クラウドクレジット主催 ソーシャルレンディング3社による合同セミナーレポート

2020年1月31日、クラウドクレジットは、他のソーシャルレンディング2社との合同セミナーを開催しました。ここ数年間においてソーシャルレンディング会社による合同セミナーは開催されておらず、非常に珍しいイベントだと言えます。

ここでは合同セミナーの内容をレポートします。

目次

  1. ソーシャルレンディング合同セミナー開催の内容
  2. SBIソーシャルレンディングが考えるリスクとリターン
  3. オーナーズブックが考えるリスクとリターン
  4. クラウドクレジットが考えるリスクとリターン
  5. 質疑応答
  6. まとめ

1. ソーシャルレンディング合同セミナー開催の内容

イベント開催の概要は以下のとおりです。

ソーシャルレンディング合同セミナーの概要

イベント名 【新春特別企画】<大手3社>貸付型クラウドファンディングのリスクとリターン
開催日時 2020年1月31日(金)19時00分~20時50分
会場 FinGATE KAYABA
参加会社 SBIソーシャルレンディング株式会社、ロードスターキャピタル株式会社、クラウドクレジット株式会社
開催日時 2020年1月31日(金)19時00分~20時50分
登壇者 SBIソーシャルレンディング取締役:渡部一貴氏
ロードスターキャピタル代表取締役社長:岩野達志氏
クラウドクレジット代表取締役社長:杉山智行氏

この合同セミナーでは、ソーシャルレンディング投資にあたって投資家が注目する「リスク」と「リターン」をテーマに、各社の見解が示されました。セミナーは、SBIソーシャルレンディングオーナーズブック、そしてクラウドクレジットの順に進みました。

2.SBIソーシャルレンディングが考えるリスクとリターン

一番手としてセミナーに登壇したのは、SBIソーシャルレンディング取締役の渡部一貴氏。SBIソーシャルレンディングが考える「ソーシャルレンディングのリスク管理」についてですが、ポイントは「融資先の事業が成功するかどうか」でした。

SBIソーシャルレンディングは2020年2月時点で、累計1,250億円以上の募集実績があります。2020年2月時点で国内で営業しているソーシャルレンディング会社でもトップに立つ数字です。

過去の募集では数回ほど貸し倒れを発生させましたが、いずれの案件も投資家の損害額は軽微でした。そして、ほぼ全ての案件で投資家に損失を負わせず、利益を提供しています。なぜ、そのような結果を出せているのでしょうか。それは案件の審査において「収益が発生する事業かどうかを見極めている」ということが答えでした。

SBIソーシャルレンディングでは融資の保証として担保を設定していますが、担保はあくまでもリスク管理の一環に過ぎないとのことです。SBIソーシャルレンディングが融資にあたって最も重視すること、すなわち融資のスタンスは、あくまでも「事業の可能性」に尽きるのです。

また、グループ内に貸し付けを行わず、資本関係のない外部企業への融資に限定することで、融資に伴うリスクを軽減しているとのことでした。

銀行が融資を行わない案件であっても、事業が成功してリターンを得られるのであれば、積極的に融資していくのがSBIソーシャルレンディングのリスク管理だと言えます。

3.オーナーズブックが考えるリスクとリターン

次に、運営元である株式会社ロードスターキャピタル代表取締役社長岩野達志氏が、OwnersBookの代表として登壇しました。OwnersBookは不動産案件を専門に取り扱うソーシャルレンディングサービスです。岩野氏が挙げたリスク管理のポイントは2つでした。

  • 自社が信用に値する企業になり、信用のおける企業と取引すること。
  • 担保となる不動産の価値をしっかりと見定めること。

壇上で岩野氏は、信用のおける会社としっかりと取引できるように、自社の株式上場を当初から目指していたことを打ち明けました。

「上場することで取引先から信頼され、良い案件が生まれ、投資家からお金が集まる。このような好循環を生み出してきた」とのことで、会社として信頼されるようになって様々な取引先に関われるようになり、その積み重ねによって様々なリスクが生まれにくくなっているということです。

そして同時に、オーナーズブックを運営するロードスターキャピタルは不動産会社である以上、担保となる不動産の資産価値を非常に重視するとのことでした。この点においては、SBIソーシャルレンディングとは異なる手法でリスクを管理していると言えます。

さらに岩野氏は、「ロードスターキャピタルは300億円の資産価値を持つ不動産を有し、家賃収入で70人の社員をきちんと雇えている」ことを同社の強みとして挙げました。

会社が存続し続けること、案件を供給し続けること、そして投資家にしっかりとリターンを提供すること。このサイクルが、ソーシャルレンディング事業を続けていく上でのオーナーズブックのリスク管理だと言えます。

4.クラウドクレジットが考えるリスクとリターン

最後に登壇したのは、この合同セミナーの発起人であるクラウドクレジットの代表取締役社長、杉山智行氏です。クラウドクレジットは、海外案件を専門に取り扱うソーシャルレンディング会社です。他の2社に比べ、リスクが高い案件を取り扱っています。

まず、運営中の案件において、収益の減少や利益ではなく投資家の損失が発生している案件が、2020年1月時点で7%分あることを伝えました。リスクの高い案件を扱う一方で、リスクに関する情報提供をきちんと行っている点は、クラウドクレジットの特徴だと言えます。

