株主優待とは、企業が株主に対して自社製品や金券、優待券などを贈呈する制度で、上場企業の約4割が株主優待を提供しています。東証プライム上場企業のANAホールディングスも株主優待を実施する企業の1つです。
今回は2021年度のANAホールディングスの株主優待について内容の詳細や配当、注意点などを紹介しますので、銘柄選びの参考にしてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- ANAホールディングスの株主優待の内容
- ANA国内線搭乗優待
- ANAグループ各種優待券の冊子
- ANAホールディングスの配当の内容
- ANAホールディングスの業績の内容
- ANAホールディングスの企業情報
- ANAホールディングスの優待を受ける場合の注意点
7-1.株主優待番号案内書には有効期限がある
7-2.搭乗手続きまでに株主優待番号登録が完了していないと割引は適用されない
7-3.優待内容の変更・株主優待の廃止の可能性がある
7-4.権利付最終日での購入には注意
7-5.元本を毀損する可能性がある - まとめ
1.ANAホールディングスの株主優待の内容
銘柄 | ANAホールディングス |
コード | 9202 |
優待回数 | 2回 |
優待券利確定月 | 3月、9月 |
優待利回り | - |
株価 | 2,321.5円 |
優待を得るための最低投資額 | 232,150円 |
権利付最終日 | 2021年3月29日(月)、2021年9月28日(火) |
※株価、最低投資額、優待利回りは2021年12月3日時点でのデータ
ANAホールディングス(9202)の株主優待の内容は下記の通りです。
- ANA国内線搭乗優待
- ANAグループ各社・提携ホテル優待
- 国内・海外パッケージツアーの優待割引券
- 空港内売店・免税店での優待買物券
- ゴルフプレー優待料金券
- 株主専用サイトへのアクセス
それぞれ詳しく紹介します。
2.ANA国内線搭乗優待
ANAホールディングスの株主優待特典の1つが、ANA国内線の搭乗優待です。ANA国内全路線(コードシェア含む)の片道1区間が大人・小児(満3歳~満11歳)ともに株主優待割引運賃にて利用できます。
優待を受ける株主には「株主優待番号案内書」が配布されます。なお、株主優待番号案内書の配布枚数は、所有株数によって下記のように変動します。
保有株式 | 株主優待番号案内書の配布枚数 |
---|---|
100株~199株 | 1枚 |
200株~299株 | 2枚 |
300株~399株 | 3枚 |
400株~499株 | 4枚+400株超過分(200株ごとに1枚) |
1,000株~99,999株 | 7枚+1,000株超過分(400株ごとに1枚) |
100,000株以上 | 254枚+100,000株超過分(800株ごとに1枚) |
※年に2回の配布
片道1区間に対して株主優待番号1つを利用可能で、株主以外でも利用できます。マイル積算率は「株主優待割引運賃」の場合は区間基本マイルの75%、「プレミアム株主優待割引運賃」の場合は区間基本マイルの125%となります。
優待割引を利用するには、搭乗日355日前の9時30分から登場日当日までに予約をする必要があります。予約できるのは下記の窓口です。
- ANAウェブサイト
- ANA国内線予約・案内センター
- 空港カウンター
- 旅行会社
詳しい予約・購入方法はANAのWEBサイトで確認できます。
3.ANAグループ各種優待券の冊子
もう1つの株主優待は、ANAグループや提携ホテルなどで利用できる優待券がセットになった冊子です。内容は下記の通りです。
項目 | 優待内容 |
---|---|
提携ホテルの優待利用券 | ・宿泊割引券(ベストフレキシブル料金から20%割引)6枚 ・レストランやバーでの飲食割引券(10%割引)5枚 ※一部対象外のホテルあり |
国内・海外パッケージツアーの優待割引券 | ・ANAトラベラーズパッケージ商品に5%割引適用 ※優待券1枚で5名まで利用可能 ※ダイナミックパッケージ、ホテル&オプション、あなたび、ANAトラベラーズANA NOW、ANAトラベラーズホテル、レンタカー、遊び、体験を除く |
空港内売店・免税店での優待買物券 | ・ANA FESTA、ANA DUTY FREE SHOPなどで利用できる割引券(10%割引)5枚 |
ゴルフプレー優待料金券 | ・「武蔵の杜カントリークラブ」優待券 4枚 ・「早来カントリー倶楽部」優待券 3枚 |
株主専用サイトへのアクセス | ・カレンダーの配布や工場見学会への応募ができる |
いずれも旅行やレジャーに利用しやすい優待特典となっています。利用できるホテルや店舗などの詳細については、ANAのWEBサイトでご確認ください。
4.ANAホールディングスの配当の内容
ANAホールディングスの配当の内容は下記の通りです。
年度 | 1株配当(円) | 配当利回り |
---|---|---|
2017年3月期 | 6円 | 0.18%(#) |
2018年3月期 | 60円 | 1.46% |
2019円3月期 | 75円 | 1.85% |
2020年3月期 | 0円 | 0.00% |
2021年3月期 | 0円 | 0.00% |
2022年3月期 | 0円(予想1株配当) | 0.00%(予想配当利回り) |
(#)期中に10株を1株に併合。実質配当利回りは1.76%
※1株あたり配当金額は過去決算資料より集計
※配当利回りは決算期末日の終値より集計
ここ5年の1株あたりの配当金額は75円から0円(無配)で推移しています。2020年に無配になって以来、投資家への配当金は支払われておらず、2022年3月の決算時も無配になるとの見込みです。
配当利回りも同様で、2018年・2019年に1%台で推移していましたが、2020年・2021年は無配のため0.00%となっています。
5.ANAホールディングスの業績の内容
ANAホールディングスの業績の内容は下記の通りです。
年度 | 営業収益 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | 包括利益 |
---|---|---|---|---|---|
