先物投資のよくある失敗は?具体的な取引事例3つの原因と対策

少ない資金で大きな取引ができる先物取引を検討している人も多いのではないでしょうか。しかし、先物取引では大きな損失をだして失敗する可能性もあります。この記事では先物ディーラーの経験を持つ筆者が、先物取引で失敗してしまう原因と、対処法について解説します。

目次

  1. 先物取引の失敗事例①レバレッジをかけすぎる
    1-1.日経225先物のレバレッジはどのくらい?
    1-2.追証にならないようにする
  2. 先物取引の失敗事例②損切りをしない
    2-1.リスク管理のために損切りすることが大切
    2-2.逆指値を利用する
  3. 先物取引の失敗事例③売り(ショート)で入って損切りできなくなる
  4. まとめ

1.先物取引の失敗事例①レバレッジをかけすぎる

先物取引ではレバレッジ取引ができます。レバレッジとは「テコの原理」のことで、少額の証拠金で大きな金額を取引することです。しかし、レバレッジは効率良く収益を狙える一方で、投資で大きな失敗になりやすい可能性も併せ持つ注意すべき仕組みなのです。

1-1.日経225先物のレバレッジはどのくらい?

代表的な株価指数先物取引である日経225先物のレバレッジ取引について解説します。

日経225先物は、株式の現物取引のように売買代金をすべて支払う必要はありません。SPAN証拠金から計算される証拠金を差し入れて取引するのです。そのため少ない資金で大きな取引ができます。

SPAN証拠金は、日本証券クリアリング機構から毎週発表されています。2月9日時点の日経225先物1枚あたりの必要証拠金額は162万円。日経225先物の終値29,500円で計算すると、レバレッジの計算は以下の通りです。

29,500円×1,000倍=2,950万円(日経225先物の取引金額)

2,950万円÷162万円=18.2

日経225先物のレバレッジは18.2倍になります。株式の信用取引のレバレッジは約3.3倍なので、信用取引よりも高いレバレッジでの取引が可能なのです。

レバレッジ取引は予想通りに先物の値段が動けば大きな利益を狙えますが、逆に動いた場合には証拠金以上の損失を被る恐れのあるハイリスク・ハイリターンの取引なのです。

1-2.追証にならないようにする

損失が増えて必要証拠金を下回ると、追加の証拠金を差し入れなければいけません。これを追証(おいしょう)といいます。たとえば楽天証券の場合、追証が発生したら翌営業日の正午までに資金を入れなければいけないのです。場合によっては証拠金を差し入れられずに強制決済され、大きな赤字が確定してしまい引退せざるを得ない状況になる可能性もあります。

追証が発生しないようにするためには、証拠金に余裕を持っておかないといけません。日経225先物の場合、レバレッジを最大18倍までかけられますが、追証にならないように5倍程度のレバレッジに抑えるようにしてください。

2.先物取引の失敗事例②損切りをしない

投資をする上で大切なのが損切りです。損失額が一定の範囲に達した際にはポジションを閉じるというルールを徹底することで、資産の減少リスクを限定することが可能です。しかし、実際に損切りを実行するのはなかなか難しいもので、これにまつわる失敗の事例はよく聞かれます。

2-1.リスク管理のために損切りすることが大切

先物での損失が膨らんでも、追証を入れれば取引を継続できます。しかし、1度ならまだしも、2回以上追証で資金を入れるのはオススメしません。自分の思惑とは逆に相場が動いているということですから、冷静になるために損切りをするようにしてください。追証を2度、3度と繰り返すうちに資金が尽きてしまう可能性もあるからです。

たとえば、証拠金の20%損失がでたら損切りをするなど、リスク管理を徹底することが大切です。

また、現物株は長期で保有できますが、先物には決済の期日があります。たとえば日経225先物の場合、3・6・9・12月の第2金曜日がSQです。SQとは、日経225先物などの株価指数先物の最終的な決済期日で、必ずポジションが解消されます。

ですからSQがくると、損失や利益が確定されてしまうのです。先物取引は期日が決まっているので、長期というよりは短期でのトレードに向いた取引といえます。

先物取引の利益確定や損切りには、テクニカル分析を利用するのが一般的。たとえば、25日移動平均線を割り込んだら買いポジションを決済するなどのルールを決めておくと、迷うことなく損切りできるようになります。

2-2.逆指値を利用する

損切り注文には「逆指値」を利用すると便利です。逆指値注文とは、「先物の価格が下落し、指定した値段以下になれば売り」、「先物の価格が上昇し、指定した値段以上になれば買い」とする注文方法。通常の指値注文と逆の注文方法なので「逆指値」と呼ばれているのです。

ネット証券などを利用すれば、1週間など期間を決めて逆指値注文をだすことが可能です。現物株よりも日経225先物などの指数先物の取引時間は長くなっています。現物株と日経225先物の取引時間を比較すると、以下の通りです。

  • 現物株取引(東証)
    9時~11時30分(前場)
    12時30分~15時(後場)
  • 日経225先物取引
    8時45分~15時15分(日中取引)
    16時30分~翌5時30分(夜間取引)

このように、先物取引は現物株に比べて取引時間が長くなっています。ですから、損切り注文を入れようとしても、ずっとマーケットを見ていることは困難です。しかし損切り注文をだしておけば、その価格に達したら注文が執行されるので、確実に損切りできます。

3.先物取引の失敗事例③売り(ショート)で入って損切りできなくなる

先物取引は買いだけでなく、売りからも取引できます。ですから、相場上昇局面だけでなく、下落局面でも利益を狙えるのです。

ただし、買いの場合は先物の値段が0円になっても損失は限定されています。しかし、売りの場合は無限に上昇する可能性があるので、損失が無限大になってしまいます。先物の売りで取引をする場合は、買いよりもリスク管理を徹底させることが大切です。先ほど説明した損切り注文は、とくに売りをしている場合には必須なのです。

まとめ

今回は先物取引で失敗しがちな事例を3つ紹介しました。高いレバレッジで取引できる先物取引は大きな利益が狙えるという強みはありますが、まずは損失を抑えることが大切です。

今回紹介した事例に注意し、リスク管理を徹底するようにしてください。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011