健康増進型保険とは生命保険の契約後に健康状態が改善されることで、保険料が下がる特約です。契約者にとってメリットのある特約ですが、割引の内容は保険会社ごとにさまざまです。
この記事では健康増進型保険の概要やメリット・デメリットを解説し、販売されている健康増進型保険の商品を紹介します。
※本記事は情報提供を目的としており、特定商品を勧誘するものではございません。保険商品に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 健康増進型保険とは?
1-1.従来からある「リスク細分型生命保険」との違い
1-2.健康増進型保険の種類 - 健康増進型保険のメリット・デメリット
2-1.健康増進型保険のメリット
2-2.健康増進型保険のデメリット - 健康増進型保険の注意点
3-1.特約にばかり気を取られない
3-2.通常の保険の保険料が安い場合もある
3-3.割引が適用されない場合の保険料を確認する - 主な健康増進型保険
4-1.住友生命保険「Vitality(バイタリティ)」
4-2.明治安田生命「健康サポート・キャッシュバック特約(2024)」
4-3.ネオファースト生命「ネオdeからだエール」
4-4.SOMPOひまわり生命「じぶんと家族のお守り」健康☆チャレンジ!制度
4-5.SOMPOひまわり生命「勇気のお守り」禁煙☆チャレンジ!制度 - まとめ
1.健康増進型保険とは?
健康増進型保険は、契約後の健康状態や健康増進への取組みによって保険料の割引や還付を受けられる保険です。たとえば、加入してから受けた健康診断の結果が保険会社の基準を満たしていたら、以降の保険料が割引になるような特典があります。
健康増進型保険は保険の主契約ではなく、収入保障保険や医療保険の特約となっているケースがほとんどです。また、健康増進の特典の内容は、保険会社ごとに異なります。
1-1.従来からある「リスク細分型生命保険」との違い
従来から収入保障保険などの死亡保険には「リスク細分型」という、保険料が割引になる商品があります。リスク細分型の生命保険は、健康状態が良好、喫煙者ではないなどの条件によって保険料が割引になる保険です。
リスク細分型と健康増進型の大きな違いは、保険料の割引の決まるタイミングが契約時か契約後かです。リスク細分型保険は、契約時に条件を満たすと割引保険料が適用されます。一方、健康増進型保険は契約後の健康状態が条件を満たすと、保険料の割引を受けられます。
1-2.健康増進型保険の種類
健康増進型保険の保険料の割引には、以下の2つのタイプがあります。
- 健康診断の結果などから、支払う保険料を引き下げる
- 「祝金」「キャッシュバック」などの名目で還付金が支払われる
保険商品によっては、保険料の引き下げと還付の両方が受けられるタイプもあります。
2.健康増進型保険のメリット・デメリット
健康増進型保険にはどのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。それぞれについて解説します。
2-1.健康増進型保険のメリット
健康増進型保険には、以下のようなメリットがあります。
保険料が安くなる
健康増進型保険の最大のメリットは、契約中の保険料が後から安くなる点です。一般的な生命保険では契約時の告知内容によって保険会社の診査を受け、保険料が決まります。リスク細分型保険であれば、条件を満たせば割引保険料が適用されます。
一方、健康増進型保険は加入後に健康診断を受け、その結果によって保険料が下がる、還付金を受け取るというような仕組みです。割引の内容やシステムは保険会社ごとに異なりますが、基本的には契約後の健康状態によって割引が受けられるかどうかが決まります。
健康に対する意識が高くなる
健康増進型保険は保険加入後の健康状態が割引の条件となるため、健康に対する意識が高くなる効果も期待できるでしょう。
「健康であるほど保険料が下がる」という点を励みに被保険者が健康増進を心がけることにつながるのであれば、下がった保険料以上のメリットがあると考えることができます。
2-2.健康増進型保険のデメリット
健康増進型保険のデメリットも確認しておきましょう。
健康状態によっては保険料割引を受けられない
健康増進型保険は契約後の健康状態によっては、保険料割引のような特典を受けられません。健康増進型保険では加入後に所定の期間ごとに健康診断結果などによる健康状態の確認が行われます。
その際に健康状態が悪化しているなど、割引の条件を満たさないと判断された場合、保険料は下がりません。保険会社によっては割増保険料を適用される可能性もあります。
そのため、加入前から健康状態に不安がある、決められた健康への取組みの実行が難しいような人は健康増進型保険のメリットを享受しづらいといえます。
商品ごとの特色が異なり、同条件で比較できない
健康増進型保険の特典は、保険会社ごとに内容や条件が異なります。また、契約後に保険料が割り引かれるため、将来の保険料がいくらになるかも契約時には確定していません。商品同士の比較が難しく、自分に合う保険を探しにくい点は健康増進型保険のデメリットといえるでしょう。
加入後に手続きが必要
健康増進型保険の特典を受けるには、保険に加入してから手続きをしなければなりません。健康診断を受けたり、書類を提出したりの手続きが必要なケースもあり、忙しい人には煩わしく感じる場合もあるでしょう。
3.健康増進型保険の注意点
健康増進型保険は魅力ある保険といえますが、以下の点に注意しましょう。
3-1.特約にばかり気を取られない
最初から健康増進型保険の特典を目的として、保険を選ばないようにしましょう。保険契約では、主契約の保障内容が最も重要だからです。将来の保険料の割引は魅力的ですが、主契約の内容をおざなりにして判断すると、いざというときに十分な保障を受けられない可能性もあります。
