保有中の株式が暴落…その時の考え方と対策をファンドマネージャーが解説

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足元のコロナショックのように市場環境が不安定になり、保有する株式の株価が軒並み下落し続ける状況に直面すると、それまでコツコツ増やしてきた資産が一気に目減りしてしまうので、大きなストレスを感じることでしょう。元々長期投資を前提としていたとしても、誰でも「このまま株を保有し続けていいものか」と心に迷いが生じるものです。

このような時に、慌てて売却してしまったり、毎月の積立をストップしてしまったりすると、買い戻すタイミングがつかみにくく、株価のリバウンドを取れなくなるおそれがあることから必ずしも良い選択とは言えません。冷静な対応ができるように、以下に考え方と対策をご紹介します。

目次

  1. 全資産状況を把握する
  2. 株式暴落時の考え方と対策
    2-1.静観する
    2-2.大型株へ銘柄入れ替えをする
    2-3.追加購入を考える
    2-4.売却する
  3. まとめ

1.まずは全資産状況を把握する

相場が大きく下落した時に特に慌てやすい状況に陥ってしまうのは、例えば次のようなケースです。

  • 余裕資産の範囲を超えて投資をしてしまっている
  • 信用取引などレバレッジをかけて投資している
  • 特定の国や業種に偏った投資をしてしまっている

結局慌ててしまう時というのは、自分の想定以上の損失が目に見えて発生した時であり、ある程度の現金を手元に残して余裕資産の範囲内で投資を行っているのであれば、冷静に対処できるはずです。

しかし、仮に現時点で損失が想定の範囲内に収まっていたとしても、レバレッジをかけて信用取引や先物取引を行っている場合は、今後大きな損失につながる恐れがありますので投資対象の中身を再度確認することをお勧めします。

また、株式下落時のヘッジとして例えば金などに分散投資をしているにもかかわらず、ヘッジ用資産からも損失が出ている場合も要注意です。10年に一度の大クラッシュ相場かもしれません。

2.株式暴落時の考え方と対策

まず、一括買いにより既に全資産のうち株式がある程度の割合を占めている場合と、積み立て投資により余裕を持って長期投資のスタンスを取っている場合とを分けて考えましょう。

積み立て投資の場合は何も慌てる必要はなく、むしろ衝動的に解約することのないように気を付けましょう。暴落時には沢山の株数を購入できるので、平均購入単価を下げられるメリットがあるくらいです。下記にて、既にある程度の割合で株式を保有している方の対策と考え方をご紹介します。

2-1.静観する

たとえ今の相場環境が悪くても、当初投資した時に想定していた「最悪の落ち込み幅」の範囲内であれば、そのまま様子を見るという方法があります。

相場は一時的に大きく下がることがあっても、長期的には戻るというサイクルがあります。
歴史的に見ても、4-5年を1つのサイクルとして2-3サイクル以内に大きなショックが訪れることが多く、「下がっては上がり、上がっては下がり」という変動を繰り返すことが一般的です。

そのため、一時的に下がったからといって慌てて売却するのでなく、長期的に相場を見ながら、地道に投資を続けるのが良いでしょう。

2-2.大型株へ銘柄入れ替えをする

株価暴落時では、「高PERの銘柄」や「小型の成長株」などは、業績の良し悪しに関わらず特に大きく売られやすい傾向にあります。反対に、JPX日経400に採用されている優良大型株は、比較的株価変動率が小さく株価が安定している銘柄が多く揃っており、小型株よりも売られにくく、外国人投資家や機関投資家好みなので買いが入って反発しやすいという特徴もあります。

もし一時的な資産の大幅減に耐える自信のない場合は、相場が落ち着くまではポートフォリオの一部を守りに強い銘柄に入れ変えておくことで、精神的な安心感も高まり狼狽売りも避けやすくなります。

※JPX日経400とは:営業利益やROE(自己資本利益率)、時価総額をもとに成績の良い銘柄を選別した企業の集まり。

2-3.追加購入を考える

投資には『落ちるナイフを掴むな』という格言があります。いくら余裕資金とはいえ、下落している最中に追加購入を検討する場合は慎重に行いましょう。

基本的な考え方としては、仮にまっさらな状態で何も投資資産を保有していない状態を想像し、その株式を現時点で購入したいと思うか、ということを自分に問うことです。そこでNOという決断になるのであれば、一旦購入は見送りましょう。

一方、もし自分の中でGOサインが出た場合ですが、それでも最悪を想定して、購入する予定金額の3割程度の打診買い※に留めておくのが望ましいでしょう。パニック相場で下がっている時の値幅を甘く見てはいけません。

今回のコロナショックでも一部見られましたが、信用取引の追証売りのような、投資家の意志とは関係ない事務的な売り圧力には注意しないといけません。現状から更に相場が下がり、2番底をつけるのであれば、そこでまた3割ぶん購入するなど、複数回に分けて買い増すほうが良いと考えています。

本当の投資のタイミングとしては、底をつけて上昇を始めて暫く経ってからで十分です。数年単位で考えた場合、十分低い位置で購入できたと後になって分かるはずです。最も避けたいことは、儲け損なう恐怖に打ち克てず、安易なナンピン※をしてしまい、損失を拡大させることです。

※打診買い…相場の下落局面において、そろそろ下げ止まるかと思い、買いを入れること。また、市場の反応を探るために小口の買い注文を出すこと。

※ナンピン(難平)買い…保有している銘柄が下がった時に、さらに買い増しをして平均購入単価を下げること。上昇トレンドにあって、一時的に下がった時に行うと有利になる可能性の高い投資手法だが、下落トレンドの途中では損失拡大に繋がる恐れがある。

2-4.売却する

また手持ち資産を売却するのも一つの手法です。保有する株式の企業やその事業が、相場暴落の直接の原因となっているものなのか、そして今後世の中の変化により需要がなくなる可能性があるかどうか、最後にもう一度確認しましょう。

長期的に見た場合、今後の見込みのないものに投資をして、時間を浪費するのは余りに勿体無く、逆に早々に見切りをつければ、その後長い時間を掛けていくらでも取り返すことが可能です。

厄介なのが、既に見込みがないと何となくわかっているのにもかかわらず「いずれは上がる」と信じ込んでしまうことです。追加購入の項目でご説明した様に、まっさらな状態で「この株式を今買いたいと思うのか?」という目線で判断してみて下さい。

まとめ

色々述べてきましたが、相場が暴落してから慌てても、タイミングとしては遅過ぎます。上級者には相場が上昇している時に下落への備えをしておくことをお勧めしますし、一般の方は暴落を想定しながら余裕資金で運用しておくことをお勧めします。

一般的によくあるケースとしては、「急にお金が必要になったタイミングが最悪で、購入したときの半値ですべて売却する羽目になった」など、売るべき時に売らず、売ってはいけない時に売ってしまうというものです。繰り返しになりますが、大切なことは「暴落時に対処すること」ではなく、「暴落がきたらむしろチャンスと思えるような投資方法を採用すること」です。

投資が難しいのは、「恐怖」と「欲」が冷静な判断を邪魔するからです。そのためにはルールを自分で決め周りの雑音に惑わされずに、最終的には自分で判断できるようになりましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム

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