貸付型クラウドファンディング(=ソーシャルレンディング)とは、投資家が事業者を通じて企業に融資をする投資方法です。少額資金から貸付金利の収入を得られる投資の仕組みとして、注目している方も多いのではないでしょうか。
今回は、貸付型クラウドファンディングの特徴や仕組みについて解説します。また、貸付型クラウドファンディングを活用して投資する際のメリット・デメリットも紹介するので、参考にしてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の企業・商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 貸付型クラウドファンディングの特徴
- 貸付型クラウドファンディングの仕組み
- 貸付型クラウドファンディングで投資をするメリット
3-1.少額から投資できる
3-2.高い利回りが期待できる
3-3.貸付のため元本の価格が変動しない
3-4.運用に手間がかからない - 貸付型クラウドファンディングで投資をするデメリット
4-1.分配金の遅延や元本毀損の恐れがある
4-2.途中解約・換金は不可能
4-3.事業者の倒産リスクが伴う - 貸付型クラウドファンディング「Funds(ファンズ)」
- まとめ
1.貸付型クラウドファンディングの特徴
貸付型クラウドファンディングとは、オンライン上のプラットフォームを通じてお金を貸したい投資家とお金を借りたい企業をマッチングする仕組みやサービスのことを指します。
貸付型クラウドファンディングは、融資型クラウドファンディングやソーシャルレンディングとも呼ばれています。
特定の商品がお返しにもらえる購入型クラウドファンディングや、リターンの設定されていない寄付型クラウドファンディングとの違いは、金銭的なリターンが見込めるという点です。
貸付型クラウドファンディングは金融商品であるため、金融商品取引法や貸金業法などの法規制を受ける点も特徴となります。ソーシャルレンディング会社は第二種金融商品取引業登録を行い、承認を得ないと事業を開始することができません。
2.貸付型クラウドファンディングの仕組み
貸付型クラウドファンディングでは、プラットフォームを運営する事業者を通じて、投資家が企業に融資を行います。
プラットフォームを運営する事業者は、投資家からの出資金を企業に融資し、企業は融資を使って事業を運営しながら融資の元本と利子を事業者に返済します。
出資した投資家は事業者と匿名組合契約を締結し、企業が返済する利子から出資金に応じた配当を受け取る仕組みです。
また、貸付型クラウドファンディングの運用対象は様々です。海外の小規模事業への出資や投資用不動産を担保にしたファンド、ベンチャー企業などの様々な事業支援ファンドなどがあり、投資先の事業によってリスク・分配率(利回り)にも違いが見られます。
返済が予定通りに行われるかどうかは、貸付先企業の資金状況によって変わってきます。つまり、貸付型クラウドファンディングへの投資を検討する際は、プラットフォームの運営事業者の選定だけでなく、貸付先の企業や事業の内容について確認し、どのようなリスクがあるのか検証することが重要なポイントとなってくるのです。
なお、募集金額に対して大きい割合の担保が設定されているファンドであるほど、分配利回りが低くなる傾向にあります。反対に、担保設定が無い案件であるほど返済リスクが高くなり、分配利回りも高くなります。
3.貸付型クラウドファンディングで投資をするメリット
貸付型クラウドファンディングによって投資をするメリットは次のとおりです。
- 少額から投資できる
- 高い利回りが期待できる
- 貸付のため元本の価格が変動しない
- 運用に手間がかからない
3-1.少額から投資できる
1口1万円程度の少額から投資できるのが、貸付型クラウドファンディングで投資をするメリットです。
最低投資金額が低いほど、投資へのハードルは下がります。また、投資金額を抑えるとリターンは少なくなるものの、損失が拡大するリスクを軽減させることができるため、投資経験が少ない方でも投資しやすいといえます。
3-2.高い利回りが期待できる
貸付型クラウドファンディングは、他の投資方法と比較して利回りが高いケースがあります。
サービスやファンドによって利回りは異なりますが、年利2%程度のものから年利10%を超えるものまであるのが、貸付型クラウドファンディングの特徴です。
例えば、貸付型クラウドファンディング大手のクラウドバンクでは、実質平均利回りが5.8%(※2022年3月末までの1年間に運用終了した税引前のファンド実績値)で、かつ融資元本の回収率は100%となっています。(※2022年8月時点)
貸付型クラウドファンディングは金利収入であるため、原則的に契約後の分配率に変動リスクがなく、一定の収入を見込みやすいという点もメリットと言えるでしょう。
