株価水準が低い銘柄を指して「低位株」と呼びます。株価が安い企業と聞くと、業績が悪くて売られているイメージや倒産間近で危険だというマイナスのイメージを抱くこともあるでしょう。しかし、実際には必ずしもそうではなく、購入するメリットもあります。
そこで今回の記事では、低位株の特徴やメリット・デメリットを解説します。低位株への投資に興味がある人は、この記事を参考に検討してみましょう。
目次
- 低位株とは?
1-1.中位株・値がさ株・割安株(バリュー株)の違い
1-2.低位株の探し方 - 低位株の特徴やメリット
2-1.少額から投資できる
2-2.超低位株は大幅な値動きを狙える - 低位株のデメリット
3-1.株価があがりにくい銘柄もある
3-2.株が無価値になるリスク
3-3.仕手筋が狙っている場合がある - まとめ
1.低位株とは?
明確な定義はありませんが、SMBC日興証券によれば、低位株は1株の株価が1,000円未満の銘柄とされています(参照:初めてでもわかりやすい用語集)。相場水準によって変化するため一概には言えないものの、株価の目安として、1単元(100株)の購入金額が10万円以下であれば低位株といえます。
低位株が安価な理由は以下になります。
- 業績が悪化している企業
- 業績が安定した成熟業種
- 発行済み株式数が多い大型株
株価が安くなる理由は、企業の業績が悪いケースだけではありません。安定しているものの、今後の業績が伸びにくい業種も株価が安価となりやすい傾向にあります。これには銀行・不動産・建設・鉄鋼・造船・繊維・科学などの成熟業種などが該当します。
また、発行済み株式数が多い大型株は株価が安くなりやすい傾向です。発行済み株式数が多いほど浮動株(安定株主が保有しておらず、市場に流通する可能性が高い株式のこと)が多くなり、多少の買付注文では株価が上がりにくくなるためです。
1-1.中位株・値がさ株・割安株(バリュー株)の違い
ここでは、低位株と似た言葉について解説します。それぞれの言葉の違いを理解し、株式にも属性があることを知識として覚えておきましょう。
- 「中位株」……株価水準が中程度の銘柄
- 「値がさ株」……株価水準が高い銘柄
- 「割安株(バリュー株)」……企業の価値や業績に比べて株価が安い銘柄
この中でも、価値の低さに関して、割安株は低位株と混同されることもあるものの、割安株は「企業の価値・業績と比較したら安価な株」を意味し、実際には株価そのものが低いとは限りません。そのため、低位株とは意味がやや異なります。
また、これらの言葉にも具体的な定義は無く、市況や人によって具体的に指す銘柄は異なる点に注意が必要です。
1-2.低位株の探し方
低位株を効率良く探すには、証券会社の検索ツールを利用するのが便利です。「株価1,000円以下」で条件を指定して検索し、株価の低い順にソートすれば、簡単に低位株の情報を得ることができます。
検索結果の中から具体的にどの銘柄を選ぶかについては、後述のメリットやデメリットも踏まえ、流動性の高さや企業の業績、株価の推移、仕手株となっていないか、といった点を確認すると良いでしょう。
2.低位株の特徴やメリット
低位株を購入する特徴やメリットについて見ていきましょう。資産運用を行う場合には、低位株だからこそ期待できる値上がりなどは大きなメリットとなり得ます。
2-1.少額投資が可能
低位株は1株あたり1,000円以下と株価が安いため、1単元10万円以下という少額投資が可能です。自分の資金に合わせた資産運用がしやすい点はメリットといえます。
例えば任天堂は株価水準が高く、1株の株価は48,710円(2020年7月15日終値)です。そのため、1単元=100株購入した場合は4,871,000円になります。対して、低位株の場合は、1単元100株を購入してもおおよそ数万円以下に収まります。投資資金を抑えられるため、さまざまな企業への分散投資も可能です。分散投資をすることでリスク軽減も図れるため、初心者の方にも向いています。
2-2.超低位株は大幅な値動きを狙える
低位株の中でも特に株価の安い(100円以下など)銘柄を超低位株と呼ぶこともあります。超低位株はその株価の安さゆえに値動きが激しく、デイトレーダーなどに高い人気を持つ銘柄も散見されます。
例えば、株価が20円の銘柄が21円に値上がりしたとしたら、たった1円の変化であるにもかかわらず、その騰落率は+5%にものぼります。この大きな価格変動率を狙って、短期的なトレードで利益を得ることも期待できるというわけです。
日によって本数は異なりますが、2020年8月時点において、このような超低位株(株価100円以下)は40~50銘柄ほど存在しています。特に株価の安い銘柄は非常に活発な取引が行われているものもあり、投機筋を中心に固い人気があります。ただし、超低位株には後述のように仕手筋が手を付ける銘柄も多いため、価格変動以外のリスクも大きいと言えます。
3.低位株のデメリット
低位株にはデメリットもあるため、詳しく見ていきましょう。
3-1.株価があがりにくい銘柄もある
低位株の安価な株価に対して、いつかは値上がりすると期待することもあるでしょう。しかし、銘柄によっては株価の上昇が期待しづらいものもあります。
低位株には業績が安定している成熟した業種や、あるいは業績が悪化している企業の株が多くあります。その中で大きく値上がりする株は一握りであり、短期売買を狙っていても、売り時がわからないまま塩漬けしてしまうケースも想定されます。短期では売買するタイミングの見極めが困難であるため、低位株の購入時には注意が必要です。
3-2.株が無価値になるリスク
株価が低水準の銘柄は、新事業で成功するなどのきっかけがない限り、通常はまず大きく値上がりはしません。値上がりしないだけでなく、業績が良くない企業の場合は、いずれ倒産や上場廃止となる可能性もあります。
上場廃止した場合、取引所での株の売買ができなくなります。株が無価値になる可能性もあることを認識することが重要なポイントです。低位株は安価であるため買いやすいものの、安易な判断は危険です。購入する場合は、企業の業績を確認するなど周到な情報収集をしましょう。
3-3.仕手筋が狙っている場合がある
仕手筋とは、投機的に株の売買などをして株価を吊り上げようとする投資グループのことです。その手口は、取引の方法によっては「金融商品取引法違反」となり得ます。
仕手筋が狙う銘柄は時価総額が低く、また出来高が少なく、株価が急騰・急落しやすいなどの特徴があります。仕手筋は株価が急騰した段階で株を売り、利益につなげます。しかし、仕手筋によって急騰した株価は株が売られたことで急落します。
仕手筋の動きに気が付かない投資家は、急落した株価によって損をするという仕組みになっています。そのため、株価の安い銘柄を狙っていると、場合によっては仕手筋の思惑に乗ってしまう危険があることに注意が必要です。最低限、特段の材料がないのに急騰した銘柄に手を出すのは控えましょう。
まとめ
低位株は、株価が安価のため大量に保有しやすいなどの特徴があります。少額から投資が可能で、分散投資をしやすい点はメリットです。
しかし、一概に低位株といっても、大型株や業績の悪い企業まで様々にあるため値動きの特性が大きく異なることや、業績の悪い企業の場合には上場廃止により無価値になってしまう懸念もあるなど、扱いが難しい面もあります。
低位株のメリットとデメリットを把握し、銘柄や企業の安定性を踏まえた上で購入を検討してみましょう。
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鈴原 千景
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