信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があります。この記事では、それぞれの取引方法の違いと、メリット・デメリットについて解説します。
目次
- 信用取引の仕組み
- 制度信用取引とは
2-1.制度信用銘柄と貸借銘柄
2-2.制度信用取引のメリットとデメリット - 一般信用取引とは
3-1.一般信用取引のメリットとデメリット - 一般信用取引のルールは証券会社によって異なる
4-1.SBI証券の一般信用取引
4-2.楽天証券の一般信用取引 - まとめ
1.信用取引の仕組み
信用取引とは、顧客が現金や株式を証券会社に担保として預け、証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株券を借りて売ったりする取引のことです。そして、預けた担保の評価額の約3.3倍まで株式の取引ができます。ですから、自己資金だけの現物投資よりも高い資金効率で投資でき、利益も大きくなるメリットがあります。ただ、損失も大きくなる恐れがあるので、リスク管理が大切です。
そして信用取引には、「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があります。それぞれの特徴について解説します。
2.制度信用取引とは
制度信用取引とは、取引所のルールによって品貸料(信用取引の売り手が負担するコスト)の金額や、返済期限が決められている信用取引のことです。信用取引は、投資家が証券会社から株式や資金を借りることで取引が成立します。しかし、証券会社で株式や資金が不足する場合があります。その時、証券会社は「証券金融会社」から株式や資金を借りるのです。
そして、証券会社と証券金融会社の取引を「貸借取引」といい、制度信用取引では貸借取引が存在します。信用取引は、豊富な資金力が必要になります。その資金を確保するための専門の会社が証券金融会社なのです。証券金融会社は現在、日本証券金融(日証金)のみで、東証1部に上場しています。
2-1.制度信用銘柄と貸借銘柄
制度信用取引は、上場銘柄のうち一定の基準を満たした「制度信用銘柄」と「貸借銘柄」があります。それぞれ、取引所が定める基準にあった銘柄です。主な基準としては、株主数や上場株式数の他、売買高や値付率などがあります。
証券会社は制度信用銘柄において資金のみ借り入れが可能で、投資家は買建のみできます。そして制度信用銘柄の対象銘柄のなかで、信用取引の買建だけでなく、売建(空売り)もできる銘柄を「貸借銘柄」というのです。
2-2.制度信用取引のメリットとデメリット
制度信用銘柄のメリットとしては、取引所によって銘柄が選定されているということです。業績不振や上場廃止になる恐れが少ない銘柄で構成されています。ただし、返済期日が最長6ヶ月と決まっています。また、売建(空売り)して株不足が生じると、「逆日歩」を支払わなければいけないというデメリットがあるので注意が必要です。
3.一般信用取引とは
一般信用取引とは、品貸料の金額や決済期限などを、投資家と証券会社との間で自由に決定できる信用取引です。制度信用銘柄は対象銘柄が取引所によって選定されますが、一般信用で買建できる銘柄はほぼすべての上場銘柄になります。
3-1.一般信用取引のメリットとデメリット
制度信用取引では返済期日が6ヶ月と決まっていますが、一般信用取引では期限の定めのない証券会社もあるので、長期間保有することが可能です。また、制度信用取引のように逆日歩が発生する恐れはありません。
ただし、証券会社に在庫がなくなると、売建(空売り)はできないという点が、デメリットになります。また一般信用取引は制度信用取引に比べて金利を高めに設定している証券会社もあるので、長期で保有するとコストがかかるという点にも注意が必要です。
4.一般信用取引のルールは証券会社によって異なる
一般信用取引は証券会社が取引ルールを決めるので、証券会社ごとに制度が異なります。ここでは、SBI証券と楽天証券の一般信用取引について紹介します。
4-1.SBI証券の一般信用取引
SBI証券の一般信用取引は、買いは「無期限」のみですが、売りは「無期限」「短期売り(15営業日)」「1日(日計り)」があります。「無期限売り」とは返済期限が無期限で、一般信用取引の新規売りが取引できるサービスです。返済期限がないので、長期投資をしたいという人に向いた取引方法です。
「短期売り」とは、返済期限が15日で一般信用取引の新規売りができるサービス。 そして、「日計り信用取引」は掲載期限が当日の一般信用取引です。これらのサービスは金利が異なるほか、それぞれで取引できる銘柄が異なるので、利用する前に確認するようにしてください。
4-2.楽天証券の一般信用取引
楽天証券の一般信用取引は、「無期限」「短期」「いちにち信用」の3つがあります。
一般信用取引「無期限」は、返済期限が無期限の一般信用取引。買建は上場初日から取引可能で、売建は楽天証券が選定した日から取引できます。 返済期限を気にすることなく、長期的に取引したい投資家に適しています。
一般信用取引「短期」は、返済期限が14日の一般信用取引です。株主優待を実施している銘柄を中心に、取引可能銘柄が揃っています。そして「いちにち信用」とは、当日に取引を決済する「デイトレード」に特化した一般信用取引。買建だけでなく、売建でもデイトレードが可能です。
まとめ
制度信用取引、一般信用取引それぞれにメリット・デメリットがあります。自分が保有したい銘柄はどちらを利用した方が有利なのかを考え、取引するようにしてください。また、証券会社や銘柄によって取引条件は異なるため、これらも確認したうえで取引するかどうか判断しましょう。
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山下耕太郎
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