コロナ禍による日本株への影響は?株価推移や業界動向、今後の注目ポイントも

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コロナ禍により、日本だけでなく世界経済は大きな痛手を受けました。しかし、株価は今年になって上値追いの展開となっています。この記事では、コロナ禍の中での株高の要因と、今後どのような点に注目すればいいのかについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2021年11月25日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 2020年3月のコロナショック
  2. コロナ禍の中で株高が進む
  3. コロナ禍で恩恵を受けた業界と打撃を受けた業界
  4. ワクチン普及で株価はどうなる
  5. まとめ

1.2020年3月のコロナショック

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済は危機に直面しました。人と人が会うコミュニケーションの制限や、感染拡大を抑制するために渡航制限、外出制限が実施され、人やモノの交流が制限されたからです。そして、生産活動や物流が止まり、物資の不足も生じました。供給面からの経済停滞が発生したのです。

また、需給面からの経済停滞も発生しました。外出自粛によって宿泊や観光など対面でのサービス需要が縮小したからです。コロナショックは需要と供給の両面からショックが発生し、主に供給面に影響を及ぼした東日本大震災や、需要面に影響を与えた世界金融危機など、過去の経済危機とはまったく異なった種類の経済ショックとなったのです。

そして、新型コロナウイルスの感染拡大は、株式市場にも大きな影響を与えました。2020年2月に日経平均株価は24,000円近くまで上昇していましたが、3月には16,000円台前半まで下落したのです。

2.コロナ禍の中で株高が進む

ただ、日本を含む世界の株式市場は2020年4月以降に戻り基調となりました。過去に例がない規模の経済対策と金融緩和が行われたからです。また、コロナ禍では観光や飲食など対人接触型ビジネスには大きなダメージが生じましたが、巣ごもり需要が高まったことで、ネットビジネスに関わる企業には追い風になりました。

また、コロナ禍で株式投資を始める個人投資家が増えたことも、株高の要因です。米国では巣ごもり傾向が強まる中、若年層を中心に株式投資をする人が急増。オプションを含めたリスクの高い株式取引をする人が増えました。

そして、日本でも個人投資家の数は増えています。東京証券取引所の調べによると、2020年度の個人株主数は延べ5,981万人と前年より300万人増え、過去最多となりました。けん引しているのは、「ミレニアル世代」と呼ばれる若年層です。

日本証券業界の集計によると、30歳未満のインターネット取引口座数は、2020年度で45%も増えました。コロナ禍で株価は一時大きく下がりましたが、その後急上昇していることから、株式投資にこれまで踏み出せなかった層にも関心が広がっているのです。

3.コロナ禍で恩恵を受けた業界と打撃を受けた業界

飲食や旅行などコロナ禍で大きなダメージを受けた業界もありますが、国内でも恩恵を受けている業界もあります。医療用医薬品の需要も高まりましたが、それ以外にも外出自粛で通信やIT業界の需要も大きく高まったのです。「ステイホーム」やテレワークの推進により、インターネットサービスの利用も増えています。

「巣ごもり需要」銘柄として業績が上がったのが、「任天堂」です。2020年3月のコロナショック時に、任天堂の株価は31,880円まで下落しましたが、その後上昇。2021年2月19日には69,830円の高値をつけました。ゲーム機の「ニンテンドー・スイッチ・ライト」や、ゲームソフトの「あつまれどうぶつの森」が爆発的に売れたからです。

ただコロナで打撃を受けた業界は、恩恵を受けた業界よりも多くなっています。まず移動制限によって観光やインバウンド需要が消滅しました。そしてテレワークの普及によって、陸運や空運なども厳しい状況です。

レジャー系の業界は人を集められず、苦しくなりました。飲食業も時短営業や休業要請によって、宅配やテイクアウト以外は壊滅的な状況となっています。

4.ワクチン普及で株価はどうなる

今年前半はワクチン接種が進んでいなかった日本ですが、日本の2回目の接種率は11月に75.5%となり、G7諸国の中でトップとなっています。ワクチン接種率の上昇による経済正常化を織り込むマーケットの動きとしては、グロース株(成長株)よりもバリュー株(割安株)が優位になる傾向があります。

新型コロナウイルス対策による大規模な金融緩和によって、これまではIT・ハイテク株などのグロース株が買われていましたが、経済正常化によって長期金利が上昇すると、相対的な割高感が意識されやすいグロース株は敬遠される動きとなるからです。

日経平均株価は9月14日に30,795.78円をつけ、年初来高値を更新しました。これは取引時間中通して1990年8月2日以来、約31年ぶりの高値水準です。日本株は欧米市場に比べて出遅れ感が強かったものの、新型コロナワクチンの普及によって経済正常化を折り込み、堅調な地合いになっているのです。

まとめ

コロナ禍によって、業績が大幅に悪化した企業が増えた一方、巣ごもり需要やテレワークの普及などで伸びている業界もあります。また、ワクチン普及により経済正常化への期待が高まっています。今後の企業業績の伸びが注目されます。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011