ドローンの日米シェア上位銘柄は?業績と事業概要、株価推移も【2022年9月】

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近年ドローンを活用したビジネスが拡大し、物流、警備、測量、インフラ整備、農業など様々な分野で活用されています。市場の7割を中国メーカーが占めていますが、国家機密保持・情報漏洩問題などの観点から各国で内製化の動きが活発化しています。

日本国内での市場規模は拡大傾向にあり、2021年度は2,308億円(参照:インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2022 国内のドローンビジネス市場規模の予測」)と前年比25%増加しました。2027年度には8,000億円規模に成長すると見込まれています。

そこで、今回は日米ドローンのシェア上位銘柄の業績や事業概要などを解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年9月22日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 米国ドローン市場とメーカー
    1-1.インテル(INTC)
    1-2.パロット(PARRO)
  2. 日本のドローン市場規模
  3. 日本でのドローンの活躍分野
  4. 日本のドローンメーカー
    4-1.ヤマハ発動機(7272)
    4-2.オプティム(3694)
    4-3.ACSL(6232)
    4-4.双葉電子工業(6986)
    4-5.菊池製作所(3444)
  5. まとめ

1 米国ドローン市場とメーカー

米国ドローン市場におけるシェア上位銘柄の業績や株価推移を見ていきましょう。まず、シェア1位は中国のDJIで76.1%、2位がIntelで4.1%、3位が中国のYuneec、4位がフランスのParrotで、DJIとYuneecは非上場です(軍需除く、2021年3月時点。参照:DRONE INDUSTRY INSIGHTS “DRONE MARKET SHARES IN THE USA AFTER CHINA-US DISPUTES”)。

1-1 インテル(INTC)

インテルは、主にコンピューター部品や関連製品の設計から販売まで手掛けています。コンピューター用プロセッサー製造のイメージが強い同社ですが、東京五輪の開会式で同社製のドローン1,824台がパフォーマンスを演じ話題となりました。

2021年度の売上高は790.2億ドル、純利益は198.6億ドルで、一株当たり利益は4.89ドルです。売上成長率は1.49%増(2020年比)と伸び悩んでいます。

株価は28.07ドルと年初来安値を更新しました。一方、予想PERは12.40倍と株価に割高感はないと言えそうです。

1-2 パロット(PARRO)

パロットはフランスの電子機器メーカーで、ドローンの製造やアクセサリーなどの事業を展開しています。同社のドローンは、デザイン性に優れ、高い評価を得ています。

2021年度の売上高は5,431万ユーロと前年同期比5.2%減でしたが、純利利益はマイナス190万ドルと前年同期比マイナス3,840万ドルから改善しました。

株価は3.80ユーロで、年初よりダウントレンドを継続しています。年初来リターンはマイナス7.99%と低迷しているものの、CAC30(フランス株価指数)のマイナス17.2%を上回っています。純利益が黒字転換してから投資をすると良いかもしれません。

2 日本のドローン市場規模

インプレス総合研究所によると、日本国内のドローンビジネス市場規模は2021年度に2,308億円(前年度比25.4%増)となり、2027年度には3.4倍の7,933億円に拡大すると予想されています(参照:インプレス総合研究所「ドローンビジネス調査報告書2022 国内のドローンビジネス市場規模の予測」)。

ドローンビジネス分野は、機体、サービス、周辺サービスの3分野で構成されます。機体分野は業務用の完成機体の販売(軍需除く)、サービス分野はドローンを活用したビジネス、周辺サービス分野はバッテリー等の消耗品やメンテナンス、人材育成、保険などです。

上記の調査では、2027年度にかけてサービス市場は5,147億円と最も市場規模の拡大が予想されています。機体市場も2027年度に1,788億円(2021年度468億円)と大きな成長が期待されています。

3 日本でのドローンの活躍分野

日本でドローンを飛ばすためには法整備が必要となり、日本政府でもドローンの活用や法律の整備が進んでいます。そのため、経済産業省と国土交通省は2018年に「空の産業革命に向けたロードマップ」を作り、毎年更新しています。

2020年のロードマップではドローンの活躍分野は物流、警備、医療、災害対応、インフラ維持管理、測量、農林水産業に分け、それぞれの分野別に進捗状況や目標が更新されています。それぞれの分野で、様々なドローンメーカーが活躍しています。

