今だからこそ考えたい、ソーシャルレンディングの投資リスクを回避する5つの方法

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maneoをはじめとするソーシャルレンディング各社が行政処分を受け、その中には投資家から訴訟を受ける事態も発生しています。しかし、どんな投資にもリスクは伴うもの。損失の発生をソーシャルレンディング会社の責任だけにするのではなく、投資家自身もリスクヘッジの方法を今一度見直す機会であると考えた方が良いでしょう。

そこで、ソーシャルレンディングにおける投資リスクを回避するため、いくつかのチェック方法をここでは挙げていきます。投資前に一つずつ確認し、リスクヘッジについて考えてみましょう。

目次

  1. 会社の経営陣の経歴を調べる
  2. その会社の監査体制を調べる
    2-1.監査法人が入っているのか確認する
    2-2.内部に管理体制が整備されているのか確認する
  3. 案件の利回りと貸付金利を調べる
    3-1.貸付金利を公開している会社を選ぶ
  4. 運用期間が短めの案件を選ぶ
  5. 様々な分野での分散投資を狙う
    5-1.投資先の会社の分散
    5-2.投資する業界の分散
    5-3.資金の運用目的の分散
  6. まとめ

1.会社の経営陣の経歴を調べる

最初にチェックをしたいのは、ソーシャルレンディング会社の社長や経営陣の過去の経歴です。最近ではインターネットで名前を検索すれば、どの人物がどのような会社を運営してきたのか、どのような会社で働いてきたのかなど、経歴をチェックできます。

会社を経営するのはソーシャルレンディング会社が初めてなのか、それとも、別に会社を運営した経験があるのか。その会社で成功を収めたのか、それとも、失敗していたのかなどが確認できます。過去に経営上でトラブルを発生させた経営者が運営する会社を選ぶ場合、リスクになることも想定しておきましょう。

主なソーシャルレンディング会社の代表者に関する情報について、一例を下記します(2019年3月18日時点)。

企業名 代表者 経歴
クラウドポート
Funds
藤田雄一郎 早稲田大学商学部卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。2007年にマーケティング支援事業を行う企業を創業し、2012年上場企業に売却。2013年に大手ソーシャルレンディングサービスの立ち上げに経営メンバーとして参画。2016年11月に株式会社クラウドポートを創業。
クラウドクレジット 杉山智行 2005年 東京大学法学部卒
2005年 大和証券SMBCに入社し、金利、為替の自己勘定取引チームで日本国債等への投資業務に携わる
2008年 ロイズ銀行東京支店に入行し、銀行では資金部長として、支店経営陣に 対してリテール預金の獲得など日本での事業機会について助言を行い、運用子会社の日本における代表および運用責任者として、日本国債および海外社債等での運用を行う
2013年 クラウドクレジット株式会社を設立し、2014年6月より投資型クラウドファンディング・サービス「Crowdcredit」の運営を通じて日本の個人投資家と世界の資金需要者がWin/Winの関係をつくるサポートを行う

2.その会社の監査体制を調べる

次に、確認したいのは会社の業務における監査体制です。外部からの監査がしっかりと行き届いている会社であれば、ある程度の信頼を置くことができます。

2-1.監査法人が入っているのか確認する

ソーシャルレンディング各社のホームページを見て、どのような監査法人が入っているのかを確認することも調査手段の一つです。現在の日本で運営されているソーシャルレンディング会社で、監査法人が入っていることがわかるのは、以下の会社になっています。

企業名 監査法人
ロードスターキャピタル(オーナーズブック 有限責任監査法人トーマツ
クラウドバンク 監査法人ハイビスカス
LCレンディング(親会社のLCホールディングス) 赤坂有限責任監査法人
SAMURAI RSM清和監査法人

上記5社のうち、上4社は2019年3月現在、大きな問題を抱え込まずにソーシャルレンディング事業を運営している会社です。

会社の業務に何らかの問題が起これば、監査法人の業務責任が問われる可能性もあります。それだけに監査法人は厳しい監査を行うため、そのぶんソーシャルレンディング会社において業務上の大きな問題などが発生しにくくなると考えられるでしょう。

SAMURAIの親会社である「SAMURAI & J PARTNERS」は訴訟問題を引き起こしましたが、SAMURAIそのものには行政処分などの問題は発生していません。

ちなみに、SAMURAIの監査法人であるRSM清和監査法人は、ソーシャルレンディングを運営するレンデックスの前社長である筧越生氏が設立した監査法人です。レンデックスは代表者が監査法人の役員を務めていますが、自社には監査法人は入っておらず、内部監査にとどまっています。

2-2.内部に管理体制が整備されているのか確認する

また、外部の監査法人だけではなく、内部の業務管理体制などが整えられているかも確認したいところです。残念ながら会社の組織図などが公開されているソーシャルレンディング会社は、2019年3月15日時点ではありません。それぞれの会社に業務管理部などが設置されているかどうか、電話やメールで確認してみると良いでしょう。

3.案件の利回りと貸付金利を調べる

次にチェックしたいのは、案件そのもののリスクです。特にチェックするべきは利回りの高さです。
これまでに行政処分などが発生し、案件の募集が停止状態にあって返済の遅延に陥っているソーシャルレンディング会社を挙げてみましょう。

