「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(ティッカーシンボル:BRK B)は、2021年第4四半期に米ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザード(ATVI)の株式を取得した(*1)。22年1月なかばには米マイクロソフト(MSFT)がアクティビジョンを買収することを発表していたことから、それ以前に株式を取得していたことになる(*2)。
米国証券取引委員会(SEC)に提出された保有株式に関する報告書「フォーム13F」により、バークシャーが21年末時点でアクティビジョン株を約1,470万株取得していたことが明らかになった。
バフェット氏はマイクロソフトの買収成立により多額の利益を得られるとみている。アクティビジョンの株価に関しては、一時100ドルを突破していたが、バークシャーが株式を取得した21年第4四半期には56.40ドルまで下落していた(*3)。カリフォルニア州公正雇用住宅局により、女性へのセクハラや差別行為があったとして訴訟を起こされたことが市場で嫌気された模様だ(*4)。また、「ディアブロⅣ」と「オーバーウォッチ2」の発売を延期したことや、新作ゲーム「コール オブ デューティ ヴァンガード」の評価が芳しくないことも、株価の下落につながったようである。
22年1月18日には、マイクロソフトが687億ドル(約8兆円、1ドル=115円換算)を投じてアクティビジョンを買収すると発表。これを受け、アクティビジョンの株価は約26%急騰した(*3)。マイクロソフトによれば、アクティビジョンの買収により、ゲーム事業の売上高ベースで中国のテンセント(市場コード:00700)、ソニーグループ(銘柄コード:6758)に次ぐ世界3位に躍り出るという(*2)。マイクロソフトのサティア・ナデラ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「ゲームはメタバースプラットフォームを構築するうえで重要な役割を演じることになるだろう」と述べた(*2)。また、マイクロソフトによる買収が成立すれば、米国のテクノロジー企業による最大の案件になると、CNBCが報じている(*5)。
マイクロソフト以外のテクノロジー企業によるゲーム会社の買収もしくは出資案件が相次いでいる状況だ。たとえば、ソニーグループ傘下のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、人気ゲーム「デスティニー」を開発する米バンジーを36億ドル(約4100億円)で買収すると発表した(*6)。テンセントはKADOKAWAやマーベラスなどに出資している(*7、8)。テクノロジー企業各社は多くのユーザーを抱えるゲーム会社を取りこむことで、ゲームや音楽、メタバースといった多様なビジネス機会の獲得を模索しているようだ。
なお、マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏と、バークシャーの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるバフェット氏は旧知の仲である(ただし、ゲイツ氏は20年にバークシャーとマイクロソフトの取締役を退任)。米誌フォーブスの21年版世界長者番付によると、ゲイツ氏は4位、バフェット氏が6位にランクインしている(*9)。
【参照記事】*1 米国証券取引委員会「SEC FORM 13-F Information Table」
【参照記事】*2 マイクロソフト「Microsoft to acquire Activision Blizzard to bring the joy and community of gaming to everyone, across every device」
【参照記事】*3 Yahoo Finance「Activision Blizzard, Inc.」
【参照記事】*4 カリフォルニア州公正雇用住宅局「https://www.dfeh.ca.gov/wp-content/uploads/sites/32/2021/07/BlizzardPR.7.21.21.pdf」
【参照記事】*5 cnbc「Buffett’s Berkshire bought about $1 billion worth of Activision shares before Microsoft deal」
【参照記事】*6 ソニーグループ「https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/news/20220201_J.pdf」
【参照記事】*7 KADOKAWA「https://group.kadokawa.co.jp/information/media-download/547/c3eb16bdece62058/」
【参照記事】*8 マーベラス「https://corp.marv.jp/img/200525_IRrelease.pdf」
【参照記事】*9 Forbes「Forbes Billionaires 2021: The Richest People in the World」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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