外国株式に投資するメリット・デメリットは?地域・企業の選び方も

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株式市場の根幹は「経済成長」です。日本よりも経済成長率が高い国・地域に投資することで資金を効率的に運用することができます。また、外国株式への投資で円資産のヘッジになるといったメリットがある一方で、さまざまなリスクもあります。

今回は外国株式に投資するメリット・デメリット、地域や企業の選び方についても解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 外国株式に投資するメリット
    1-1.円資産ヘッジができる
    1-2.大きな収益が期待できる
    1-3.配当成長が期待できる
    1-4.1株から投資できる
    1-5.憧れのブランドの「オーナー」になれる
  2. 外国株式に投資するデメリット
    2-1.株価と為替の2つのリスクを背負う
    2-2.新興国は政情不安・内戦などのリスクがある
  3. 地域の選び方
  4. 企業の選び方
  5. まとめ

1.外国株式に投資するメリット

まずは、外国株式に投資するメリットを5つ見てみましょう。

1-1.円資産ヘッジができる

輸入依存度の高い日本では、円安が進むと輸入物価が上昇し、消費者物価が上がります。最悪の場合、スタグフレーション(経済活動の停滞と物価の上昇が同時に起こる状態)に陥る可能性もあります。円安が進むと円資産は目減りします。

このリスクを回避するためには、円資産のみではなく外貨資産にも投資することが重要です。円資産だけで過ごせる時代から外貨資産を保有する時代になったと言えるかもしれません。

1-2.大きな収益が期待できる

株式指数は経済成長に比例する傾向が強いため、経済成長が大きい国ほど株価の上昇が期待できると言えます。

IMFによれば、世界一の経済大国である米国の2018年名目GDPは日本の約4.1倍に相当する20,580(10億)ドルでした。2位は中国で13,368(10億)ドルです。同年の実質GDP成長率は米国が3.0%、中国が6.7%、日本は0.3%です。超高齢化社会を迎えている日本は、米国のように高い経済成長を期待することが難しい状況です。

米国には唯一無二の企業が多く、米国株は外国株投資の主幹となる市場です。経済が成長し経済規模が拡大することで、これらの企業の株価上昇が期待できるからです。

1-3.「配当成長」が期待できる

外国株市場には、配当金を数十年にもわたり増額している企業が多々存在します。こうした企業に投資することで、高い配当金を受け取ることも期待できます。

例えば米国のダウ30種平均銘柄では、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、3M(スリーエム)、コカ・コーラ、ジョンソン&ジョンソン、IBM、ユナイテッドヘルス・グループなどが挙げられます。

ユナイテッドヘルス・グループの配当金をみると、10年前は1年当たり0.5ドルでしたが、2020年現在で5ドルとなっており、配当金が10倍に成長しました。同社の株価も約10倍上昇しています。

米国では企業経営の一角として株主還元が重要視されています。株主優待制度は存在しませんが、配当金や自社株買いなど株主に配慮した経営がとられています。なお、米国企業の配当金は年4回支払われます。これを利用すると毎月配当金が受け取れるポートフォリオを構築することも可能です。

1-4.1株から投資できる

外国株は少額からの投資が可能な点もメリットです。1株から投資可能な国もあり、初心者でも購入しやすくなっています。日本株の投資単位は100株が主流ですが、米株の場合は1株のため、ネット証券に口座があれば簡単に米国優良企業の株が1株から購入できます。

例えば、任天堂の株価が57,000円の場合、最低投資金額は570万円になります。一方、アップルの場合は株価が116ドルなら、116ドルから投資することができます。毎月積み立てやすい金額であることが魅力です。

アップルの配当金は、毎年2月、5月、8月、11月に支払われます。8月の配当金は0.205ドルでした。株を定期的に購入すれば、配当金が増える楽しみを味わうこともできます。

1-5.憧れのブランドの「オーナー」になれる

外国株に投資することで、憧れのブランドの「オーナー」になることもできます。例えばルイ・ヴィトン(LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン)、エルメス(エルメス・インターナショナル)といったハイブランドのオーナーになれますし、スーパーカー企業のオーナーにもなれます。

高級車のフェラーリやポルシェの車はなかなか手がでませんが、株主になることはできます。フェラーリ、ポルシェ両銘柄ともに本国の他に米国(ADR)にも上場しています。10月6日時点の株価はフェラーリが176.49ドル、ポルシェが5.86ドルです。車と違い株式なら事故や盗難の心配はありません。株式投資にもロマンがあると言えます。

2.外国株式に投資するデメリット

外国株式への投資には、主に2つのデメリットがあります。

2-1.株価と為替の2つのリスクを背負う

外国株投資のデメリットは、為替と株価の2つのリスクを一度に背負うことです。特に新興国の株式投資には注意が必要です。新興国の為替リスクは高いため、株価の上昇が為替の下落により相殺されてしまうケースが多くあります。

例えば、トルコの株式指数は10年で1.74倍に成長しましたが、円高が進んだことで円通貨建ての収益はマイナス60%と投資元本を下回ってしまいました。

新興国通貨のリスクが高いことを下記の表で見てみましょう。下表は、過去10年の新興国と先進国の株式指数のパフォーマンスを、現地通貨建てと円建てで求めた結果です。

現地通貨 円換算
ブラジル +34% -50%
トルコ +74% -60%
南アフリカ共和国 +83% -4%
メキシコ +7% -21%
インド +93% +49%
米国 +189% +267%
英国 +5% +8%
ドイツ +107% +124%
日本 +97% +97%

2-2.新興国は政情不安・内戦などのリスクがある

外国株のなかでも新興国株に投資する場合は、政情不安や、内戦・テロが起こる可能性が高いこと、正確な情報収集が困難であることもリスクとして挙げられます。また、手数料が先進国株に比べて高いこと、直接投資ができない国が多いこともデメリットです。

3.地域の選び方

投資する地域を選ぶ際は、経済基盤(人口、政情、産業など)、経済成長、インフレ率、情報取得のしやすさなどに留意すると良いと言えます。特に、高インフレの国・地域は通貨リスクがあるため、投資をおすすめしません。

新興国の株式は、経済成長の伸びしろが大きく魅力がありますが、予想できないリスクも多いため、投資初心者の方は米国株を中心とした先進国株式に投資を行うのが無難です。新興国株を青田買いせず、投資したい新興国がある程度成長し「稲が実ってから」投資を始めても間に合います。

4.企業の選び方

投資する企業を選ぶ際には、「唯一無二」をキーワードに探すと良いでしょう。「唯一無二の技術」「唯一無二の経営」など特色ある企業の多くは利益率が高く、倒産リスクが低い傾向にあると言えます。売上が右肩上がりで、マーケットシェアが高く、配当金額が毎年増加している企業が理想的です。

銘柄としては、世界有数の投資会社「バークシャ・ハサウェイ」が投資先としている銘柄群を参考にするのが一つの方法です。バークシャ・ハサウェイも投資しているダウ30種平均銘柄は、アップルやコカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなど日本においても知名度が高く、業績が安定しており、配当成長率が高い銘柄が多いため、初心者の投資には適しています。

まとめ

外国株投資にはメリットもあれば、デメリットも存在します。メリット、デメリットの両方を十分に理解したうえで、外国株に投資しましょう。

今では外国企業の財務諸表などを、インターネットを通じて簡単に確認することができる時代になりました。興味のある外国企業がある場合は、そうした会社のウェブサイトや、証券会社を通して情報を集め、将来に備えて外国株のポートフォリオを作ることを検討してみると良いでしょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。