資産のリバランスのやり方とタイミングはどう計る?頻度や簡単な手段も

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投資信託は文字の通り、投資をファンドマネージャーに一任するものなので、自力で資産の見直しをする必要はないように思えます。しかし、バランス型ファンドの場合には資産のリバランスは必要なくとも、保有するファンドによっては資産配分を調整したほうが良いケースもあるのです。

この記事では、投資信託にリバランスが必要な場合と、そのタイミングについて記事にしています。投資信託の資産運用について気になる方はご確認ください。

目次

  1. 健全な資産配分をキープするリバランス
    1-1.資産は増えてもリスクも増大
  2. リバランスのタイミング
    2-1.半年か年1回定期的に
    2-2.相場が大きく変動したタイミングで
    2-3.追加投資のタイミングで
  3. リバランスのメリット
    3-1.最適なポートフォリオの維持
    3-2.リスクの取りすぎを回避
    3-3.パフォーマンスを改善できる可能性がある
  4. リバランスでは売却時の課税や手数料に気をつける
  5. リバランスの具体的なやり方
    5-1.配分が増えすぎたファンドを売却
    5-2.追加投資によるリバランス
  6. 株式、債券メインの投信ファンドにはリバランスを
  7. リバランスとリアロケーションをセットで考える
  8. まとめ

1.健全な資産配分をキープするリバランス

リバランスとは運用の過程で崩れた資産配分を、当初に設定した資産配分に戻すため、資産の売却や新たな買付を行う行為のことを指します。バランス型のファンドでは、ファンドマネージャーの指示によって、都度行われている重要な作業です。リバランスには保有資産内で売買する方法と、新たな買付によって配分を整える2通りの方法があります。

なぜ、定期的なリバランスが必要なのか?以下に解説します。

1-1.資産は増えてもリスクも増大

株価や債券の価値が上がって資産が増えるのは嬉しいことですが、長期的な運用を考えると手放しに喜んでばかりはいられません。

株価暴落のリスクヘッジのために、債券や不動産をバランスよく配分して投資をスタートしたのに、株価が上がりすぎて気づけば資産の半分を株式が占めてしまうようなことがあります。このままにしておくと、株価が暴落した時に資産の半分が大きな価格変動リスクに晒されることになるのです。

このように、資産価値の増減によってポートフォリオのリスクバランスが崩れることから、定期的にリバランスを行ってリスクを一定に保ち、長期的な運用に適正化する必要があるのです。

2.リバランスのタイミング

リバランスの重要性は確認できましたが、実際にどのタイミングで実施したら良いのでしょうか。一般的なリバランスのタイミングを以下に、3点ピックアップしてみました。

2-1.半年か年1回定期的に

半年や年1回のリバランスは、資産状況を点検する上でも基本となるタイミングです。リバランスにかかわらず、運用状況を確認するためにも半年、1年を目安に自分の保有する資産を確認しましょう。

リバランスのタイミングでは、運用会社が発行する運用報告書や月次レポートを確認します。運用の総括や今後の方針が記載されていますので、状況の把握に欠かせない資料です。

運用当初と比べてファンド内の構成銘柄が大きく変わっているケースも多くあり、リバランスと同時に、資産の配分の割合を見直すリアロケーションを考えるタイミングでもあります。

2-2.相場が大きく変動したタイミングで

株価が大きく高騰したり暴落したりした時は資産配分を確認するタイミングです。例えば株価が大きく上がったときは債券の価値が減少することが多いため、しばらく様子をみてから、継続して株の配分が高くなりすぎている場合にリバランスを検討します。

高騰したり下落したりしたからといってすぐにリバランスを行うと、相場の熱が数日後には以前と同じ水準に戻ることも多々ありますので、相場のトレンドを把握した上でリバランスを行う必要があります。

2-3.追加投資のタイミングで

新たな投資資金を投入する時に、配分が減少している資産を追加購入することでリバランスを行うことができます。追加投資は直近の損得を考えて実行する方法もありますが、先の長い長期運用の場合は、最初に決めた資産配分を守るために、追加資金をリバランスに充てます。

新たな資金を投入するときは、つい目先の損得を考えてしまいがちですが、長期運用を継続する場合、資産配分の調整に重きをおくとよいでしょう。積立投資を行っているファンドを保有している場合、時間の経過とともに配分が変わりますので、リバランスのために定期的な追加投資が必要になります。

3.リバランスのメリット

リバランスを行うメリットについて、あらためて3つのポイントを抑えておきましょう。

3-1.最適なポートフォリオの維持

長期投資を行うにあたって、当初に設定した資産配分を守ることは大事なことです。少しづつのズレが次第に大きなリスクとなり、株価が暴落した時に資産の大半を失ってしまった、ということにもなりかねません。リバランスによる資産配分調整は、資産を守る上で大きなメリットとなります。

