ソーシャルレンディングの主な法規制は?事業者を見分けるポイントも

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ソーシャルレンディングは個人が利益を得ることを目的とした投資の手段の一つとして金融庁の管轄下に置かれており、ソーシャルレンディングの運営会社は金融庁財務局の監督を受けています。

本記事では、ソーシャルレンディングに関する主な法律関係の規制、運営会社を選ぶ時に、どのような点をチェックするべきなのかを開設します。

目次

  1. ソーシャルレンディングに関する法規制とは
    1-1.ソーシャルレンディングの仕組みとは
    1-2.ソーシャルレンディングとは貸金で収入を得る投資である
  2. ソーシャルレンディングの運用に関する法律
    2-1.民法
    2-2.商法
    2-3.貸金業法
    2-4.金融商品取引法
    2-5.犯罪収益移転防止法
  3. ソーシャルレンディング会社を見分けるには
    3-1.事業者登録を見る[PR]
    3-2.運用スキームを見る[PR]
  4. まとめ

1.ソーシャルレンディングに関する法規制とは

まず、ソーシャルレンディングに関する法規制の種類をピックアップしていきましょう。

1-1.ソーシャルレンディングの仕組みとは

投資には様々な種類があり、それぞれの投資に対して適用される法律があります。例えば株式取引は有価証券として金融商品取引法に則った運用が行われています。

どのような取引を行い、どのように投資家は利益を獲得していくのかという仕組みを知ることで、投資に関連する法律の理解も深まります。まずは、ソーシャルレンディングの仕組みについて確認していきましょう。

ソーシャルレンディングという投資には、大きく分けて下記の三者が関連し合います。

  • 個人(法人)投資家
  • ソーシャルレンディング会社
  • 融資を受ける会社(事業)

投資を行うのが投資家であり、ソーシャルレンディング会社は、投資家と資金を必要とする事業者の間に入ります。

まずソーシャルレンディング会社はお金を必要とする事業者を探します。そしてどれくらいの期間、どれくらいの資金が必要なのかをヒアリングし、融資条件として金利や担保の交渉を行います。

条件がまとまったところで、ソーシャルレンディング会社はそのお金を借りる企業の条件をまとめて、投資家に案件として提示します。

その案件を見た投資家は「この条件であれば自分はどれくらい投資してもいい」と決め、ソーシャルレンディングを通して投資を行うことになります。

ソーシャルレンディング会社は、融資先の企業と金銭消費貸借契約を結び、金銭消費貸借契約書または借用証書を作成して融資します。融資を受けた会社は、金銭消費貸借契約書の内容の通りに、一定の期間ごとに金利を支払い、貸付期間が終わったところで資金を返済します。

ソーシャルレンディング会社は融資先の会社から受け取った金利収入のうち、あらかじめ設定していた予定分配率に基づいて投資家に配当します。案件の運用が終了した後、投資家に元本を返済するのです。

1-2.ソーシャルレンディングとは貸金で金利収入を得る投資である

ソーシャルレンディングは貸金を行い、貸付金利から配当金を得る投資手法です。ただし、ソーシャルレンディングでは個人投資家と、資金が必要な会社が直接金銭消費貸借契約を結ぶわけではありません。

あくまで融資を行うのはソーシャルレンディング会社であり、ソーシャルレンディング会社と個人投資家の間には匿名組合契約が結ばれています。

匿名組合契約を締結することにより、個人がソーシャルレンディング会社を通じて間接的に他社に融資を行うことが可能になります。

2.ソーシャルレンディングの運用に関する法律

では、具体的にソーシャルレンディングの運用に関する法律の種類を見ていきましょう。

2-1.民法

ソーシャルレンディングでは金銭消費貸借契約を結び、金銭消費貸借契約は民法(587条等)に則って運用が行われます。融資をしたものと融資を受けたものとの問題解決も、民法の内容に沿って解決に取り組みます。

2-2.商法

ソーシャルレンディングでは投資家とソーシャルレンディング会社が匿名組合契約を締結します。この匿名組合契約の運用を定めているのが商法(535条等)です。

匿名組合を締結することにより、個人が間接的に投資できるようになり、利益を受け取れるなどのメリットなどがありますが、一方で投資家は運用に対しての発言などの権利を有しません。

