S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは3月4日、同社の指数からロシア株(ADR(#1)、GDR(#2)含む)を除外すると発表した(*1)。ロシアのウクライナ侵攻を受け、グローバル金融・経済からロシアを締め出す動きに指数算出会社も加わった。
同社はダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ工業株30種)やS&P500といった、世界中の投資家がベンチマーク(運用の成果を図る基準)とする指数を算出している。指数から除外されることで、ベンチマークに連動するように運用する投資家の資金が当該国から流出する可能性がある。
ロシアを新興国から個別国(先進国、新興国、フロンティアのいずれのカテゴリーにも属さない国)へ再分類も行う。分類の再評価は2023年の国別分類の年次見直し時となる予定である。指数からの除外および個別国への再分類は、22年3月9日の取引開始前より反映する。
また、MSCIとFTSEラッセルといった世界を代表する指数算出会社もすでに、主要株価指数からロシア株を除外することを発表している(*3)。MSCIは9日取引終了後、ロシアを新興国市場から最も低評価のスタンドアローン市場へ再分類した。FTSEラッセルは7日取引開始時より、モスクワ証券取引所に上場し株価指数を構成するロシアの60銘柄を指数算出の対象外とする。これには国営ガス最大手のガスプロム(ティッカーシンボル:GAZP)や銀行最大手のズベルバンク(SBER)、石油大手のロスネフチ(ROSN)などの主要企業が含まれている。
ロシアのウクライナ侵攻により地政学リスクが高まるなか、ロシア関連のETFは急落している状況だ。たとえば、2月28日時点において、iシェアーズMSCIロシアETF(ERUS)は過去1年間の運用実績が-79%(*4)、ヴァンエック・ロシアETF(RSX)は-71%となっている(*5)。
世界的な株価指数からロシア株を除外する動きが強まっており、これらの指数をベンチマークとする投資家からの資金の流出がつづきそうだ。
(#1)ADR…米国預託証券。米国外の企業が米国で発行する有価証券。
(#2)GDR…グローバル預託証券。自国以外の海外で株式を上場する場合に発行する預託証券。GDRはおもに欧州で発行される。
【参照記事】*1 S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス「S&P Dow Jones Indices’ Consultation on Sanctions and Russia Market Accessibility – Results」
【参照記事】*2 MSCI「MSCI to Reclassify the MSCI Russia Indexes from Emerging Markets to Standalone Markets Status」
【参照記事】*3 FTSEラッセル「Treatment of Russia in FTSE Russell Equity Indices
」
【参照記事】*4 ブラックロック「iシェアーズ MSCI ロシアETF」
【参照記事】*5 ヴァンエック「RSX – VanEck Russia ETF」

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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