2020年の地価下落が不動産関連ファンドに与える影響は?リスク対策も

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2020年10月現在、新型コロナウイルスの流行は、様々な経済指標に影響を与えています。REITの平均指数は下落を見せており、基準地価にもその影響が徐々に表れていることが分かってきました。

そこで、基準地価下落が各種の投資手法に対し、どのような影響を与えるのか。また影響を避けるためには、どのようなリスク対策を行ったら良いのかをここではご説明していきます。

目次

  1. コロナショック後、不動産価格に下落傾向が表れる
    1-1.東京都心の空室率が上昇
    1-2.東京都心のオフィス賃料も下落
    1-3.テナントを中心に基準地価も下落
  2. 地価下落が不動産関連の投資商品に与える影響は
    2-1.ソーシャルレンディングへの影響
    2-2.不動産投資型クラウドファンディングへの影響
    2-3.REITへの影響
  3. 地価の下落発生に対するリスク対策は
    3-1.ソーシャルレンディングのリスク対策
    3-2.不動産投資型クラウドファンディングのリスク対策
    3-3.REITのリスク対策
  4. まとめ

1.コロナショック後、不動産価格に下落傾向が表れる

新型コロナウイルスは、国内では2020年2月に流行が始まり、2月から3月にかけていわゆるコロナショックが発生しました。短期間で株価は日経平均株価が約1/3ほど下げ、REITでは東証REIT指数が半分近くになるほど値を下げました。

その後下落は一段落し、株価とREITは相場を戻しつつありますが、その一方で不動産価格に影響が表れてきています。まず、その具体的な影響を確認していきましょう。

1-1.東京都心の空室率が上昇

2020年10月現在、東京都心のオフィスビルの空室率は上昇傾向にあります。この背景には新型コロナウイルスの流行により、テレワークが増加し、都心からオフィスを撤退させる企業が増えていると考えられます。

1-2.東京都心のオフィス賃料も下落

また、オフィスの空室率の上昇とともに、東京都心のオフィス賃料相場も下落傾向にあります。空室が発生すれば、オフィスやテナント事業者は空室を埋めるために家賃を下げて入居募集を行うため、家賃相場も下がったと推測されます。

これまで堅調な推移が続いていた東京都心のオフィス需要が、新型コロナウイルスの流行によりリモートワークが普及し、徐々にオフィス需要が減少していることがあらためて浮き彫りとなりました。

1-3.テナントを中心に基準地価も下落

もう一つ注意しておきたいデータが、基準地価の数字です。2020年9月29日に国土交通省が、2020年7月1日時点の基準地価を発表しました。(※国土交通省「令和2年都道府県地価調査の実施状況及び地価の状況」を参照)この基準地価の値を見ると、全国的に見た数字では、3年ぶりの下落が発生しています。

国全体では-0.6%と3年ぶりの低下、商業地は0.3%の低下、住宅地は-0.7%と全国的に下落しています。東京全体の基準地価は前年比+0.1%と下落には至りませんでしたが、これまでと比較すると上昇率は急激に縮小しています。

2.地価下落が不動産関連の投資商品に与える影響は

ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディング、REITといった投資手法は、不動産相場と密接な関係があります。

地価下落がこれら不動産関連の投資対象にどのような影響を与えるのか、考えてみましょう。

2-1.ソーシャルレンディングへの影響

ソーシャルレンディング案件の中には、不動産担保付きの案件が多く見られます。

ソーシャルレンディング案件を組成するときには、融資金額を上回る価値を持つ不動産を担保とすることで、貸し倒れが発生した時の資金の回収リスクを下げています。しかし、不動産価格が下がってしまうと、担保不動産を売却したときの価格が下落する可能性があります。

不動産価格が下落してしまうと仮に貸し倒れが起きた時に担保を売却しても、十分な資金を回収できない可能性があります。貸し倒れリスク時の資金回収が、やや高くなることが考えられるでしょう。

