信用取引を使えば少ない資金でも多額の取引ができるので、大きな利益を狙うことができます。しかし失敗すればその分大きな損失を被る恐れもあります。この記事では、信用取引で失敗しないためのポイントについて解説します。
目次
- 信用取引はハイリスク・ハイリターン
- 信用取引で失敗しないために注意すること
2-1.レバレッジをかけすぎないようにする
2-2.追証(おいしょう)が発生しないようにする
2-3.損切りをする
2-4.空売りには注意
2-5.手数料・金利負担に注意する - まとめ
1.信用取引はハイリスク・ハイリターン
信用取引は、投資家が証券会社に委託保証金(現金または株式などの有価証券)を預け入れることにより、資金や株式を借りて行う取引です。委託保証金は取引額の30%以上と定められており、最大で自己資金のおよそ3.3倍までの取引を行うことができます。
少ない資金しか手元にない場合でも大きな額の取引を行えるため、信用取引は資金効率を高める手段として有効です。売買のタイミングをつかめば、大きなリターンが期待できるのです。ただし思惑と逆に相場が動いた場合、損失額が預け入れた自己資金の額を上回るリスクもあります。
現物株取引では自己資金以上の損失がでることはないので、信用取引は現物株取引よりハイリスク・ハイリターンの取引なのです。
2.信用取引で失敗しないために注意すること
信用取引で大きな損失を発生させないためには、適切なリスク管理が必要です。信用取引で失敗しないためのポイントを解説します。
2-1.レバレッジをかけすぎないようにする
借り入れをして自己資金以上の取引を行うことを「レバレッジ」といいます。信用取引では最大で約3.3倍のレバレッジをかけることができ、取引に成功すれば大きなリターンを得ることが可能です。しかし、レバレッジを大きくかけた取引で失敗すれば、現物取引では発生しない元本以上の損失を被る恐れがあります。
現物取引の場合は、もし100万円で買った株が下落して株価が50万円になったとしても、負債が発生することはありません。一方、信用取引で自己資金の100万円に3倍のレバレッジをかけて300万円の株式を購入した場合、株価が50%下落した時に売却すると150万円の損失となり、50万円の負債を抱えることになるのです。
リターンを大きく狙おうとしてレバレッジをかけすぎると、その分損失も大きくなります。そのため自分が許容できる損失の範囲内でのレバレッジ取引を行うことが大切です。
2-2.追証(おいしょう)が発生しないようにする
「追証」とは「追加保証金」の略称で、追加で保証金の差し入れが必要になった状況を指します。買い建てもしくは売り建てをした株の含み損がふくらみ、証券会社ごとに定められた委託保証金維持率を下回ると、追証が発生します。
追証が発生すると、期日までに追加で現金を差し入れるか、決済を完了して追証を解消しなければなりません。万が一期日までに追証が解消できなければ、証券会社が強制的に取引の決済を行います。
もし差し入れる現金がなければ強制決済で損失が確定、また追証を解消して取引を続けたとしても、さらに株価が下がり損失が膨らむ恐れがあります。つまり、「追証が発生した=信用取引の失敗」を意味するといえるのです。
信用取引で失敗しないためには、追証にならないようにすることが非常に重要だといえます。
2-3.損切りをする
信用取引での損失を最小限にとどめるためには、いかに確実な損切りを実行できるかが肝心です。
現物取引であれば、購入した株が大きく値下がりしたとしても、最悪含み損を抱えた状態の「塩漬け株」として保有し続けることもできます。
一方、信用取引のケースでは株価が下落して含み損が膨らむと追証が発生し、追加で保証金を差し入れなければ損失が強制的に確定してしまいます。また、信用取引のうち、「制度信用取引」を利用した場合は原則6カ月の決済期限があり、期日が来たら損失がでていても決済を行わなければなりません。
現物株とは異なり、信用取引は長期保有には適さない取引なのです。ここぞというタイミングでは上手に活用し、もし株価が予想とは異なる動きをした場合は、速やかに損切りを実行するようにしてください。
2-4.空売りには注意
信用取引を利用することで、株を借りて売却し、株価が下がったタイミングで株を買い戻して利益を得る「空売り(信用売り)」が可能になります。空売りを活用することで、株価が上昇局面にあるときだけでなく、下降局面にあるときにも投資のチャンスを得られるというメリットがありますが、危険性の高い取引です。
通常の信用買いの場合、株価が下がると損失がでますが、株価は0円を下回ることはないため損失の額は限定的です。反対に、空売りの場合は株価が上昇すると損失となりますが、株価の上昇には理論上制限がありません。そのため、空売りではどこまでも損失が膨らむ危険性があるのです。
負債を抱えることのないよう、投資初心者のうちは空売りには手をださないようにしてください。
2-5.手数料・金利負担に注意する
信用取引では、現物取引に比べて手数料がやや高めに設定される傾向にあるほか、金利や貸株料として年間1~4%程度のコストも発生する点に注意が必要です。一度の取引では大きな差は付かないものの、繰り返し信用取引を行っていくと、現物取引と比較した際のコスト負担は大きくなります。
コスト負担を下げたい場合は、信用手数料が不要で金利等も比較的安価な水準にあるSBIネオトレード証券、SMBC日興証券といった証券会社も検討してみると良いでしょう。
まとめ
信用取引は少ない自己資金でも大きな利益が狙えますが、損失も大きくなりやすいハイリスク・ハイリターンの取引です。信用取引で失敗しないためには、仕組みを理解し、適切なリスク管理を行うようにしてください。
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山下耕太郎
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