上場しているソーシャルレンディング会社はなぜ選ばれるのか?要件や審査内容を解説

2018年にソーシャルレンディング投資において遅延発生や行政処分などが相次いだことで、安全な投資先を選ぶ目安として、改めて上場企業や上場グループの会社であることが注目されています。

では、なぜ株式上場済みの会社は投資家から安全・安心だと思われるのでしょうか。また、株式上場の際はどのような審査を受けているのでしょうか。安全性を計る意味で調べてみました。

目次

  1. 株式上場を果たしているソーシャルレンディング会社は?
    1-1.ロードスターキャピタル
    1-2.親会社が上場しているソーシャルレンディング会社
  2. 東京証券取引所(東証)への上場基準は?
  3. 上場時の審査を通過することにより期待できる信頼性
    3-1.株主からの監査
    3-2.資本があることによる倒産しにくさ
    3-3.審査時の検査によるコンプライアンス性
  4. 上場後に問題が起こることもある
  5. まとめ

1 株式上場を果たしているソーシャルレンディング会社は?

まずは、ソーシャルレンディングサイトを運営している日本企業の中で、株式を上場している会社をピックアップして見ていきましょう。

1-1 ロードスターキャピタル

オーナーズブックを運営するロードスターキャピタルは、2017年9月に東証マザーズに上場を果たしています。ロードスターキャピタルの主要事業は不動産の開発や売買であり、事業の一環としてソーシャルレンディングに携わっています。同社においてソーシャルレンディングは重要な事業と位置づけられていますが、まだ売上や利益に対する貢献は小さなものです。

1-2 親会社が上場しているソーシャルレンディング会社

国内大手ソーシャルレンディング会社の1社であるSBIソーシャルレンディングも、親会社であるSBIホールディングスが東証1部銘柄に指定されています。

他には、LCレンディングという会社も、親会社であるLCホールディングスが東証JASDAQ市場に上場しています。LCホールディングスを中心に、不動産の開発や管理などを行うLCグループがあり、その中でLCレンディングはソーシャルレンディング事業を通じた資金調達部門と位置づけられています。

2 東京証券取引所(東証)への上場基準は?

東京証券取引所への上場には、一定の審査基準が設けられています。その条件を具体的に見てみましょう

2-2 東証マザーズ

東証の上場基準は、日本取引所グループの上場審査基準のページに記載されています。今回は、ロードスターキャピタル社が上場している東証マザーズ上場の形式要件と審査内容の一部を抜粋します。

(1)株主数
(上場時見込み)200人以上
(上場時までに500単位以上の公募を行うこと)800人以上

(2)流通株式
(上場時見込み)
流通株式数2,000単位以上
流通株式時価総額5億円以上
流通株式数(比率)上場株券等の25%以上

(企業内容、リスク情報等の開示の適切性)
企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること

(企業経営の健全性)
事業を公正かつ忠実に遂行していること

(企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性)
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること

(事業計画の合理性)
相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計画を遂行するために必要な事業基盤を整備していること又は整備する合理的な見込みのあること
その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

このように、主に株主の人数や公開済み株式の時価総額、企業の情報開示性や法に則った事業を運営しているか、などのチェックが入るようになっています。

また、東証マザーズ上場企業が東証1部銘柄へと指定されるためには、時価総額250億円以上(上場時見込み)、最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること または 時価総額が500億円以上(最近1年間における売上高が100億円未満である場合を除く)、継続的に事業を営み かつ 安定的な収益基盤を有していることなど、さらに厳しい要件や審査内容をクリアする必要があります。

3 上場時審査を通過することにより、期待される安全性と信頼性

株式上場時には、上記のように様々な審査基準が設けられています。株式上場しているソーシャルレンディング会社に関しては、審査の通過により、どのような安全性が期待されるでしょうか。

3-1 株主からの監査

上場によって株式が公開された場合、不特定多数の株主が当該会社の株式を取得することになります。そして、各々の株主は株価上昇や配当金の増額などを目的として、その会社がより大きな利益を上げること、当該会社が不祥事などを起こさないための健全な会社運営などを要求することになります。

このように、多くの株主から様々なチェックが入ることにより、企業による不祥事や不採算事業への過大投資などを未然に防ぐことができます。

不祥事を起こした経営陣は退陣を求められることになりますし、株主総会では株主の前に姿を現さなくてはいけません。行政処分などを起こしたソーシャルレンディング会社の経営陣が、表に姿を見せなくなったことを考えると、株式上場後はそのような行為は一切許されなくなりますので、経営陣の持つ責任も非常に大きなものになります。

3-2 資本があることによる倒産しにくさ

また、上場時には資本についても審査を受けます。純資産額と所有済み株式が一定以上の総額に達していなければいけないのです。この資本力があることで、会社がすぐに倒産してしまう事態を避けることができます。

ソーシャルレンディング会社は中小企業が多いため、投資家は倒産リスクを懸念していなければいけません。株式上場を果たしている会社であれば、上場後、即座に倒産するリスクは低いと言えるでしょう。

3-3 審査時の検査によるコンプライアンス性

東証への上場審査時には、業務内容に対する厳しい審査が入ります。企業規模や成熟度に応じたコーポレート・ガバナンスや内部管理体制が適切に確立され、機能しているかどうかのチェックを受けます。財務面においても、上場企業にふさわしい業務内容や人員の配置が求められます。

会社の取引相手に反社会的勢力がいるかどうかも調査されますし、事業計画の妥当性、情報開示やリスク管理など、投資家が安易に不利益を被ることがないよう、体制の整備が求められるのです。株式上場の審査では、様々な業務体制やコンプライアンスにチェックが入りますので、会社の透明性が上がることになります。

4 上場後に問題が起こることもある

一方で、注意しなくてはいけない点もあります。それは、株式上場時に上記の厳しいチェックが入ったとしても、上場後に問題が起こらないわけではないということです。

会社組織が大きくなれば大きくなるほど、問題のある行動を起こす社員や役員が出てきます。東証1部上場のスルガ銀行に関しても、アパートローンなどにおいて不正融資を行っていたと大々的に報道されました。

上場は一定の信頼を得るための基準にはなりますが、それでも「上場済みの会社であれば、全額投資していても問題はないだろう」などと、無条件に信用するのは大変危険です。あくまで非上場の会社と比べて、「問題が起こりにくい」「相対的に事業者リスクが低い」程度に認識をしておくことが大切です。

まとめ

上場企業となるためには、一定以上の会社規模や資金、会社としての業務体制や事業計画で高い水準のものが求められ、同時に厳しい審査も行われます。それだけに、上場済みの会社は、会社の組織の質が中小企業のソーシャルレンディング会社よりも高いと言えます。

ただし、上場後に何か問題が起こるかは、また別の話です。事業者リスクを避けるための条件の一つとして、上場済みの会社を中心に投資することは間違っていませんが、無条件に信頼して全ての資本を集中投資するのではなく、継続的にIR情報をチェックしたり、自分自身でも会社情報を集めるなどの取り組みも大切にしながら投資を進めていきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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