コロナ後の投資で見るべきポイントは?ファンドマネージャーが語る注目の時事トピック

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2020年3月にコロナショックで株が暴落しました。そして世界中で人の往来が制限され「ロックダウン」というこれまであまり聞かれなかった言葉が飛び交うようになりました。

2020年5月時点において、世界中の政府・中央銀行が矢継ぎ早に対策を打ち出していることから株の下落は小休止となっていますが、いまだに経済活動は平時より停滞したままです。ここから株価はどうなっていくのでしょうか。判断するために押さえておきたいトピックをご紹介したいと思います。

目次

  1. なぜコロナウイルスで株価は急落したのか?コロナ前の株式市場の動向
  2. コロナが経済や株式市場に与えた影響と対応策
  3. コロナ後の投資でおさえておきたい時事トピック
  4. まとめ

1.なぜコロナウイルスで株価は急落したのか?コロナ前の株式市場の動向

確かにコロナウイルス拡散をきっかけに株は暴落しましたが、それ以前から危うい状態であったことは確かです。

2019年中は米中の貿易交渉をめぐり不安定な状況でしたが、FRBがそれまでの金融政策を180度転換し利下げとバランスシートを拡大したことから、米株は上昇基調を維持し、史上最高値を更新しました。

日本に目を向けてみると、2019年10月の消費増税により個人の消費意欲が冷え込み実体経済に悪影響が出ていたにもかかわらず、政府はこの段階では「台風の影響などもあり」という形で一時的な景気減速のように説明をしており、アメリカの株価に引き上げられる形で日本株も上昇していました。

こうなると、どこかでおかしいということは感じながらも、自分だけ置いていかれたくないという、いわゆる「株を持たざるリスク」を恐れる心が市場に芽生え、全員参加型で株価が上昇していたのが実態だったのです。

更に良くなかったのは、2020年始のアメリカとイランの関係悪化による株の下落が僅か3日で反転したことです。これがあった影響で、市場参加者には「悪材料により株が下がれば絶好の買いチャンス」と捉える傾向ができたと言えます。

コロナも当初それらの悪材料の一つだと勘違いされてしまい、1月上旬に中国でコロナのニュースが出始めてから2月の半ばに本格的に下落がスタートするまで、追加で相当のロング(買い・買建)ポジションが溜まってしまったのが、コロナショックの大きな値幅に繋がった要因の一つです。

つまり、コロナがなかったとしても遅かれ早かれ景気が減速する兆候は出ていたということです。

しかし、今後については非常に分かりづらくなってきました。ポイントは三つあり、コロナの悪影響がいつ終わるのかが全く読めないことと、今回のロックダウンにより世の中が変わりつつあること、世界中が対策のために資金を過剰に供給しているということです。

2.コロナが経済や株式市場に与えた影響と対応策

コロナが騒がれ始めた当初は、2003年に流行したSARSと致死率・感染力などが比較され、収束までの時間・株の下値目途などが予測されました。

しかし、2003年当時と今では世界における中国の立ち位置・影響力及び世界の人と物の流れが全く異なっています。世界のあらゆるサプライチェーンに中国企業が入り込み、世界の企業が中国という巨大な消費マーケットに向けて進出し、グローバル化により人の流れが活発化していたことから、感染を止めることは困難な状況になっていました。

また、コロナウイルス自体については世界中で研究が進んでいますが、未だ専門家の間でも意見が分かれているほどで、全容解明には程遠い状況です。

そして未知のウイルスの恐怖に支配された世界はロックダウン発動に追い込まれ、複数の国々で経済活動は急減速しました。同時にそれらの国々は前例のない規模で財政政策と金融政策を打ち出したことで、株式の暴落は一旦食い止めたという状況です。

現時点では株式市場はチャート上落ち着きを取り戻しているため、パニックに陥ったマーケットから一時退避していたものの、そろそろマーケットに戻ることを考え始めた投資家達も見られます。

しかし、ここで大事なことは、コロナにより世の中が大きく変わってしまったかもしれないということです。例えば外出や経済活動の自粛を続ける中で、企業は本当の意味での働き方改革を推進し、それに伴い人々のライフスタイルも変わっていくかもしれません。これが経済に与える影響を考慮する必要があるのです。

3.コロナ後の投資でおさえておきたい時事トピック

今後コロナが完全に予防できるようになるまでは、一度自粛をしてしまった経済活動をこれまでと同じレベルに戻すことは難しく、当面はコロナ騒動を受けた後の世界をイメージしながら成長産業に投資をしていきたいところです。そこで、押さえておきたいトピックを以下に紹介していきます。

特定の国の外国人旅行客に頼った営業方針の変更

ターゲットを国内に切り替える方針
中国人消費の割合を減らすためにターゲット国を更に増やす方針

中国頼みのサプライチェーンからの脱却

東南アジアなどへの投資

中国という巨大マーケット消費からの脱却

インドなどへの進出加速

在宅勤務・テレワークなどの働き方改革

オンライン会議アプリなどシステム関連銘柄の需要増
自炊が増えることで地元のスーパーの需要増
ランチ・弁当・出前需要増への対応

働き方改革によるライフスタイルの変化

出勤回数が減るのであればオフィスに近い都心に住むという需要が減退
飲食関係も都心から郊外へ
趣味への消費が増加

コロナ終息後もウイルス予防志向は継続

消毒剤などへの需要増

教育の変化

オンライン授業のためのシステム投資
オンライン授業が充実している学校・塾が人気に

コロナワクチン

開発成功の可能性の企業への投資
ワクチン製造会社への投資

旅行関連

ロックダウン解除後も需要は爆発的には戻らない・給料レベルが戻るにつれて完全回復に近づく

航空関連

仮に需要が戻っても一機における搭乗者数を制限するのであれば、飛行機の増産が必要になる
既存空港のキャパシティーは変わらないため、追加で空港建設をするのかどうか

外食産業

一度自粛慣れしてしまうと、客足は戻りにくい
特に企業がテレワークを推進すると企業による団体パーティーの回数は減少

オリンピック

来年東京で開催されるのであれば、日本企業へのサポート材料

ここ数年で台頭してきたグローバリズムからポピュリズムへの流れが決定的に

景気が良かった時の経済構造モデルであるグローバリズムの終焉
ブレグジット
トランプ大統領当選
コロナにおける特定外国の入国制限
EUの政治リスク(南欧VS北欧)

まとめ

市場は常に材料を先取りして大げさに動きますので、ついついその値動きの激しさに目を奪われがちですが、そういう時こそ、その先のことを考えることが肝要です。

コロナショックはウイルスという目に見えないものを相手にしているわけですが、死者が出ているなか、この先の感染拡大について確信を持って予想できる人がどこにもいないという不安感こそが、今回のショックの大きな特徴なのです。

この事態が一歩前進するとしたら、薬によって「コロナは死に至るウイルスではない」という世論が形成された時でしょう。それまでは、いくら政府中央銀行の対策によりカネ余りの状態といえども、慎重に銘柄を選定して投資をしていくべきだと思います。

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