3-2.リスクの取りすぎを回避

リバランスによって、運用の過程で増大したリスクを発見できます。

リスクの考え方は状況によりますが、株のような価格変動のリスクが大きな資産は、適切な配分に抑える必要があります。状況次第では資産構成を再検討するリアロケーションによって、取れるリスクの幅を再検討することも可能です。

リバランスを通じて資産状況を確認することができる点は、見逃せないポイントです。

3-3.パフォーマンスを改善できる可能性がある

ポートフォリオの中でリバランスする場合、値上がりした資産を売却し、値下がりした資産をあらたに買付、配分の調整を行います。値上がりした資産の利確と、値下がりした資産の押し目買いを行うことになり、リバランスをしない場合よりもポートフォリオのパフォーマンスが改善されることがあります。

4.リバランスでは売却時の課税や手数料に気をつける

ポートフォリオ内での資産配分を行う上で、注意すべき点は課税です。

NISA口座でない限り、投資信託の収益に対しては約2割程度の課税が発生します。運用コストの中でも課税の2割という額は見逃せない値です。また最近では少なくなりましたが、ファンドによっては信託財産留保額がかかる場合もあります。

売却をともなうリバランスの場合、課税を考慮に入れておかないと思わぬ損をしてしまうこともあります。

5.リバランスの具体的なやり方

実際のリバランス方法を2つのポイントに分けて解説します。

5-1.配分が増えすぎたファンドを売却

割合の増えた投資信託を売却し、割合の減った投資信託を購入して資産配分のバランスを整える方法です。1年後の資産が株式の高騰により、110万円となった場合、この110万円を適切な割合に再構成する作業を行います。

資産の特性上、株式ファンドは資産配分が大きくなりやすいため、売却してバランスを整えるケースが多くなりがちです。一般的には、株式市場が賑わいを見せるときは債券が売却される傾向があるため。株式ファンドの売却と、債券ファンドの購入のパターンが多くなるでしょう。

先進国の株式や新興国の株式など、性質がことなる株式の間でリバランスを行うこともあります。

5-2.追加投資によるリバランス

たとえば110万円の資産の内、元々半々だった株と債券の配分が相場変動によって、株式が60万円、債券が50万円という内訳に変わってしまった場合、債券を10万円分買い足して、従来の半々の資産配分に戻す方法です。売却をせずに、追加投資によって配分が減った資産の買い足しを行います。

買い足しのリバランスには運用規模が拡大するメリットがあります。追加投資のタイミングでリバランスの点検を行い、必要に応じて再配分する方法は長期運用にとって良い手段です。

6.株式、債券メインの投信ファンドにはリバランスを

一般的にリバランスとは、株式や債券、金融商品などでポートフォリオを組んでいる場合に行う方法ですが、投資信託でもリバランスを行ったほうが良いケースがあります。

バランス型のファンドは、ファンドマネージャーの指示で資産配分の調整を行っているため、出資者がリバランスを行う必要はありません。一方で株式、債券、商品、REITなど、単一の資産で構成されたファンドを複数持つ場合は、リバランスを行うことでリスクを回避することができます。

資産のリバランスを通して保有資産を俯瞰的に見る視点を養うこともできます。極端に高騰したファンドを見て、単純に喜ぶだけでなく、同時に同じ値幅で下落するリスクを考えることができるようになるのです。

7.リバランスとリアロケーションをセットで考える

リバランスは配分調整ですが、リアロケーションは配分の割合を根本的に見直す方法です。

長期運用には資産配分はとても大事です。スタート当初に決めた資産の構成が10年後も通用するケースは少ないでしょう。したがって、定期的にリバランスを行いつつ、市場の状況次第ではリアロケーションが必要となるのです。

例えば、以前の原油価格と今の原油価格は、需要の変化により大きく変わりましたし、金の価格はここ数年上昇し続けています。このような変化を踏まえて、あらたに資産構成に組み入れたり、除外するなどを検討します。

取れるリスクの変化や、需要や供給のバランスの変化によって、定期的なリアロケーションが必要なのです。

まとめ

運用を一任する投資信託にはリバランスは必要ないように思えますが、株、債券、REITのような、単一資産のみを運用するファンドの価格変動リスクを回避するには有効な方法です。

保有資産を全体的な視点で点検し、配分が崩れてきたら適宜リバランスを行います。リバランスの方法は、ファンドの売買での調整か、追加投資にて割合が減ったファンドの買い増しを行う方法があります。ファンドの売買では、売却の際に収益に対して2割程度の課税が発生しますので注意が必要です。

リバランスは適切な資産配分がなされていることが前提となり、場合によっては資産の再構成を行うリアロケーションが必要となります。

リバランスやリアロケーションは、相場の状況と自分のリスク許容度をあわせて考えるなど、投資の知識が必要になりますので、投資をきっかけに資産の勉強を始めてみてはいかがでしょうか。総合的な投資の勉強になりますが、とはいえ投資初心者の間は、リバランス不要のバランス型ファンドを選ぶのも良いでしょう。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。