日本の株式には値幅制限があります。そして、値幅制限に株価が達したら、「ストップ高・ストップ安」になったといいます。この記事ではストップ高やストップ安になった銘柄を売買するポイントと、値幅制限のルールについて解説します。
目次
1.値幅制限とは
日本の株式には「値幅制限」があります。値幅制限とは株価の暴騰や暴落を防ぐため、1日に株価が変動できる上下の幅を制限することです。そして、値幅制限の上限まで株価が上昇することを「ストップ高」、下限まで下落することを「ストップ安」というのです。値幅制限は、株価に応じて以下のように異なります。
基準値段(株価) | 制限値幅 |
---|---|
100円未満 | 上下30円 |
200円未満 | 50円 |
500円未満 | 80円 |
700円未満 | 100円 |
1,000円未満 | 150円 |
1,500円未満 | 300円 |
2,000円未満 | 400円 |
3,000円未満 | 500円 |
5,000円未満 | 700円 |
10,000円未満 | 1,500円 |
たとえば株価が1,200円の場合、基準値段が1,500円未満になるので値幅制限は300円になります。つまり、1日の株価の範囲は900円~1,500円になるのです。
2.値幅制限は拡大されるときもある
値幅制限は、拡大される場合もあります。2営業日連続で以下のいずれかの条件に当てはまった場合、その翌営業日から制限値幅が拡大されるのです。
- ストップ高もしくはストップ安となり、かつ、ストップ配分も行われずに売買高がなかった場合。
- 売買高が0株のまま午後の立会いを終え、ストップ高もしくはストップ安で取引が成立。そして、ストップ高には買い、ストップ安には売りの残量がある場合。
ストップ高が連続した場合は上限が、ストップ安が連続した場合は下限の制限値幅が4倍に拡大されます。たとえば株価が1,200円の場合、基準値段1,500円未満の通常の制限値幅は300円ですが、これが1,200円(300円×4倍)になるのです。
制限値幅が拡大された場合、前日と大きく離れた値段で売買が成立する可能性があるので、成行注文をだしている場合は、特に注意が必要です。
3.米国には値幅制限がない
米国市場には、値幅制限がありません。ただし、サーキットブレーカー制度を導入しています。サーキットブレーカー制度とは、想定外の価格変動が起きた時、すべての株式の取引を一旦中断させたり、株価の値幅を制限したりする制度のことです。ニューヨーク証券取引所では、以下の3段階のレベルがあります。
- レベル1:S&P500種株価指数が、前日終値より7パーセント下落したら15分間取引を停止。
- レベル2:S&P500種株価指数が、前日終値より13パーセント下落したら15分間取引を停止
- レベル3:S&P500種株価指数が、前日終値より20%下落したらその日の取引は終了
米国ではS&P500種株価指数を基準にし、パニックになっている投資家をいったん落ち着かせるためにサーキットブレーカー制度を導入しているのです。
4.ストップ高・ストップ安を確認するには
ストップ高・ストップ安は、ネット証券のランキングを見れば簡単に確認できます。また、ヤフーファイナンスなどでもチェック可能です。加えて、売買板を見ても判断できます。
5.ストップ高銘柄を買うには
ストップ高・ストップ安になっている場合、売買バランスが一方に偏っているので、すべての株数が約定するわけではありません。そこで、ストップ高・ストップ安の水準で取引を終了した場合、買い株数と売り株数の比率に応じて株価をつける方法を「比例配分」といいます。
例えば大引(15:00)時点のストップ高の株価で買い注文5万株に対して売り注文が1万株しかない場合、本来であれば株価はつきませんが、比例配分により強制的に1万株のみ取引が成立したことにするのです。
比例配分では、成立した株数を各証券会社の注文数量に応じて、1単位(100株)ずつ配分します。そして割り当てを受けた証券会社は、社内ルールに基づき投資家への割り当てを行うのです。
5-1.SBI証券
たとえば、SBI証券の注文における優先順位は、以下の通りです。
- 成行注文
- 寄成注文
- 引成注文
- 不成注文
- 制限値幅(ストップ高・ストップ安)の指値注文・寄指注文
- 制限値幅(ストップ高・ストップ安)の引指注文
この順番で、一注文ごと1単位ずつ原則配分が行われます。そして同じ注文の場合、たとえば成行注文が多くでていたときは、まず発注時刻を優先し、発注時刻が同じ場合は抽選によって優先順位が決定されるのです。
そして、1注文ごとに1単位ずつ配分を行ったあと、2単位以上の注文に対し2順目以降も同じ条件で1単位ずつ配分を行います。
5-2.GMOクリック証券
SBI 証券のように発注時刻を優先するネット証券が多いのですが、GMOクリック証券では、以下のように注文数量を優先します。
- 顧客の注文数量を合計
- 注文数量の多い顧客から1単元ずつ配分を行う
- 配分数量がなくなるまで2を繰り返す
このように、ストップ高・ストップ安の比例配分は証券会社によって異なるので、各証券会社に問い合わせるなどして確認するようにしてください。
まとめ
今回はストップ高・ストップ安の説明と、購入方法について解説しました。ストップ高やストップ安になる銘柄は毎日のようにあります。保有銘柄がストップ高やストップ安になっても慌てることなく、冷静に決済するかどうか考えるようにしてください。
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山下耕太郎
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