クラウドバンクのコロナ支援ファンド、仕組みや実施内容・投資の際の注意点は?

2020年に入り、新型コロナウイルスの流行が国内の各産業に大きな影響をもたらしています。特に観光業や宿泊業、飲食業を営む会社は客数の減少により大幅な収入源に陥り、資金繰りに窮している企業も出てきています。

このような企業の支援を行う手段として、クラウドファンディングが注目されつつあります。実際に寄付型クラウドファンディングサイトなどでは、新型コロナウイルスの影響で売上が下がった企業に対して支援する案件が募集されています。

日本のソーシャルレンディングサイトの1つであるクラウドバンクは、新型コロナウイルスで売り上げが低下した企業に対しての支援を目的としたプロジェクトの立ち上げを表明しました。

その内容をチェックするとともに、投資先として妥当かどうか、どこを見るべきかを解説します。

目次

  1. コロナ支援プロジェクトを実施する「クラウドバンク」とは?
    1-1.融資先は新型コロナウイルスで資金繰りに困っている企業
    1-2.融資の金利は3~4%
    1-3.クラウドバンクが2割の劣後出資を実施
    1-4.クラウドバンクの営業者報酬は0.1%
  2. 投資家から見たコロナ支援プロジェクトのメリット
    2-1.社会貢献が可能なプロジェクトである
    2-2.クラウドバンクが劣後出資しているので、一定の資産保全性がある
  3. コロナ支援プロジェクトに投資する時の注意点
    3-1.融資先からの返済リスクは高い
    3-2.劣後出資は万全の保全対策ではない
    3-3.融資先の財務状況や事業内容の見極めが重要
  4. まとめ

1.コロナ支援プロジェクトを実施する「クラウドバンク」とは?

クラウドバンクは、業界初のクラウドファンディング専業証券会社が運営するサービスで、バリエーションに富んだファンドに特徴があります。2013年10月にサービスを開始し、2020年5月時点でファンドへの応募金額924億円超、デフォルト率0%(2019年6月時点)、平均利回りは6.99%(※2019年3月末までの3年間に運用したファンド実績)となっています。

クラウドバンクのソーシャルレンディングサービスは1万円から運用可能で、口座開設・販売手数料は無料となっています。未成年者の口座開設が可能である点も大きな特徴と言えるでしょう。

ソーシャルレンディング業界でも大手と言えるクラウドバンクですが、新たに新型コロナウイルスに関する支援プロジェクトの実施を発表しました。

ここからは新型コロナウイルス支援プロジェクトについて概要を確認してみましょう。

1-1.融資先は新型コロナウイルスで資金繰りに困っている企業

新型コロナウイルス支援プロジェクトの融資の対象は、新型コロナウイルスの感染拡大および拡大抑制のための営業自粛などで、資金の需要に一時的な混乱が発生している企業です。そして、プロジェクトは資金繰りに窮する企業の支援を目的としています。

クラウドバンクは、一時的な資金繰りのためにクラウドファンディングで資金を募集したい企業と、企業を支援したい投資家との橋渡しを行っています。

1-2.融資の金利は3~4%

この案件は、新型コロナウイルスによる影響で資金調達が困難となった企業の救済を目的としています。そのため、投資家に対する利益の提供を第一とせず、融資を受けた企業側の返済の負担を考慮に入れつつ、貸付金利を設定しています。

通常のクラウドバンクの案件では、投資家に対して5~7%の運用利回りを目標としていますが、プロジェクトに関する案件では、貸付金利を3~4%と一般の案件よりも低めに設定しています。

そのため、投資家への配当利回りは2~3%前後と予測されます。

1-3.クラウドバンクが20%の劣後出資を実施

一般の案件よりも投資家のリスクが高くなってしまうため、クラウドバンクは劣後出資によって融資額の2割を受け持つことを表明しています。

例えば、5,000万円の融資の案件において、投資家が4,000万円、クラウドバンクが1,000万円を融資するとします。仮に融資先の会社から4,000万円しか返済されなくても、投資家が融資した4,000万円は保護され、1,000万円分の損失はクラウドバンクが負うことになっています。

このような劣後出資の仕組みにより、投資家保護の対策も同時に行われています。

1-4.クラウドバンクの営業者報酬は0.1%

ソーシャルレンディングでは、融資の際にソーシャルレンディングの運営会社の利益に相当する営業者報酬を数%分設定します。しかし、このプロジェクトの案件では、クラウドバンク側は利潤の追求を行わないため、設定された営業者報酬はわずか0.1%となっています。

クラウドバンクにとって大きな利益が見込めず、利益を追求したプロジェクトではないことから、社会への高い貢献度を目指していることが伺えます。

2.投資家から見たコロナ支援プロジェクトのメリット

このコロナ支援プロジェクトは、投資家にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

2-1.社会貢献が可能なプロジェクトである

新型コロナウイルス支援プロジェクトの大きな意義に、社会貢献ができることが挙げられます。資金繰りに窮する企業へ向けて、「資金繰りに困っている人に、救いの手を差し伸べてあげたい」と考える投資家の方も少なくないでしょう。

