国連食糧農業機関(FAO)が3月4日に発表した2月の世界の食料価格指数(2014~16年=100)は140.7と前月比5.3ポイント上昇し、11年2月以来11年ぶりに過去最高を更新した(*1、2)。需要拡大にともない植物油や乳製品が値上がりしたほか、ロシアのウクライナ侵攻による供給不安が価格上昇に拍車をかけている。
食料価格指数は穀物・肉類・乳製品・植物油・砂糖という5品目の取引価格を反映しており、投資家も注目する食料価格の代表的な指標となっている。これまでの最高は11年2月の137.6(*3)。当時は新興国の食料需要が拡大したほか、食料価格の高騰により中東・北アフリカ地域で本格化した民主化運動「アラブの春」が起きていた。
品目別では植物油の値上がりが目立ち、前月比15.8ポイント上昇の201.70と過去最高に達した。グローバル需要が拡大する一方、世界有数のパーム油輸出国であるインドネシアが1月下旬より輸出制限に踏み切ったことが影響した。また、ロシアによる軍事攻撃を受けて黒海周辺からの輸出が滞るとの懸念から、ヒマワリ油の値上がりにつながっている。
小麦などの穀物は同4.2ポイント上昇の144.8。国連食糧農業機関(FAO)が公表したデータでは、20年の小麦の輸出量はロシアが世界1位、ウクライナが世界5位となる(*3)。またウクライナはとうもろこしの輸出額も大きい。小麦やとうもろこしなどの輸出大国である両国からの供給が滞るとの懸念から、穀物価格も上昇している状況だ。
乳製品は同8.5ポイント高い141.1。北アジアや中東を中心に根強い需要がある一方、東欧やオセアニアなどの主要な産地で生乳の生産が減少した。
FAOは、世界的な食糧価格の上昇は作柄や輸出動向だけでなく、エネルギーや肥料などのコスト高によってももたらされていると指摘(*1)。これら要因のすべてが食糧の生産者の利益を圧迫し、投資や生産拡大の意欲をそいでいるという。
ウクライナ情勢が悪化するなか、今後も小麦やとうもろこしなどを中心に食糧価格の上昇が見込まれそうだ。
【参照記事】*1 国連食糧農業機関「FAO Food Price Index rises to record high in February」
【参照記事】*2 国連食糧農業機関「FAO Food Price Index」
【参照記事】*3 国連食糧農業機関「Countries by commodity」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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