同じような内容の商品で迷った場合に健康増進型の特約の有無で選ぶ、というような考え方で採用するとよいでしょう。
3-2.通常の保険の保険料が安い場合もある
健康増進型保険とは同じ商品の通常の契約形態より保険料が安くなるもので、実際にはそれほどお得でないケースもあります。たとえば、他社の保険商品を比較していくと、健康増進型でなくともより保険料の安い保険が見つかる可能性もあるでしょう。
健康増進型保険にはメリットもありますが、あまりこだわりすぎず、自分に合った保険を選ぶことが大切です。
3-3.割引が適用されない場合の保険料を確認する
健康増進型保険の割引が適用されるのは契約後に条件を満たした場合なので、割引が適用されないときの保険料も確認しておく必要があります。加入してから仕事や家庭の事情で継続的な運動ができなくなったり、健康状態が悪化したりする可能性があるからです。
その場合に保険料がいくらになり、支払い続けられるかの確認は非常に大切です。必ず割引が受けられると決めつけないようにしましょう。
4.主な健康増進型保険
2024年4月時点、販売している主な健康増進型保険を紹介します。
4-1.住友生命保険「Vitality(バイタリティ)」
住友生命のVitalityは、健康増進活動への取組みをポイント化し、保険料や特典に反映する健康増進型保険です。Vitalityには、以下の2つの特徴があります。
- 健康増進活動をポイント化
- 獲得したポイントを保険料や特典に反映
Vitalityでは、健康診断や運動などの健康増進活動をポイント化します。獲得したポイントに応じて、保険料が割引されたり、特典を受けられたりします。保険料の割引率は15%からスタートし、ポイントを獲得するほど高くなる仕組みです。
Vitalityの利用の流れは、以下のとおりです。
- Vitalityの対象となる保険に加入する
- Vitality健康プログラムに加入する(月額880円)
- 健康診断や運動などの健康増進活動を行う
- 獲得したポイントに応じて、保険料割引などの特典を受ける
Vitalityのプログラムの対象となる保険商品は、以下の2種類です。
- 1UP(総合保障)
- ドクターGO(医療保障)
※参照:Vitality(バイタリティ)
4-2.明治安田生命「健康サポート・キャッシュバック特約(2024)」
明治安田生命「健康サポート・キャッシュバック特約(2024)」は、主契約「ベストスタイル」に付保できる健康増進型保険です。
「健康サポート・キャッシュバック特約(2024)」では毎年、被保険者の健康診断の結果に応じてキャッシュバックが受けられます。キャッシュバックの額は健康診断の結果によって3段階にランク分けされており、ランクが高いほどキャッシュバック額は多くなる仕組みです。キャッシュバックは自動的に積み立てられ、手続きをすれば引き出せます。
「健康サポート・キャッシュバック特約(2024)」を付保する流れは、以下のとおりです。
- 明治安田生命の「ベストスタイル」に加入する
- 「健康サポート・キャッシュバック特約(2024)」を付加する
- 毎年、健康診断を受ける
- 健康診断の結果に応じて、キャッシュバックを受ける
2024年4月からは、キャッシュバックランクが細分化された「健康サポート・キャッシュバック特約(2024)」に改定されます。
4-3.ネオファースト生命「ネオdeからだエール」
ネオファースト生命「ネオdeからだエール」は、8大生活習慣病で入院した場合に一時金を受け取れる生命保険です。契約は3年更新で、更新ごとに保険料が見直されます。
保険料は健康年齢に基づいて算定され、健康年齢は健康診断の結果などに基づいて算出される仕組みです。健康年齢が若いほど保険料は安くなるため、更新後の保険料が下がる可能性があります。
「ネオdeからだエール」の支払い対象となるのは、以下の8代生活習慣病です。
- がん
- 心・血管疾患
- 脳血管疾患
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
- 肝疾患
- 膵疾患
- 腎疾患
- 糖尿病
※参照:ネオdeからだエール
4-4.SOMPOひまわり生命「じぶんと家族のお守り」健康☆チャレンジ!制度
SOMPOひまわり生命「じぶんと家族のお守り」健康☆チャレンジ!制度は、健康状態の改善により、保険料が割引になったり、祝金が受け取れたりする制度です。主契約の「じぶんと家族のお守り」は、収入保障保険です。
健康☆チャレンジ!制度では契約後2年目から5年目の間に保険料率変更請求をし、所定の基準をクリアすると(健康チャレンジ成功)割安な保険料率が適用されます。また、健康チャレンジに成功した場合、契約日にさかのぼって計算した保険料差額相当額を健康チャレンジ祝金として受け取れます。
4-5.SOMPOひまわり生命「勇気のお守り」禁煙☆チャレンジ!制度
SOMPOひまわり生命「勇気のお守り」禁煙☆チャレンジ!制度は、喫煙者保険料率で契約した人が、1年以上禁煙に成功すると、非喫煙者保険料率に変更できる制度です。主契約の「勇気のお守り」は、がん保険です。
禁煙☆チャレンジ!制度は、保険料率変更の告知日が契約日から起算して1年以上5年以内の場合に申請できます。
まとめ
健康増進型保険は条件に該当すれば保険料が安くなるので、有益な特約です。健康状態を改善するきっかけ作りに活用し、健康増進とともに保険料も下がると一石二鳥となるでしょう。
ただし、あくまで特約なので、最初から健康増進型保険ありきでの保険選びはせず、主契約の内容重視で考えることが大切です。
松田 聡子
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