次にクラウドクレジットは、リスク管理対策として真っ先に内部人員の強化を挙げました。クラウドクレジットは70名ほどの社員を雇っていますが、その中でも内部と外部の監査役、案件の調査を行う人間などを増員しているとのことでした。

過去にはカメルーンの案件などで、多額の損失が発生しました。これに関し杉山氏は、「そのようなことが再発しないように、案件の供給体制および信頼できる案件を投資家に提供できるようにしたい」と言及しました。

同時にクラウドクレジットは、投資家のリスク管理について訴えています。今回は分散投資を行うということに関して言及されました。「20~30案件に分散して投資してほしい」という考えは、杉山社長がブログなどで頻繁にアピールしているリスク対策です。

分散投資を容易にするために、クラウドクレジットは2020年1月からファンドパッケージ案件の売り出しを開始しました。これは複数の案件を統合した新手法の投資で、1案件で複数の案件に投資できるリスク分散に優れた投資商品だと言えます。分散投資が面倒で敬遠する人でも、ファンドパッケージの案件に投資するだけで複数の案件に投資したことになるのです。

結びとして杉山氏は「自社のリスク管理は言うまでもないが、投資家にもリスクを管理してほしい」と再度強調しました。

5.質疑応答

セミナーの最後に質疑応答が行われました。その中でも注目を集めた質疑応答をピックアップします。

Q:自社の案件にソーシャルレンディング会社の人間が投資することはあるのか

オーナーズブック回答:
融資先を公開できなかった時期は投資できなかったが、現在は融資先の企業名を公開するようになった。これはつまり、ソーシャルレンディング会社の人間と、投資家の情報格差がなくなったことを意味する。ソーシャルレンディング会社の人間が、自社の案件に投資することに問題はなくなったと捉えている。

Q:どのような方法で案件を探しているのか

SBIソーシャルレンディング回答:
自社で営業を掛けないわけではないが、提携している株式会社玄海インベストメントアドバイザーからの斡旋案件が多い。

クラウドクレジット回答:
お金を貸してくれという申し込みもあるが、それよりも自分たちで見つけてきた融資先の方が、信用できることが多い。

Q:ロードスターキャピタルはソーシャルレンディング事業であまり利益が出ていないが、なぜ続けるのか

オーナーズブック回答:
銀行以外の資金調達手段を世間に広く知らしめたい。また、2019年11月には自社の不動産取得案件の募集も行った。ソーシャルレンディング事業を通じて自社で資金を調達できるようになった点は、ソーシャルレンディング事業を運営するメリットだと言える。

まとめ

ソーシャルレンディング会社の中でも大手と言える3社の合同セミナーは、ある意味でエポックメイキングな出来事だったと思います。今後のソーシャルレンディング業界がより大きな存在感を投資市場に示すために、各社が企業の垣根を越えて提携すること、すなわち、個ではなく集団となって世間の関心を集めることは有益でしょう。

ソーシャルレンディングの業界団体などができれば、事業の存在意義を社会に対して大きくアピールできるでしょう。そうなれば、ソーシャルレンディングをより多くの人に知ってもらうことができ、市場が今以上に拡大するのではないでしょうか。

SBIソーシャルレンディング

SBI証券など金融サービス全般を取り扱う総合金融グループ・SBIグループのソーシャルレンディングサービスです。担保力を重視した貸付額の設定と借手ごとの厳格な審査を行った企業に融資を行うファンドなどを扱っています。また、投資額1万円からの運用が可能で、登録・販売・分配金の送金手数料が無料のため、初心者の投資家でも取り組みやすいサービスです。


オーナーズブック(OwnersBook)

運営会社のロードスターキャピタルは東証マザーズの上場企業で、代表はゴールドマン・サックスグループで勤務経験があり、ボードメンバーも金融業界出身多数ということで金融のプロが多数在籍している会社です。オーナーズブックの投資案件では、返済金額をカバーできる可能性が高い不動産を担保に設定することで、返済の安全性を高める取り組みをしています。また、オーナーズブックに掲載されている全ての案件は、不動産鑑定士を含む不動産投資の専門家が精査したものとなっています。シニアローンとしての貸付やエクイティ投資等まで用意しており、個々の投資家のリスク許容度に応じて不動産の投資タイプを選択することができます。


クラウドクレジット

クラウドクレジットクラウドクレジットは、海外投資案件に特化したソーシャルレンディングサービスで、高度経済成長のステージにあり資金需要も旺盛な国のベンチャー事業者に対して、ソーシャルレンディングの仕組みを使い、日本の余剰資金をそれらの国々に供給することにより高利回りの実現を目指しています。投資額は1万円から、利回りは5.7%~11.9%(2020年5月時点)で、外貨建て案件にも投資可能です。

単なる貸付けの事業に留まらず、社会的な課題解決を行う企業への融資も積極的に行うことで、経済的なリターンだけでなく社会的なリターンも追求できる「社会インパクト投資」にも取り組んでいます。

伊藤忠商事が株主で、代表はSMBC証券出身、ロイズ銀行を経て会社を設立しており、ボードメンバーにも金融出身のプロフェッショナルが多数在籍しています。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチームは、ソーシャルレンディングや金融知識が豊富なメンバーがソーシャルレンディングの基礎知識から投資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」