株式の先物取引とは?信用取引との違いやメリット・デメリットも

※ このページには広告・PRが含まれています

株式の先物取引とは何でしょうか?株式投資経験者でも「現物取引とは違って、何となくレバレッジがかかっていて危険な取引なのでは」というマイナスのイメージだけが先行している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

先物取引は、いまでこそ先物の価格の上下動を利用して売買を行い、値幅を取るキャピタルゲイン狙いの取引が増えていますが、導入された当時は、現物価格が値下がりした時のリスク回避が主な目的となっていたものです。

つまり、適切な知識を持って効果的に先物を活用することができるようになれば、投資手法の拡大に繋がるということです。そこで今回は、先物取引の特徴やメリット・デメリットについて解説していこうと思います。

目次

  1. 先物取引とは何か
  2. 信用取引との違い
  3. 先物取引のメリット・デメリット
  4. まとめ

1.先物取引とは何か

先物取引とは、「将来のあらかじめ定められた期日に、特定の商品(原資産)を現時点で取り決めた価格で売買することを、売り手と買い手の間で約束する取引」のことです。将来の価格がどれだけ高値であっても安値であっても、必ず現時点で約束した価格で売買しなければなりません。

したがって、取引をした時点では代金の支払いなどは行われませんが、受渡を行うと約束した日には、先物取引の買手は必ず必要な代金を支払い、売手は必要な量の商品を買手に引き渡さなければなりません。

しかし、受け渡しを実際に行うことが出来る商品ばかりではありません。例えば株価指数先物取引などは、日経平均株価やTOPIXのような株価指数を原資産とする先物取引のことですが、受渡を実際に行うことができないので、最終決済は「差金決済」といって期日における清算価格と先物価格との差額部分のみを受け渡す方法で行います。

差金決済において、差額がマイナスになってしまった時のために、先物口座には担保のようなものとして証拠金という現金を入れておく必要があります。現物株式の場合には、株の購入価格の全額を口座に入れなければ取引できませんが、先物取引の場合には、実際の取引価格の一部を証拠金として入れておくだけで取引ができます。

2.信用取引との違い

信用取引と先物取引は、どちらも担保(証拠金)を提供してレバレッジをかけて取引する点でよく似ていますが、両者は根本的に異なった取引です。

まず信用取引では、投資家は証券会社から資金や株券を借りて取引を行います。現物取引と同じ市場、同じ価格で取引され、現物市場に「信用取引」という取引の手法が加わっただけと言えます。

しかし先物取引では信用取引のように「借りる、貸す」という行為はなく、資金の決済が将来に先送りされているだけなのです。そして現物市場とは別に先物市場が存在します。先物価格は現物価格と連動して動いていますが、全く別の市場で取引されているのです。

3.先物取引のメリット・デメリット

メリット・デメリットは表裏一体です。先物取引の特徴を下記に纏めました。

取引できる期間が決まっている

現物株式の場合、一度買ってしまえばその企業が倒産しない限り半永久的に株式を持ち続けることができます。それに対して先物取引の場合は、売りや買いで仕掛けた商品を、特定の期日までに決済しなければなりません。

逆に言うと、この期間内であれば自由に売買することができます。具体的には、商品によって「取引最終日」が設定され、取引最終日を過ぎて未決済建玉がある場合には、SQ値(特別清算数値)に基づいて自動的に決済されます。

取引可能時間が長い

先物取引はトレードできる時間が現物取引に比べ長いのが特徴です。現物市場とほぼ時間帯が重なっている通常相場に加え、ナイトセッションと呼ばれる時間外相場が存在します。

そのため例えば、会社帰りなど自分のタイミングで投資を行いながら利益を狙うという方法も可能です。また、現物市場がクローズしている間に突発的なニュースが出てしまい保有している現物資産がリスクにさらされた場合には、先物市場でヘッジのための売り取引をするなど、リスク軽減の非常に有効な手段として使われます。

取引所取引である

先物は一般的な取引所取引であるため、一定の流動性が確保されています。相対取引※では不当に高い価格で取引が成立してしまうことがありますが、取引所では多くの投資家が取引に参加するため、一般的に妥当と考えられる公正価格で取引されます。

※相対取引…売りたい人と買いたい人がそれぞれ1対1の場合の取引のこと。 当事者同士であらかじめ「価格」「数量」「決済方法」を決めてから行う取引で、取引所外取引のひとつ。

高い資金効率

先物取引では証拠金を預けることでそれ以上の金額の取引をすることができます。これにより、投資家は多額の資金を準備しなくても投資をすることができますし、資金に余裕があればより安全に投資することが可能です。

証拠金以上の取引をするわけですから、大きな利益が望める一方で、相場が予想に反した動きを見せた場合に大きな損失が発生するということをよく理解しておかなければなりません。

追証(おいしょう)が発生する

相場が予想に反した動きをして大きな損失がでた場合に、追加で証拠金を納めなければならない制度が存在します。これは総取引量に対する証拠金の割合が一定値を下回った場合に発生し、レバレッジを掛け過ぎている場合などは、少しの価格変動で大きな証拠金の追加が必要になることもあります。

元本保証がされていない

先物取引は現物取引などと同様に、投資資金に対する元本の保証はされていません。しかし現物株取引では投資した企業が倒産し、価値がゼロになっても元本を超える損失はありませんが、先物取引の場合は相場が想定と反対の動きがでたときには、元本を超える損失が発生することがあります。

差金決済が可能

先物取引における特徴の一つとして、現物取引では禁止されている差金決済という仕組みがあります。差金決済とは決済時に代金のやり取りをするのではなく、反対売買をすることで決済を完了させる方法です。差金決済があるために商品や現金が手元になくても取引が可能となります。

売りから取引できる

通常の現物株取引は常に買いからエントリーしますが、相場が先行き下落すると予想する場合、先物取引を使って新規に売建(空売り)を行うことが可能です。空売りでは価格が下落すれば利益が出るという、買いとは逆の仕組みになっています。

信用取引でも空売りはできますが、そもそも空売りできない銘柄だったり、逆日歩※など余計なコストが発生したりすることがあります。しかし先物取引の場合、そのようなコストは発生しません。

※逆日歩…株不足などにより売建をしている方が支払うことがある追加コスト。

まとめ

先物取引に関しては少額でも大きな利益を獲得できるというメリットがありますが、その分リスクも大きい投資方法です。投資を始める前には先物取引の特徴をよく把握しておくことが肝心です。

しかし、難しそうだと思われがちな先物取引ですが、一度仕組みを覚えてしまえばそこまで難しい投資手法ではありませんし、メリットも多い取引方法なのです。キャピタルゲイン獲得を目的とした取引もできますし、保有している現物株式などのリスクヘッジに重点を置いた取引として利用することも可能です。更には、今回は説明しませんでしたが、現物市場と先物市場の価格の差に着目した裁定取引の側面を利用することもできます。

本記事を参考に、先物取引への挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチームは、ロボアドバイザーに関する知識が豊富なメンバーが投資の基礎知識からロボアドバイザーのポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」