不動産案件を中心に扱うソーシャルレンディング会社「LENDEX(レンデックス)」が、2019年12月期の決算を発表しました。
ソーシャルレンディング投資は少額の資金でも間接的に不動産などの大型の投資対象に投資できるメリットがあります。一方、まだ比較的に新しい投資手法のため、提供元の事業者が破綻してしまったり、不正を働き業務停止になってしまう事業者リスクについて十分に考慮し、検討する必要があります。
そこで本記事では、LENDEXの2019年12月期の決算を見ながら現在のLENDEXの状況について確認し、その内容について解説していきます。
LENDEX(レンデックス)
サービス名 | レンデックス |
URL | https://lendex.jp/ |
運営会社名 | 株式会社レンデックス |
本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷二丁目1番11号 郁文堂青山通りビル5階 |
設立 | 2000年 |
代表取締役 | 深澤 克己(ふかさわ かつみ) 〈略歴〉1968年生まれ。東京大学教養学部基礎科学科第2(システム基礎科学)卒業 1992年4月 第一勧業銀行(現:みずほ銀行) 入行 2005年3月 みずほ信託銀行に転籍 資産管理サービス信託銀行出向 2018年2月 みずほ信託銀行退職 |
資本金 | 1億円 |
当期純利益/純損失 | 純利益2,076万7,000円(2017年1月1日~2017年12月31日) 純損失1,407万6,000円(2018年1月1日~2018年12月31日) |
社員数 | 6名(役員を含む/2018年6月現在) |
上場有無 | 非上場 |
サービス開始年月 | 2017年7月 |
実績利回り | 6.0%~13.0% |
投資金額 | 2万円から |
累計応募金額 | 58億円超(2020年6月時点) |
運用期間 | 最短2ヶ月~ |
元本毀損実績 | 元本毀損実績0円(2020年5月時点) |
※2020年6月時点の情報となります。最新情報に関しては上記サイトを御覧ください。
目次
- LENDEXの2019年12月期決算
1-1.融資残高は約12億円に増加
1-3.売上は増加と見られるが、保有現金に対する赤字の額が大きい - LENDEXの赤字の理由
2-1.LENDEXの赤字の理由:①固定費の増加
2-2.LENDEXの赤字の理由:①固定費の増加 - 2020年のLENDEXの数字は
3-1.LENDEXの募集額は増加傾向
3-2.2020年に入り登録会員数も増加している - まとめ
1.LENDEXの2019年12月期決算
LENDEXは不動産案件を中心としたソーシャルレンディング会社で、会社名と同じ名称のソーシャルレンディングサイトを運営しています。
2017年にソーシャルレンディング事業に進出し、2019年12月までの約2年半にソーシャルレンディング案件を運営しており、この間貸し倒れやデフォルトは発生していません。
1-1.2019年12月期は約5,200万円の赤字
2019年12月期のLENDEXの決算は、5,281万円の赤字となりました。2018年12月期の赤字が約1,400万円であったため、赤字が4倍近い数字になってしまったことになります。
1-2.融資残高は約12億8千万円に増加
今回発表されたのは貸借対照表だけですので損益計算書は存在せず、売上などの詳細は公開されていません。
この表から判明することは貸付金の額、つまり投資家から集めて運用した資金が2019年12月時点で約12億8,300万円だった事実です。
約5億9千万円であった2018年12月に比べ、貸付額の大幅な増加が明らかになっています。ソーシャルレンディング会社の主な収入源は貸付時の営業者報酬であることから、貸付額が増えているLENDEXの売り上げ増加が推測できます。
1-3.売上は増加と見られるが、保有現金に対する赤字の額が大きい
LENDEXの保有する現金及び預金が3億円に対して赤字は5,281万円でした。
しかし、LENDEXの社員数は役員を含めて8人と、比較的に小規模な企業に該当します。多額の固定費や人件費を必要とする大企業と異なり、この赤字額が今後のLENDEXの経営に影響を与えるのか、慎重に検討する必要があるでしょう。
2.LENDEXの赤字の理由
今回、LENDEXでは「当社LENDEXの令和元年(2019年度)12月期決算に関するご報告」で赤字の理由を説明しています。
その内容を見ていきましょう。
2-1.LENDEXの赤字の理由:①固定費の増加
LENDEXが赤字の理由に挙げたものの1つが、人材採用費及び家賃などの固定費の増加です。
LENDEXは2019年3月に初代社長の筧悦生氏が退任し、2代目に田川徳彦氏が就任しました。しかし、田川社長は健康を理由に僅かな期間で退任し、2019年8月に現在の社長である深澤克己氏が就任しました。
人件費がかかる社長を2度採用したため、採用費が大幅にかかったと推測できます。また、LENDEXは深澤社長の就任とほぼ同時期に九段下から現在の渋谷にオフィスを移転、増床しました。
そのため、毎月の支払家賃が併せて増加しています。坪単価からして、渋谷エリアのオフィス賃料の相場は高めとなるためオフィスの家賃が2~3倍になれば、年間の賃料は1,000万円近い増加となる可能性があります。
2-2.LENDEXの赤字の理由:②広告宣伝費の増加
もう1つの赤字の理由として挙げられたのが、広告宣伝費の増加です。LENDEXは、積極的にインターネット広告などの出稿を行ったことで広告費が大幅に増加したとしています。
しかし、この広告効果によってLENDEXの登録会員を集めたことにより、2020年の決算の売上増加という形で反映される可能性があります。
3.2020年のLENDEXの数字は
決算を受け、2020年のLENDEXがどのような売上推移となっていくのか、推測をしてみましょう。
3-1.LENDEXの募集額は増加傾向
上記はLENDEXの「当社LENDEXの令和元年(2019年度)12月期決算に関するご報告」から引用した、2019年1月から2020年5月までの毎月の募集金額を示したグラフです。
このグラフを見ると、2019年と2020年1月から5月まで募集額はほぼ同額となっています。このペースで募集額が増加すれば、2020年のLENDEXの融資額は50~60億円ほどになるとの予測が立ちます。
営業者報酬が2%~3%だと考えた場合、融資額が30億円増加すれば、融資時の売上は6,000万~7,000万円ほど増えるでしょう。これらの売上推移から5,200万円の赤字を補える可能性があることが分かります。
3-2.2020年に入り登録会員数も増加している
LENDEXの投資会員数は大きく増加しています。2020年1~3月に大きな伸びを見せ、2020年6月時点では11,500人ほどの投資会員数となっています。
前述したように、LENDEXの赤字の要因には多額の広告費をかけていたことが要因の一つとしてありました。ここで会員数が大きく伸びていることは、広告の効果があったことを意味しています。
また、LENDEXでは融資時の営業者報酬の引き上げや不動産売買事業の開始など、収益の改善及び新規事業による新たな収入源の確保などの施策を打ち出しています。これらの施策の実行によって、今後LENDEXの経営状況が良化していく見込みはあると考えられます。
まとめ
2019年12月の決算は赤字に終わりましたが、2020年の登録者や売上の推移を見てみると、ソーシャルレンディング事業は上昇傾向にあります。今後、5,200万円の赤字を解消できる可能性はある言えるでしょう。
ソーシャルレンディング投資では、提供元の事業者が破綻してしまったり、不正を働き業務停止になってしまう事業者リスクについて十分に検討する必要があります。実際に投資をする際は今回の決算情報をしっかりと確認し、LENDEXの今後の動きについても注目していきましょう。
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