米製薬大手ファイザー(ティッカーシンボル:PFE)は2月8日、新型コロナウイルスのワクチンと経口薬の売上高が22年通期で合計540億ドル(約6兆2,000億円、1ドル=115円換算)になるとの見通しを示した。会社全体の売上高は過去最高を見込む(*1)。
アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は、経口薬「パクスロビド」の売上高見通しには契約済みもしくは契約がまとまりそうな分しか含めていないため、実際は会社予想を上回る可能性があると述べた(*2)。同社は現在、100ヶ国以上とパクスロビドの供給契約について活発に協議しており、22年末までに1億2,000回分の生産を見込む。
1月25日には、新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株に対応したワクチンの臨床試験を開始したことを発表。ブーラCEOは同ワクチンを3月までに準備できるとの見通しを示している(*3)。また、パートナー企業のビオンテックと協働し、5歳未満の小児にもワクチンの緊急使用の許可を拡大するよう米食品医薬品局(FDA)に働きかけている状況だ。両社は5歳未満の小児には3回接種が必要とみているが、まずは2回接種に向けて使用許可の申請を開始している。
ブーラCEOは、新型コロナウイルスが世界中に拡散し、変異を重ねることから、根絶することは難しいとの見方を示した。自然感染により、変異を繰り返すコロナウイルスのすべての感染伝播を防ぐことにつながるとするにはデータが不十分であるとも述べた(*2)。
またブーラCEOは、米ビーム・セラピューティクスと協働し、新型コロナウイルスに対するmRNA(メッセンジャーRNA)技術を肝臓や筋肉、中枢神経系の希少遺伝性疾患の治療に積極的に利用する計画を明らかにした。Codex DNA社とは戦略的提携およびライセンス契約を締結し、新規のワクチン開発期間を従来の3ヶ月から2ヶ月に短縮を図るという(*2)。
22年12月期通期の業績見通しに関しては、売上高が980億~1,020億ドル、調整後1株当たり利益は6.35~6.55ドルになると見込む。それぞれ中央値で前年比23%増、46%増となる見通しだ。
21年10-12月期決算は、売上高が前年同期比2倍の238億ドル、純利益が同4倍の33億ドルだった。新型コロナワクチンの売上高が125億ドルとなり収益を押し上げた。パクスロビドは21年12月にFDAが緊急使用許可を出しており、売上高は7,600万ドルだった。売上高が市場予想を下回ったことが嫌気された模様で、株価は3%ほど下落し、2月18日時点では5%ほど下落している状態となっている(*4)。
【参照記事】*1 ファイザー「PFIZER REPORTS FOURTH-QUARTER AND FULL-YEAR 2021 RESULTS」
【参照記事】*2 ファイザー「Event Transcript」
【参照記事】*3 Cnbc「Pfizer expects $54 billion in 2022 sales on Covid vaccine and treatment pill」
【参照記事】*4 Yahoo!ファイナンス「ファイザー」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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