米ウォルト・ディズニー(ティッカーシンボル:DIS)が2月9日に発表した2021年10~12月期(第1四半期)決算は、売上高、1株利益ともにアナリスト予想を上回った(※1)。テーマパーク事業が回復したほか、動画配信サービスが好調だった。決算発表の翌日10日の米国株式市場が大幅下落するなか、良好な決算となった同社の株価は3%超上昇した(※2)。2月17日時点でも同水準を推移している。
テーマパークとグッズの販売からなる部門の売上高は前年同期比2倍の72億3,400万ドルだった。営業損益は24億5,000万ドルと、前年同期の1億1,900万ドルの赤字から黒字に転じている。テーマパークへの来園やホテルの宿泊、およびクルーズ客船の利用が増加したことが、売上高の拡大に寄与した。クリスティン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)は、第2四半期も米国内のパークに多くのゲストの来園を見込んでいるものの、国外からの来園者数は新型コロナウイルス禍以前の水準に戻っていないと述べた(*3)。
動画配信サービスを手掛けるダイレクト・トゥー・コンシューマ(DTC)部門に関しては、ディズニープラス(Disney+)の会員数が1億2,980万人と、市場予想の1億2,575万人を上回った(*4)。10~12月の加入者数は約1,200万人増加した。同社は22年下半期に会員数の大幅な伸びを予想しているが、第1四半期の会員数が予想を上回ったことから、22年は好調な滑りだしとなったといえる。米国およびカナダでの1ユーザー当たりの平均売上高(ARPU)は、1年前の5.80ドルから6.68ドルに増加している。
決算発表とあわせて、米アカデミー賞で7部門の候補に入ったスティーブン・スピルバーグ監督の映画「ウエスト・サイド・ストーリー」を3月2日(日本は3月30日)より、「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」後の物語を描くオリジナルドラマシリーズ「オビ=ワン・ケノービ」を5月25日(日米同時)よりディズニープラスで配信することを発表(*5)。有力作品を投入することで会員数の増加を図る模様だ。
第2四半期にDTC部門向けに多額の投資を計画するなか、ボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)は、ディズニープラスの会員数が24年までに2億3,000万~2億6,000万人に達するとの見通しを改めて示した(*3)。なお、競合のネットフリックス(NFLX)は会員数の見通しが悪化していることが嫌気され、直近の決算発表後の1月21日に株価が20%強大幅下落している(*6)。
コンシューマープロダクツ部門の売上高は前年同期比9%減の15億7,300万ドルだった。21年下半期に多くのディズニーストアを閉店したことが影響した。
そのほか、ディズニーはテレビコンテンツや映画製作を再開しているが、依然として作品数は不足している状況だ。全米映画ボックスオフィスによる興行成績はパンデミック前の水準を回復していない。また、ディズニー傘下のマーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズ・エンタテイメントが共同制作した「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」から得られる収入により、他の作品の損失をいくぶんか相殺するという。
国内テーマパーク事業が盛り返し、動画配信サービスも好調な同社の更なる業績拡大になるか。
【参照記事】*1 ウォルト・ディズニー「THE WALT DISNEY COMPANY REPORTS FIRST QUARTER EARNINGS FOR FISCAL 2022」
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「ウォルト・ディズニー」
【参照記事】*3 ウォルト・ディズニー「The Walt Disney Company’s First Quarter 2022 Financial Results Conference Call」
【参照記事】*4 cnbc「Disney parks business roars back as company beats earnings expectations, stock soars」
【参照記事】*5 ディズニー・メディア&エンターテイメント・ディストリビューション「Steven Spielberg’s Award-Winning, Critically-Acclaimed “West Side Story” To Debut On Disney+ Beginning March 2」「Original Series From Lucasfilm Reunites Fan-Favorite Star Wars Characters 」
【関連記事】*6 「ネットフリックス 会員数伸び鈍化で株価20%急落」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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