2017年3月期 | 1兆7,652億 | 1,455億3,900万 | 1,403億7,500万 | 988億2,700万 | 1,456億800万 |
2018年3月期 | 1兆9,717億 | 1,645億1,600万 | 1,606億3,600万 | 1,438億8,700万 | 1,624億9,500万 |
2019年3月期 | 2兆583億 | 1,650億1,900万 | 1,566億8,100万 | 1,107億7,700万 | 1,416億3,000万 |
2020年3月期 | 1兆9,742億 | 608億600万 | 593億5,800万 | 276億5,500万 | -127億4,900万 |
2021年3月期 | 7,286億8300万 | -4,647億7,400万 | -4,513億5,500万 | -4,046億2,400万 | -3,532億3,500万 |
※過去決算データより集計
※営業収益=売上高
2000年代に入ってから常に1兆円規模、2019年には2兆円規模となったANAホールディングスの営業収益(売上高)は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、約7,286億円にまで落ち込みました。
経常利益や純利益も数字が落ち込んでおり、経常利益は約4,500億円、純利益は約4,000億円の赤字となっています。
2022年3月決算では、営業収益こそ1兆円規模まで回復するものの、経常利益・純利益は1,000億円~1,400億円程度の赤字になると見込まれており、苦しい状態が続いているといえます。
6.ANAホールディングスの企業情報
社名(英語社名) | ANAホールディングス(ANA HOLDINGSINC.) |
業種 | 空運業 |
代表者 | 代表取締役社長 片野坂 真哉 |
決算 | 3月 |
資本金 | 4,676億6,010万円 |
本社所在地 | 〒105-7140 東京都港区東新橋1丁目5番2号 汐留シティセンター |
上場市場 | 東証一部 |
上場年月日 | 1961年10月1日 |
ANAグループは航空事業、航空関連事業、旅行事業、商社事業などを手掛ける企業です。1952年に創業した歴史ある企業であり、2022年には創立70周年の節目をむかえる、世界でもトップクラスの航空会社です。
国内シェアで約50%を誇り、国内線の輸送旅客数は世界で9位の規模となっています。近年では傘下LCC「ピーチ航空」の運営にも注力しています。
7.ANAホールディングスの優待を受ける場合の注意点
ANAホールディングスの株主優待を受ける場合は、下記のポイントに注意しましょう。
- 株主優待番号案内書には有効期限がある
- 搭乗手続きまでに株主優待番号登録が完了していないと割引は適用されない
- 優待内容の変更・株主優待の廃止の可能性がある
- 権利付最終日での購入には注意
- 元本を毀損する可能性がある
7-1.株主優待番号案内書には有効期限がある
ANA国内線の搭乗優待を受けられる「株主優待番号案内書」には有効期限が設定されています。
3月に権利確定した分は、同年6月1日から翌年5月31日までが有効期限となります。9月に権利が確定した分は、同年12月1日から翌年11月30日までが有効期限です。
期限を過ぎた案内書では割引が適用されませんので、くれぐれも注意しましょう。
7-2.搭乗手続きまでに株主優待番号登録が完了していないと割引は適用されない
優待割引の適用を受けるには、搭乗券を予約購入した後に「株主優待番号」と「登録用パスワード」を登録する必要があります。特に、株主優待番号の登録が完了していない場合、優待割引運賃は適用されなくなります。
予約・購入窓口によって登録方法が異なるため、ANAのWEBサイトで手順を確認のうえ、必ず登録するようにしましょう。
7-3.優待内容の変更・株主優待の廃止の可能性がある
株主優待は内容が変更されたり、優待自体が廃止されたりすることがあります。株主優待の内容変更や廃止が発表された場合、株価が急落し損失が発生することもあるので注意しましょう。
業績が良くない銘柄や東証プライムに上場して間もない銘柄などは、株主優待の内容変更・廃止となる傾向にあるほか、優待利回りが高すぎる銘柄も、人気の高さから優待を維持できず、優待内容が変更されることがあります。
株主優待を受ける場合であっても必ず情報を集め、適切な投資判断を下すことが大切です。
7-4.権利付最終日での購入には注意
株主優待を受けるために、権利付最終日(権利確定日から2営業日前)やその直前で株式を購入するのは避けるのが無難です。人気が高い優待銘柄の場合、権利確定日に向かって株価が上昇していき、権利落ち日(権利付最終日の翌日)以降に株価が大きく下落する傾向にあるからです。
結果的に大きな含み損を抱える可能性があるため、購入のタイミングには十分注意しましょう。
7-5.元本を毀損する可能性がある
株式投資を行う以上、元本を毀損する可能性があります。優待内容の変更や廃止、権利確定日以降の値動きなど、さまざまな要因に影響され株価は変動します。
株主優待が目的で株式を購入する場合でも、株価の動きについては必ずチェックしましょう。状況によっては、元本を毀損する前の株式の売却や損切り(=損失を確定させるための売却)を決断しなければならいないこともあります。
株式を購入する場合は、さまざまな状況を想定してどう対処するのか、事前に考えておくことが重要です。
まとめ
今回はANAホールディングスの2021年度の株主優待について紹介しました。
ANAホールディングスの株主優待では、国内線の搭乗優待やグループ・提携ホテル・提携施設などで利用できる優待券一式が贈呈されました。
ただし、来年以降も同じ優待がもらえるとは限りません。2022年3月期決算も数字が芳しくないと予想されていますので、優待目的で株式を購入する場合は同社の動きに注意を払う必要があるでしょう。
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山本 将弘
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