クラウドバンクを通じて倒産の危機に瀕する企業を救え、社会に貢献できることは、金銭的な利益ではないメリットがあると言えます。

2-2.クラウドバンクが劣後出資しているので、一定の資産保全性がある

利益追求したプロジェクトではない一方で、投資としての妥当性も用意されています。

3~4%の金利での融資、クラウドバンクの営業者報酬は金利にして0.1%であるため、投資家に対して3%前後の利回りが提供される見込みです。社会に貢献しながら、投資家は利益を得られる可能性があります。

また、先にも述べたように、クラウドバンクが融資額の2割分を劣後出資します。融資先から満額で返済されない時でも、投資家が損失を負うリスクを低減している点はメリットです。

3.コロナ支援プロジェクトに投資する時の注意点

しかし、それでも、今回のプロジェクトの融資先は、資金繰りに窮する企業であることが前提であり、返済が行われない可能性を想定しておく必要があるでしょう。

投資に際し、どういった点に注意を払うべきか見て行きましょう。

3-1.融資先からの返済リスクは高い

第一に、返済リスクの高さをしっかりと確認しておきましょう。

クラウドバンクは、サイト内にプロジェクトに関する以下の見解を記載しています。

本邦政府の緊急対応策等による融資制度を活用する予定であり、その融資制度を活用できる認定を受けている。しかし、行政・金融機関等の処理時間等の問題で実際に融資を受けられるまでには時間を要するため、クラウドファンディングを活用したファイナンス支援を早期に受けることができれば足下の資金需要に対応することができ、金融機関等からの融資にて借り換え、返済することが見込まれる。

不動産等を有しており、これを担保に新型コロナウイルス感染症拡大等の影響で生じた資金繰りの対応の為にファイナンスを受けたいが、金融機関等の混雑等により決済に時間を要する可能性が高いことからクラウドファンディングを活用したファイナンス支援を早期に受けたい。一定期間で事業等が改善されれば返済が可能であり、万が一の場合であっても担保物件を処分することで返済することが可能と見込まれる。

*クラウドバンク「新型コロナウイルスに関する特別支援プログラムの実施ご案内」より引用

融資が受けられるのは、公的な機関からの資金調達の目処(めど)が立っていて、一時的なつなぎ融資を目的にソーシャルレンディングで資金の募集を行う会社、もしくは不動産を有して担保力がある会社などに限定しています。

資金の調達ができれば、滞りなく返済できる見込みがあるものと推測できます。しかし、他方では、情勢の混乱によるタイムロスで資金繰りができなくなり、倒産してしまう可能性のある企業を救済する面もあります。

実際に投資を行う際は貸倒れリスクについて事前によく理解し、余裕資金を活用するようにしましょう。

3-2.劣後出資は万全の保全対策ではない

クラウドバンクが20%の劣後出資を行うからと言って、資産の保全対策が万全であるわけではありません。

融資金の全額が仕入れ費用の支払いや家賃に消えてしまい、その後も売上再開の目処が立たないなど、返済できない状態に陥る可能性も想定しておく必要があるでしょう。

また、クラウドバンクの出資分に当たる2割の融資額をはるかに超えるだけの大きな損失が発生する可能性もあります。

クラウドバンクの劣後出資は投資家を保護し、リスクを低減する仕組みですが、元本が保証されているわけではない点には注意しましょう。

3-3.融資先の財務状況や事業内容の見極めが重要

クラウドバンクはプロジェクトにおける融資の条件について、投資家のリスク低減のために出資先企業に一定の基準を設け、融資を実施します。

返済の目処が立たないような企業に対し、融資を行わないことを明記しています。

なお、本プログラムには審査があり、本プログラムに趣旨に沿う資金需要であることに加え、ファイナンスによる一時的なご支援の結果、返済することが可能であるか検討の上ファイナンスをご提供させて頂きます。審査の結果、申込みいただいた企業さまのご希望に沿えないことがございますので、ご理解頂けますようお願いいたします。

*クラウドバンク「新型コロナウイルスに関する特別支援プログラムの実施ご案内」より引用

2020年5月上旬の時点ではまだ、新型コロナウイルス関連のプロジェクトの案件は募集されていません。募集が開始されたら、融資先の情報をしっかりと確認してから投資するかどうかを判断することが大切です。

まとめ

2020年5月現在、新型コロナウイルスの今後の影響は未知数であると言えます。緊急事態宣言が解除された後に、飲食店や宿泊業の売上がすぐに回復するのか、しばらくは客数減、売上減が続くのか、先行きが不明瞭な状況です。

そういった厳しい状況にある会社に対して少しでも力になりたいと思われる方は、クラウドバンクのプロジェクトへの投資を検討してみると良いでしょう。ただし、投資する際はリスクをしっかりと把握した上で、どの程度のリスクまで許容できるのか、見当をつけてから投資することが重要です。

今後クラウドバンクで公開される情報の確認や、融資先の企業の精査を怠らないようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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