守られている場合でも、運営会社が倒産した場合には出資元本が償還されない可能性が高くなります。このようなリスクが伴うことは十分に理解しておきましょう。
3-2.投資した後は途中解約ができない
多くの不動産投資型クラウドファンディングでは運用期間中の途中解約ができないよう設定されており、BATSUNAGUでも同様の対応となっています。
なお、投資申し込みをした後に運営会社から投資家のメールアドレス宛に「契約成立時交付書面」が送付された日を起算日として、8日間が経過するまでの間は、クーリングオフの対象となり、「投資申し込みを解約することは可能」となっています。
しかし、クーリングオフ期間を過ぎた場合、原則として中途解約はできないため、急な事情で手元にお金が必要になったとしても、出資分を換金することはできません。まずは少額で投資を始めたり、期間が短いものを選択するなど、工夫をしてみましょう。
3-3.税制の優遇制度がない
BATSUNAGUのような不動産クラウドファンディングを利用して利益が発生した場合、不動産を所有した時に受けられる税制上の優遇措置を受けることはできません。
例えば現物不動産への投資を行う場合、建物部分の減価償却などによって生じた損失は、その他の所得との間で損益通算できる優遇制度があります。
一方、不動産投資クラウドファンディングで得た分配金(収益)は、所得の分類上「雑所得」に区分され、他の所得分野との間での損益通算は認められていません。クラウドファンディングは不動産を実際に所有するわけではないため、このような税制度を利用することはできない、という点はデメリットと言えるでしょう。
なお、クラウドファンディングの利益は株式のように分離課税ではない点もデメリットと言えます。給与所得などと合算して課税されることになるため、給与所得が大きくすでに高い税率を課せられている場合は、クラウドファンディングの分配金についても同様の税率が掛かることになります。
3-4.不動産投資のスキルが身に付きづらい
BATSUNAGUのような不動産投資型クラウドファンディングでは、出資金を運営会社(事業者)が運用することになります。投資後の実際の運営に関しては運用会社が判断・決定を行い、投資家自身に裁量は与えられることはありません。
不動産投資型クラウドファンディングは物件の運用や管理などの手間が省ける一方で、不動産投資に関するスキルが蓄積されづらいという点はデメリットと言えるでしょう。
3-5.投資金は総額100万円まで
BATSUNAGUを運営する株式会社リムズキャピタルは、「小規模不動産特定共同事業」の免許を保有しています。小規模事業者の場合、個人投資家は全部で100万円までしか投資をすることができません。1人最大で100万円しか預けられないため、一つの案件で100万円を預けてしまうと、次のファンドに応募することができなくなります。
複数のファンドへの応募を検討している場合は、投資金額のバランスに注意しておきましょう。
4.BATSUNAGUでの会員登録の手順
BATSUNAGUでの口会員登録から実際の投資・償還までの手順は下記の通りです。
- 会員仮登録
- 仮登録完了メール記載のURLをクリック
- 会員審査・転送不要郵便の発送
- 会員登録完了
- 投資申請・契約・入金
- ファンド成立・運用開始
- 分配・償還
4-1.会員仮登録
BATSUNAGUを利用する場合、まずは会員登録を行います。BATSUNAGUの会員登録ページにある「新規会員登録」「会員登録はこちら]」のボタンをクリックして、メールアドレスなどの必要事項を入力し、仮登録申請を行います。
4-2.仮登録完了メール記載のURLをクリック
登録したメールアドレスに仮登録完了メールが送信されます。文中にあるURLをクリックして、必要事項の入力と本人確認書類の画像データのアップロードを行い、会員本登録申請を行います。
なお、本人確認書類としては下記のうちいずれか2点を用意します。
- 運転免許証
- 健康保険証
- 運転経歴証明書(平成24年4月1日以降交付分)
- 写真付き住民基本台帳カード
- マイナンバーカード(顔写真のある表面のみ)
- パスポート(住所記載欄があるもの。顔写真ページ。住所記載ページ。)
- 特別永住者証明書
- 在留カード
4-3.会員審査・転送不要郵便の発送
運営会社による会員審査が実施されます。審査に通過した場合に本人確認コードが記載されたハガキが登録した住所に簡易書留にて郵送されます。
本会員登録申請からハガキの輸送までにおおよそ1週間ほどの時間が掛かります。
4-4.会員登録完了
ハガキを受け取ったら、BATSUNAGUのマイページにログインします。表示された画面でハガキに記載された本人確認コードを入力すれば、会員登録が完了します。
4-5.投資申請・契約・入金
会員登録が完了したら、募集中のファンドから投資したいものを選択できるようになります。
ファンドの概要やリスクを確認し、投資申請を行いましょう。契約成立時書面のメール送付によって契約は成立したことになります。同時に入金案内メールが送付されますので、入金期限までに指定口座に入金しましょう。
4-6.ファンド成立・運用開始
ファンドの募集が終了したあと、ファンドの成立判定が行われます。ファンドが成立した場合、ほどなくファンドの運用が開始されます。その後は、分配や償還が行われるまで、投資家側で手続きをすることはありません。
4-7.分配・償還
ファンドの運用上によって、配当金の金額や出資金の償還額が通知されます。詳細はマイページの取引履歴内にある「投資分配状況一覧」で確認可能です。
出金したい場合は、マイページの入出金内にある「出金依頼」から出金申請を行います。出金せずにそのままボシュ中のファンドの投資申請を行うこともできます。
5.まとめ
今回は不動産投資クラウドファンディングサービス「BATSUNAGU」の特徴やメリット・デメリット、会員登録の手順について紹介しました。
BATSUNAGUでは、1口1万円の少額から投資ができ、不動産投資クラウドファンディングを通じて地方創生・地域活性化やSDGsに貢献できることができます。少額で様々な種類の不動産へ手軽に投資できる点もメリットと言えるでしょう。
一方、途中解約に対応していない点や、元本保証がない点には注意が必要です。これらのデメリットについても確認し、慎重に投資の判断をしていきましょう。
山本 将弘
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