2-3.貸金業法

ソーシャルレンディングは、ソーシャルレンディング会社が資金を必要とする会社への貸金を行うため貸金業法によって営業活動の制限を受けます。また、金利などの融資の際の条件も貸金業法の内容に沿って決められます。

2019年3月までは、貸金業法により融資先の会社の名前を出すことが禁止されていました。しかし2019年3月以降は金融庁の情報開示方針の転換もあり、融資先の会社の名前も公開可能となっています。

ただし、会社名の情報開示は義務化されていないため、今も融資先が匿名である案件も数多くあります。

2-4.金融商品取引法

ソーシャルレンディング会社が個人投資家から資金を募集するときに適用される法律が、金融商品取引法です。

インターネットを通じて投資者からお金を集めるためには、ソーシャルレンディング会社は第二種金融商品取引業登録という事業登録をする必要があります。金融商品取引法は、この金融商品取引業登録を管理する法律となります。

第二種金融商品取引業登録を行い、投資業を行うためには5,000万円以上の資本金があったり、株主に制限があったり、金融関係の従事経験がある社員が在籍するなどの条件があります。

また金融商品取引法に則り、金融庁財務局はソーシャルレンディング会社の事業の状況の監視や一定期間毎の報告要請も行います。

2-5.犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法の規制では、犯罪によって生まれた利益が反社会的勢力の資金源になることを防止しています。

ソーシャルレンディング会社を通じてマネーロンダリングが行われないように、ソーシャルレンディングのサイト上で投資家登録を行う人間が反社会的勢力の人間ではないかなどのチェックが必ず行われます。

各ソーシャルレンディングサイトでも、投資家登録に際しては、個人情報と本人確認などが入念に行われています。また、ソーシャルレンディング会社は確認記録や取引記録の保存も義務付けられています。

3.ソーシャルレンディング会社を見分けるには

ソーシャルレンディング会社を見るときに、法的に正当な事業を行っている事業者かどうかを、どのような点で見分けていけばよいのかを見ていきましょう。

3-1.事業者登録を見る

まず、会社概要に記載されている事業者登録をチェックしておきましょう。ソーシャルレンディング事業を運営するには、貸金業登録と第二種金融商品取引業登録が必要となっています。

3-2.運用スキームを見る

ソーシャルレンディング会社は、それぞれの会社ごとに「どのように資金を運用しているのか」というスキームも異なっています。

投資家からお金を集め、そのお金を貸し出すことで金利収入を得ているという資金の流れと利益の生まれる仕組みは、どのソーシャルレンディングでも大きくは変わりません。しかし、細かな部分で違いも見られます。

例えば、「オーナーズブック(OwnersBook)」での運用スキームを見て行きましょう。オーナーズブックの貸付は関連会社のロードスターファンディングが実行しています。ロードスターインベストメンツは資金募集を行う役割を担っています。

また「クラウドクレジット」のように、海外で運用されるソーシャルレンディングは、日本の法律の適用外であるためにスキームが異なっている場合があります。

クラウドクレジットの運用スキーム

画像引用:クラウドクレジット「【モンゴルトゥグルグ建て】モンゴル金融事業者支援ファンド27号」

上図の場合、クラウドクレジットファンディングが資金を集め、エストニアのグループ会社へ貸付を行い、さらにモンゴル国内の企業へ貸付しています。

このようにソーシャルレンディング各社・各案件によって、運用スキームにも少しずつ違いがあります。運用方法に疑問がある場合は、投資前に随時チェックしてみると良いでしょう。

なお、不動産投資型クラウドファンディングも投資家から集めたお金を運用、配当する投資手法ですが、集めたお金は運営不動産会社が直接物件を購入したり運営したりするため、貸金の実行が行われることはありません。

このような利益の出る仕組みを詳しく知っておくと、ソーシャルレンディングの運営会社が正しい資金運用を行っているのかを見抜くことに繋がります。

まとめ

ソーシャルレンディングに関する法規制は、主に民法、商法、さらに貸金業法、金融商品取引法そして犯罪収益移転防止法の5つが該当します。

ソーシャルレンディング会社及びその子会社は、貸金業登録と第一種もしくは第二種金融商品取引業登録を行っている必要があります。

投資によるリスクを見抜くためには、どのように利益が出ているのか、投資家はどうやって利益を得ているのかといった仕組みを理解しておくことが重要です。投資前に疑問があれば、ソーシャルレンディング会社に対して問い合わせをしてしっかりと確認しておくと良いでしょう。

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