3-3.貸付のため元本の価格が変動しない
貸付型クラウドファンディングでは、投資家から集めた資金を企業に融資し、企業が返済する利子を原資に投資家への分配金が支払われます。このような仕組みであるため、投資家の出資金を集めた元本価額が変動することはありません。
株式投資の場合、一定の配当金を得ていても株価が大きく下落することでトータルの収支がマイナスになることがあります。このような売却差損(キャピタルロス)が起きるリスクが比較的に大きいという点は、株式投資のデメリットとも言えます。
一方、貸付型クラウドファンディングにおいても元本棄損リスクはありますが、通常、分配金や元本の償還については変動が起きません。また、投資家も価格を確認して売却タイミングを推し量る必要がないため、手間の少ない投資方法としてもメリットがあります。
3-4.運用に手間がかからない
貸付型クラウドファンディングでは、企業融資のために出資した後、投資家は投資元本が償還されるまで運用に携わることはありません。運用は企業からの返済によって行われ、分配金は返済利子から支払われるためです。
運用に手間がかからないため、仕事などに忙しい方にも向いている投資方法といえます。
4.貸付型クラウドファンディングで投資をするデメリット
貸付型クラウドファンディングで投資をするデメリットは次のとおりです。
- 分配金の遅延や元本毀損の恐れがある
- 途中解約・換金はできない
- 事業者の倒産リスクが伴う
4-1.分配金の遅延や元本毀損の恐れがある
分配金の遅延や元本毀損が発生する可能性があるのが、貸付型クラウドファンディングのデメリットです。
貸付型クラウドファンディングは企業への融資によって資金を運用するため、融資先企業の運営状況によっては返済が遅延するケースがあります。返済の遅延が発生すると、金利収入を得るタイミングも遅れるため、分配金の支払に影響があります。
その他、融資した企業が倒産した場合、融資した元本が全額返済されない可能性があります。
金利収入を得るビジネスモデルの貸付型クラウドファンディングにおいては、高利回りの案件ほど融資先の返済負担が大きくなり、返済遅延や元本棄損リスクが高まるという特徴があります。利回りだけでなく、リスクとリターンのバランスをとった投資方法を検討しましょう。
4-2.途中解約・換金はできない
貸付型クラウドファンディングでは、出資したファンドの運用期間中に途中解約して換金することができません。貸付という形式であるため、金銭消費貸借契約に設定された貸付期間の間は元本回収が行われないためです。
運用期間が終わって償還されるまでは出資金は拘束されます。そのため、急に現金が必要になっても投資元本を回収して消費に充てることが出来ないということに注意が必要です。
4-3.事業者の倒産リスクが伴う
貸付型クラウドファンディングでは、融資先企業の倒産リスクだけではなく、事業者(プラットフォームの運営会社)の倒産リスクも伴います。
貸付型クラウドファンディングでは、投資家と企業を事業者が結びつける役割を果たしており、企業からの返済金を一時的に預かるケースもあります。
そのため、事業者の経営状態や財務状況が悪化したり、破綻したりした場合、分配金の遅延や投資元本の毀損が起こる可能性があります。
5.貸付型クラウドファンディング「Funds(ファンズ)」
Fundsは、上場企業に資金を貸し出す形で投資ができる貸付投資のサービスで、ファンズ株式会社が提供しています。
Fundsのファンドは資金調達をする企業によって組成されるのが特徴です。企業は集めたお金をグループ会社に貸し付け、その利息や返済を元手として投資家に分配金が支払われる仕組みとなっています。
他の貸付型クラウドファンディングでは、出資先の企業名等が公開されていないケースが多くありますが、Fundsでは貸付先が上場企業に限定されており、そのグループ企業がファンドを組成するのが特徴です。貸付先企業の情報も公開されているので、企業概要や財務状況などの投資判断の役に立つ資料をしっかりとチェックすることができます。
まとめ
貸付型クラウドファンディングは、投資家からの出資金を企業に融資して運用する仕組みです。
金利収入のため、一定の収益が見込みやすい、元本価額の変動リスクが少ないなどのメリットがある一方、途中解約ができない点や損失や元本毀損が発生するリスクには注意が必要です。
高利回りの案件になるほど融資先の返済負担が大きくなり、元本棄損のリスクが高まります。一つの案件に資金を集中させず、リスクとリターンのバランスをとった投資方法を検討しましょう。
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山本 将弘
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