コンテナ船大手APモラー・マースク ロシア発着の貨物輸送を停止

※ このページには広告・PRが含まれています

コンテナ船大手のAPモラー・マースク(ティッカーシンボル:MAERSKB)は2月28日、ロシアを発着する全ての輸送を停止すると発表した(*1)。ロシアがウクライナに侵攻したことにより、各国が打ち出した経済制裁に対応する。

マースクは「刻々と移り変わる制裁や規制の動向を注視するとともに、順守に向けて準備をしてきた」と述べ(*1)、ロシア発着の海上及び陸上での新規予約を停止した。すでに予約を受けた貨物に関しては、ロシアに運べるよう最大限努力するという。航空輸送も徐々に規制されてきており、同社のサービスに影響が出てくると見込む。24日にはウクライナ発着の貨物の引き受けを停止した。また、スイスMSCやフランスCMA CGMといった海運大手も、ロシア発着の輸送を停止することを発表している(*2、3)。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、米国や欧州連合(EU)などは経済制裁を発動。これには、国際的な銀行決済取引網である「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの主要銀行を排除することや、ロシア中央銀行の資産を凍結することが含まれている。

とくにSWIFTからの排除されたことで積み荷の海上保険を契約できず、穀物サプライチェーンに影響を及ぼしている状況だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、2020年の小麦の輸出量はロシアが世界1位、ウクライナが世界5位となっている(*4)。世界有数の小麦の輸出国である両国からの供給が滞るとの懸念から、穀物価格の国際指標とされるシカゴ商品取引所の小麦先物は2日に約14年ぶりの高値まで上昇した(*5)。

マースクは1992年以来ロシアで事業を展開してきており、サンクトペテルブルクやノボロシスク、ウラジオストク、ボストチヌイ、カリーニングラードといった主要港発着の航路で運航(*6)。株価に関しては、今回の発表を受け3%下落、年初来では11%以上値下がりしている(*7)。

【参照記事】*1 APモラー・マースク「Russia / Ukraine update
【参照記事】*2 MSC「MSC TEMPORARILY HALTS BOOKINGS TO/FROM RUSSIA
【参照記事】*3 CMA CGM「Black Sea and Ukraine situation update
【参照記事】*4 国連食糧農業機関「FAOSTAT
【参照記事】*5 CNBC「Wheat prices trade ‘limit up’ again, hit highest in nearly 14 years
【参照記事】*6 APモラー・マースク「Shipping to and from Russia
【参照記事】*7 APモラー・マースク「Historic Price Lookup

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チームは、株式投資に関する知識が豊富なメンバーが株式投資の基礎知識から投資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」