2022年に最も株価が上がった米国株5本、背景と今後の展望は?

2022年は米株式市場にとって苦しい1年でした。高インフレを背景に、FRB(連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切ったことが要因です。米国の株式指数は2021年末比で、ダウ工業平均がマイナス8.7%、S&P500指数がマイナス19.4%、ナスダック指数はマイナス33.1%下落しました。

多くの銘柄が下落したものの、2021年末比で株価が3倍超の上昇となった銘柄もあります。今回は、2022年に最も株価が上がった米国株5銘柄の背景と今後の展望を説明します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2023年1月21日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. FRBの金融政策
  2. 米国の2022年株価上昇率上位5銘柄
    2-1.KLXエナジー・サービス・ホールディングス<KLEX>
    2-2.マンモス・エナジー・サービシズ<TUSK>
    2-3.アードモア・シッピング<ASC>
    2-4.スコーピオ・タンカーズ<STNG>
    2-5.ターゲットホスピタリティコーポレーション<TH>
  3. まとめ

1 FRBの金融政策

2022年はFRBによる金融政策転換の年でした。2019年12月に中国武漢市で発生した新型コロナウイルスは世界中に拡がり、各国は感染対策のため国境を封鎖。この封鎖に伴い、経済活動が止まり、企業業績悪化懸念から各国の株式市場で、株価が大きく値を下げました。

FRBは景気の落ち込みを防ぐため、「ゼロ金利」と「量的緩和」の金融緩和政策を実施しました。その結果、株式市場が好転し、ダウ工業平均やS&P500、ナスダック平均は史上最高値を更新しました。

2022年は、ロシアによるウクライナ侵攻にともない原油や天然ガスなど一次産品価格が急騰し、インフレ率が上昇。FRBは、インフレ対策としてゼロ金利政策の解除とテーパリング(量的緩和の段階的縮小)を開始。金融引き締め政策により株価の上値が重くなっている環境下、株価が上昇した銘柄もあります。

2 上昇率上位5銘柄

そのような状況下で、株価の上昇率が高い上位5銘柄を紹介します。

2-1 KLXエナジー・サービス・ホールディングス<KLEX>

KLXエナジー・サービス・ホールディングスは、石油・天然ガス業界に高性能の技術サービス・関連ツール・機器を提供しています。

2022年株価の騰落率は前年比458%でした。2021年12月末に3.1ドルだった株価は、2022年11月には一時18.63ドルの高値を付け、2022年12月末の終値は17.31ドルでした。

株価上昇の背景には、業績の急回復があります。売上高は、2021年第4四半期の86.8百万ドルから期を重ねるごとに増加し、2022年第3四半期には2億21.6百万ドルに拡大しました。2022年第3四半期の純利益は、2020年第2四半期以来の黒字に転換しました。

ただし今後は、世界経済活動の減速が予想されているため、株価も2022年度のような上昇は期待できそうにありません。2023年の世界経済成長率は、2022年の3.2%から2.7%に減速すると予想されています(参照:IMF「世界経済見通し (WEO) 2022年10月」。

2-2 マンモス・エナジー・サービシズ<TUSK>

マンモス・エナジー・サービシズは、油田開発サービス会社です。石油・天然ガス埋蔵量の探査・開発に関連する製品やサービスの提供のほか、電力網の建設や補修もしています。

2022年株価の騰落率は前年比375%でした。2021年12月末に1.82ドルだった株価は、2022年末に8.79ドルの高値を付け、終値は8.65ドルでした。

株価上昇の要因は、好業績です。特に2022年第3四半期の1株あたり純利益が0.16ドルと、前年同期のマイナス0.88ドルから黒字に転換しました。また、同四半期の総収益は、5,750万ドルから1億720万ドルに大幅増加(86%増)しました。

今後の売上高は、世界経済減速を背景とした原油需要の落ち込みから、2022年のような成長は期待できそうもありません。そのため、株価は2022年のような高いリターンは期待できないと思われます。

2-3 アードモア・シッピング<ASC>

アードモア・シッピングは海運会社で、ケミカルタンカーの保有・運航や定期用船による海輸サービスを提供しています。

2022年の株価騰落率は前年比326%でした。2021年12月末に3.38ドルだった株価は、2022年12月5日に16.32ドルの高値を付け、12月末の終値は14.41ドルでした。

株価上昇の背景には業績好調があります。2022年第2四半期に純利益が29.8百万ドルの黒字と2年ぶりに黒字化し、第3四半期には62.1百万ドルに成長しました。また、同年第4四半期以降に配当を開始すると発表したことも株価上昇の要因です。

好業績の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻により、バルト海と北海を横断する短い貿易ルートの多くが分断され、運賃が上昇したことがあります。タンカーが不足していることも運賃上昇の一因で、同社の売上増につながりました。

今後の株価は、ロシア・ウクライナ情勢次第と言えます。現在のような情勢が長引けば、株価にはプラス材料となります。

2-4 スコーピオ・タンカーズ<STNG>

スコーピオ・タンカーズはタンカー業界大手で、石油や石油製品の海上輸送を業とする企業です。

2022年の株価騰落率は前年比325%でした。2021年12月末に12.63ドルだった株価は、2022年末に57.71ドルの高値を付け、終値は53.77ドルでした。

ロシアによるウクライナ侵攻による海運ルート迂回やタンカー不足等を背景に売上高が伸びました。特に、2022年第2四半期以降の売上高は急増し、純利益も増加しました。

同年第2四半期の売上高は約4億500万ドル(前年同期比約1億3900万ドル)、第3四半期の売上高は約4億9,000万ドル(同約1億1,900万ドル)、純利益は第2四半期が約1億9,100万ドル(同約マイナス5,200万ドル)、第3四半期は約2億6,600万ドル(同約マイナス7,300万ドル)と拡大しました。

今後も、ロシア・ウクライナ情勢次第で同社の業績が左右されると考えられます。現在のような情勢が続けば、株価にはプラス材料となります。

2-5 ターゲット・ホスピタリティ・コーポレーション<TH>

ターゲット・ホスピタリティ・コーポレーションは、家族向け住宅センターを所有・運用。公的機関やインフラ関連企業向けにカスタマイズされた専門の賃貸宿泊施設や料理サービスなどを提供しています。

2022年の株価上昇率は前年比325%でした。2021年12月末に3.56ドルだった株価は、2022年12月中旬に一時16.73ドルの高値を付け、同年12月末の終値は15.14ドルでした。

株価の上昇要因は好業績です。株価は2022年初から7月までは3~8ドルのレンジで推移していました。同社が7月に2022年の収益見通しを大幅(プラス53%)に引き上げたため株価が急伸し、6ドル前後で推移していた株価が7月末には14ドル台に乗せました。自社株買いを実施していることも株価上昇の要因です。

今後も、好調な企業業績を背景とし、株価は堅調に推移するものと思われます。

まとめ

2022年に米国株式で上昇率が高かった銘柄では、資源エネルギー、国際運輸関連の企業が目立ちました。背景には、ロシアのウクライナ侵攻があり、海運ルート迂回やタンカー不足、石油など一次産品価格や輸送費が上昇したことがあります。

ロシアによるウクライナ侵攻の長期化が、苦しくも株価を押し上げる結果となったようです。今後も、ロシア・ウクライナ情勢次第で同社の業績が左右されると考えられます。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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