  • グリーンインフラレンディング
  • クラウドリース
  • トラストレンディング
  • ラッキーバンク
  • みんなのクレジット

これらの会社は、いずれも金利10%前後という非常に高い利回りを投資家に提供していた会社です。それだけに、投資家からの人気も高いものがありましたが、その後、行政処分などを受けています。現在は返済遅延の状態に陥り、投資家に対し多額の損失を発生させてしまった会社もあります。

投資家に還元する金利が高いということは、ソーシャルレンディング会社が貸し付ける金利はそれよりも高いため非常にリスクの高い融資であったと言えます。これらのソーシャルレンディング会社は、融資先に対し、日本で一般的に設定できる上限金利の15%で貸付を行っていた可能性も考えられます。

貸付金利が高くなれば、それだけ返済リスクが高くなり、返済が行われなくなる可能性が上がります。また、無理な返済のための不正が発生する可能性が高くなります。投資家に提供している金利の高さは、様々な返済問題が起こるリスクの大きさに直結していると考えられます。

3-1.貸付金利を公開している会社を選ぶ

ただし、投資家に提供する金利が低かったとしても、会社の営業者報酬をどの程度確保しているのかで最終的な貸付金利が変わってきます。投資家には利回り5%としていますが、営業者報酬としてソーシャルレンディング会社が10%の金利収入を得れば、貸付金利は15%です。

貸付金利を公開せず投資家へのリスクがはかりにくいソーシャルレンディング会社に対しては、一旦投資を検討し直したほうが良いかもしれません。そのリスクを避けるには、レンデックスのように貸付金利を公開している会社を選ぶことも選択肢の一つです。

【参考】投資家利回りとソーシャルレンディング会社の融資利回りの差は何%?

4.案件の運用期間が短めのものを選ぶ

もう一つ、案件選びでリスク回避をする手段として、運用期間が短めの案件を選ぶというポイントがあります。運用期間が長期である案件は、投資期間中に市況変化リスクや事業者リスクなどが発生する可能性が高くなります。不動産案件は要注意です。不動産は市況の影響を受け、大きく相場や売価が変化します。

運用期間が半年間の案件に投資するのであれば、その期間内に大幅な金融リスクなどが発生する可能性はある程度限定されます。しかし、2年後・3年後にはどのように市況が変化していくのかは、誰にも分かりません。

不動産の価格が大きく下落し、高値で不動産を転売して利益を得ようとしていた事業者から、返済が行われなくなる可能性もあります。そればかりか、担保を売却しても思ったような資金を回収できず、債務不履行に繋がる事態も起こり得ます。市況の変化に巻き込まれにくくなるように、できるだけ短期案件を選ぶようにしましょう。

【参考】6ヶ月未満の短期投資がしやすいソーシャルレンディング、クラウドファンディングの会社はどこ?

5.様々な分野での分散を狙う

投資先の分散は、様々な投資を行う上でリスクを回避する手段の一つです。ソーシャルレンディング投資内でリスクを回避するため、投資先の分散は何を心がければよいでしょうか。

5-1.投資先の会社の分散

簡単に行うことができる分散投資の一つはソーシャルレンディング会社の分散です。一社に1,000万円を投資し、その会社が貸し倒れに陥れば、自分の投資用資金の全てを拘束されてしまいます。しかし、333万円ずつを3社に投資していれば、その中の一社で何か問題が起きたとしても資金全額が拘束されるわけではありません。

投資先を5社から6社程度に分散しておけば、投資用資金の大半が移動できなくなるリスクを避けられます。

5-2.投資業界の分散

次に心がけたいのは、投資業界の分散です。ソーシャルレンディング会社の中で比較的人気が高いのが不動産購入資金の融資案件、そして、不動産担保が設定されている案件です。不動産は換金性も高く、中古市場が確立されているため、比較的安全性の高い担保と思われがちです。しかし、不動産業界に問題が起これば、一気に全ての不動産案件が影響を受け、案件リスクが一気に高まる恐れもあるのです。

不動産関係の案件ばかりではなく、太陽光発電や事業用資金の融資資金案件、店舗開発の案件など、様々な業界に分散していきましょう。また、海外案件に投資しておくのも投資対象業界の分散には有効的です。

5-3.資金の運用目的の分散

もう一つ行っておきたいのが、融資を受けた資金を事業会社がどのように利用するのかという、資金用途や運用目的の分散です。例えば、不動産案件の場合、事業者は融資を受けたお金で物件を購入し、リフォームを行って高く転売するという内容の案件が多くあります。しかし、これも不動産市況の影響を大きく受けますし、リフォームをしても必ずしも高く売れるとは限りません。

資金の運用目的が、新規事業の開発のために資金を必要としているのか、店舗の収益性を高めるために資金を必要としているのかを確認しましょう。海外の金融機関が運転資金のために資金を募集しているスマートレンドのような会社もあります。

まとめ

最近のソーシャルレンディング業界はリスクが目立っていますが、その背景には投資家がリスクを考えず、メリットだけを見ながら投資した背景があったことも否めないでしょう。

必ずしも利益が発生する投資はないものです。様々な角度からリスクを分析することを心がけ、ハイリスクハイリターンではなく、許容できるリスクで最大限のリターンを確保できるように努めていきましょう。

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