4 日本のドローンメーカー

ドローンはメーカーにより用途が異なります。ここでは、農業用ドローン、物流、インフラ管理維持分野を得意とする上場企業を見ていきましょう。

4-1 ヤマハ発動機(7272)

農林水産省によると、ドローンは、農薬散布、肥料散布、幡種、受粉、ほ場センシング、農産物等運搬、鳥獣被害対策、情報収集・配信などでの活用が拡大しています(参照:農林水産省「令和3年度 農業分野におけるドローンの活⽤状況」)。

二輪車製造のメーカーとして知名度の高いヤマハ発動機ですが、1990年代から農薬散布用の無人ヘリコプターを開発し販売しています。その技術力を活かし農薬散布用のドローンを世界で初めて開発しました。同社のドローンは自動クルーズコントロール機能がついている機種もあり農薬の自動散布が可能です。

2021年度の売上高は1兆8,125億円(前期比23.2%増)、純利益が1,556億円(前期比193.1%増)と好調でした。

株価は2,878円で、予想PERが6.7倍、配当利回りが4.00%、PBRが1倍と株価に割安感があると言えそうです。

4-2 オプティム(3694)

オプティムは、NTT東日本と共にドローンの新会社NTT e-Drone Technologyを設立しました。NTT東日本は、株式会社エンルートのドローン事業を承継し、同社の持つ人工知能(AI)技術を用いて、スマート農業推進を目的とした国産ドローンの開発に取り組み業績拡大を目指しています。

第22期(2021年4月~2022年3月)の売上高は83.10億円(前期比10.5%増)でしたが、売上原価の上昇が利益を押し下げ、純利益は9.43億円(23.7%減)でした。

株価は821円で、予想PERが47.46倍、PBRが8.76倍と株価には割高感があると言えそうです。

4-3 ACSL(6232)

ACSLは、物流、インフラ点検、防災災害対応など産業用として活躍するドローンの開発に取り組んでいます。2018年11月には、日本で初めてLevel3(補助者なし目視外飛行)を日本郵政と実現するほど技術力の高い会社です。

2021年12月期決算(2021年4月~2022年12月)の売上高は5.01億円、純利益がマイナス12.25億円でした。来期(2022年12月期)の売上高予想は25億円で、純利益がマイナス6.5~3.5億円と、業績改善が進むと予想しています。

株価は1,702円で、公募価格(2018年12月)の3,400円を大きく下回る水準で推移しています。業績改善が株価上昇のカギとなりそうです。

4-4 双葉電子工業(6986)

双葉電子工業は、タッチセンサーや有機ELディスプレイ、産業用ドローンシステム、ホビーラジコン機器等の開発、製造を手がけています。

2022年3月期の売上高は534.5億円(前期比9.4%増)、純利益がマイナス26.6億円(前期マイナス54.3億円)でした。売上高は増収となり、純利益の赤字は縮小しました。

同社が開発したドローンは高性能で、気象庁風力階級レベル7(風速15m/毎秒)という強風でも安定飛行が可能です。

2022年7月には、国土交通省により南海トラフ地震など災害時を想定した実証実験が行われ、好結果を残しました。また、同社はドローンスクールを開校し、技術者の養成にも力を入れています。

2022年初頭から株価は概ね600円~700円のレンジで推移しています。現時点の株価641円、PBRは0.35倍なので割安感がありそうです。

4-5 菊池製作所(3444)

菊池製作所は、医療用や介護用のロボットなどを製造販売しています。一括一貫体制による研究開発・試作の総合支援企業です。唯一の国産製ドローンを製造販売しています。

第47期(2022年4月)の売上高は50.45億円(前期比12.9%増)、純利益がマイナス6.69億円(前期マイナス9.34億円)です。

2022年年初より株価は500円~550円のレンジで推移しています。現在503円と、レンジの下限です。PBRが1.13倍と株価には割高感がないと言えそうです、

まとめ

今回、ドローンのシェア上位企業について解説しました。国家機密保持・情報漏洩問題などから各国で内製化の動きがあります。日本においては、2021年度より政府が購入するドローンを国産などの記録データ漏洩防止が可能な機体とすることを公表しました。

日本のドローン市場規模は2027年度には8,000億円規模に成長すると見込まれています。成長分野であるドローン市場にマーケットが注目しています。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。