2-2.不動産投資型クラウドファンディングへの影響

不動産投資型クラウドファンディングは、投資家からファンド形式で集めた投資金で不動産を購入、運用し、生まれた運用益を投資家へ分配しています。そのため、不動産市場に悪影響が出た場合はより直接的な影響が出ることが予想されます。

不動産投資型クラウドファンディングで考えられる影響として、収益性の低下が挙げられます。

例えば、賃料収入を投資家に配当する案件の場合、賃料相場が下がっていくと、運用物件の収入が減り、投資家への配当が減っていく可能性もあります。

また、売却時の価格下落リスクもあります。不動産投資型クラウドファンディングは、運用後に物件を売却し、投資家に投資元本を返済します。しかし、地価が下がってしまうと売却時の価格が下がり、投資家に対して元本全額を返済できない可能性が高くなると考えられます。

2-3.REITへの影響

不動産投資信託、いわゆるREITも不動産価格の下落から大きな影響を受けます。REITはホテルやオフィスビル、テナントビル等の様々な物件を運用しその運用収入を投資家に配当する投資手法です。

家賃相場の下落が起きれば、配当利回りは下がる可能性が高いと言えるでしょう。

またREITは証券市場に上場しているため、市況の影響を敏感に受けます。既に新型コロナウイルスの問題が顕在化したタイミングでホテルREITは下落しています。これは、観光客が激減したことにより、収入が大幅に下落したことによると考えられます。

3.地価の下落発生に対するリスク対策は

では不動産価格の下落の発生に対して、各投資手法を運用するときはどのようなリスク対策を行っていけば良いでしょうか。

3-1.ソーシャルレンディングのリスク対策

ソーシャルレンディングのリスク対策の一つの方法として、不動産運用案件以外の案件に投資することが挙げられます。例えば、太陽光発電など自然エネルギー案件など、不動産価格の変化の影響を受けにくい案件への分散投資を検討してみましょう。

また、不動産関係の案件に投資するときには、LTV(融資金額に対して担保不動産の価値がどれくらいあるかの数値)を確認することも大切です。LTVの値が小さければ、担保不動産価格の下落が起きても、リスクカバーできる可能性が高くなります。

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3-2.不動産投資型クラウドファンディングのリスク対策

不動産投資型クラウドファンディングは、投資対象が全て不動産となるため、これから投資を検討する際のリスク対策としては劣後出資割合の高い案件を選ぶと良いでしょう。

劣後出資割合とは、不動産投資型クラウドファンディングの物件取得資金において、不動産会社が出資している部分を指します。売却時に価格下落が起きた時には、劣後出資割合から損失が発生していくので劣後出資割合が高ければ、投資家の損失が発生する可能性は低くなります。

また、不動産投資型クラウドファンディングの中でも投資先の物件タイプが異なっていたり、想定利回りが低い代わりに保全体制を整えている案件など、各社によってサービス内容は様々です。それぞれ案件ごとの内容を見極め、比較検討してみましょう。

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3-3.REITのリスク対策

REITも投資対象すべてが不動産のため、リスク対策としては不景気の影響を受けにくい不動産物件を選ぶと良いでしょう。

例えば、新型コロナウイルスの流行下では、ホテルREIT、テナントREITが大きく相場を下げました。その反面で、人々が外出を自粛したことにより需要が増した物流REITは堅調な数値を維持していました。

このように、同じ不動産でも投資対象の物件タイプによって需要の種類が異なるため、受ける影響の多寡や、タイミングが大きく異なることがあります。同じ物件タイプのREITへ資金を集中させるのではなく、様々なリスクを考慮してバランスよく分散投資を行うことが全体的なリスク低減に繋がります。

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まとめ

不動産価格の下落は、ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングに少なからず影響を及ぼす可能性があります。先に挙げたリスク対策を実施するとともに、様々な運用対象に投資することで分散投資を行うことを忘れないようにしましょう。

そのためには複数の会社に口座を開き、リスクの低い案件へ資産を分散できる体制を整えておくことも重要です。

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