コロナショック、ソーシャルレンディングへの影響は?今後の動向も

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新型コロナウイルスの影響は、日本を含む各国の経済活動に大きな影響を与えました。

コロナショックによる株価の下落などで損失を被った人も少なくありません。そんな中、ソーシャルレンディングは投資家にどのような影響を与えたのでしょうか。

現在、ソーシャルレンディング会社が運用する案件の状況などを基に確認していきましょう。

目次

  1. 日本におけるコロナショックの影響
    1-1.日経平均株価は1ヶ月で30%下落
    1-2.東証REIT指数は1ヶ月で50%下落
    1-3.円相場は5%前後の変動
    1-4.円相場はリーマン・ショック時に大きく下落した
  2. コロナショック下におけるソーシャルレンディング業界への影響は?
    2-1.ソーシャルレンディングの募集金額はやや減少
    2-2.クラウドクレジットやクラウドバンクで返済期日の延期が発生
    2-3.他のソーシャルレンディング会社では目立った返済の遅れや貸し倒れはなし
  3. コロナショックはソーシャルレンディングに影響を与えるのか
    3-1.案件の組成数への影響が考えられる
    3-2.利回りの低下も考えられる

  4. まとめ

1.日本におけるコロナショックの影響

まずは日本の経済におけるコロナショックの影響を見ていきましょう。

1-1.日経平均株価は1ヶ月で30%下落

日経平均株価は、2月21日から3月19日の約一ヶ月間で約30%の下落を見せました。

出典:Google(2020年1月1日~6月30日)

その後は割安感を背景に投資家の買い戻しが進んでいますが、6月末時点では暴落前の水準に完全には戻っていません。日経平均株価は一時23,000円台に回復しましたが、その後は小康状態が続いています。

1-2.東証REIT指数は1ヶ月で50%下落

株式市場以上に大きな下落を見せたのは REIT です。

REIT相場の推移を示す東証 REIT 指数を見ると、2月21日から3月19日までの約一ヶ月間で約50%値下がりしました。

出典:Google(2020年1月1日~6月30日)

東証 REIT 指数は、回復傾向にある日経平均株価と比べて暴落前の70%程度しか回復していません。株式よりも下落幅が大きく、上値の天井が高いため、なかなか相場の上昇が見込めない状況となっています。

1-3.円相場は10%前後の変動

次に為替相場について見て行きましょう。

ドル・円相場のデータを見ると、コロナショック前の最高値が約112円、その後は一時的に103円となったものの、為替相場は6月末時点で105円から110円の間で安定しています。

円相場はリーマン・ショック時に大きく下落した

日本円の為替相場は、2007年のサブプライムローンおよび2008年のリーマン・ショックの破綻時に大きな変動を見せています。

特に、ドル・円は大幅に円高が進み、2007年から2011年にかけては長期的に円高に進み、1ドル120円から最大で75円に高騰して最高値をつけました。つまり、為替相場が約40%も動いたことになります。

コロナショックは全世界に甚大な被害をもたらしているものの、ドル・円の為替相場はリーマン・ショック時ほどの大きな変動は見られません。これは米国が不況の発端となったサブプライムローンやリーマン・ショックと比較して、コロナショックは世界中の経済へ同時期に影響を与えていることによると考えられます。

為替相場は信用性の高い通貨が高値を付ける傾向にあります。市況の変動時において影響を受ける相場の1つであるため、今後も注目しておきたい指標の一つです。

2.コロナショック下におけるソーシャルレンディング業界への影響は?

コロナショックがソーシャルレンディング業界に与えた影響について確認してみましょう。

2-1.ソーシャルレンディングの募集金額はやや減少

ソーシャルレンディング各社の募集額を見ると、2020年3月、4月、5月の各月においてブレが見られました。全社の傾向として3月から4月は大幅に落ち込んだものの、4月から5月は緩やかに回復しています。

下記のグラフは「LENDEX」の募集額を示したものです。


出典:LENDEX blog「当社LENDEXの令和元年(2019年度)12月期決算に関するご報告

コロナショック前の2020年2月及び3月前半までの募集額は、募集金額は大きく伸びていますが、4月は3月のおよそ半分に落ち込み、その後5月にはやや募集額を戻しています。

また、他のソーシャルレンディング会社においても、同様の傾向が見られています。

コロナショックが顕在化した2020年3月下旬に募集が行われた SBI ソーシャルレンディングの太陽光発電施設案件では、募集額が満額に達しませんでした。その後、5月下旬に同じく太陽光発電所向けの融資案件の募集が行われ、こちらは満額を達成しています。

2-2.海外案件のソーシャルレンディングでは返済期日の延期が発生

海外案件を専門に取り扱うクラウドクレジットではいくつかの案件で返済の遅延や損失が発生しました。

しかし、クラウドクレジットは途上国への融資案件が多く、従来から返済の遅延や損失の発生率が5%前後に達していました。従って、コロナショックにより返済遅延の確率が著しく上がったわけではないと見られます。

一方で、国内第二位の募集実績を誇るクラウドバンクでは、カリフォルニア不動産ローンファンドで返済の期限が延長されました。元々定めた運用期間終了後の返済が行われず、返済は期日の2ヶ月後になっています。

クラウドバンクの返済期日の延期は、日本と比較して海外のコロナショックの影響が甚大であることから、海外の案件ならではのリスクが顕在化したとも考えられます。

2-3.他のソーシャルレンディング会社では目立った返済の遅れや貸し倒れはなし

SBI ソーシャルレンディング」や「LENDEX」「Funds」といったソーシャルレンディングでは、コロナショック後の2020年2月~5月にかけて返済の遅延や貸し倒れは発生していません。

募集金額が減少するなどの影響は見られたものの、すでに投資を開始されていた投資家への影響は少なかったとみることが出来ます。

3.コロナショックはソーシャルレンディングに影響を与えるのか

それでは、コロナショックは今後の日本のソーシャルレンディング市場にどれほどの影響を与えるのでしょうか。考察してみましょう。

3-1.案件の組成数や募集金額への影響が考えられる

最初に考えられるのが、ソーシャルレンディング案件の組成数や募集金額への影響です。

ソーシャルレンディングは融資時の金利を投資家に配当します。そのため、資金を借りる事業者がいなければ案件を組成できません。

ソーシャルレンディングの貸付金利は5%から10%と高く、銀行などの金融機関から資金を調達するよりも返済リスクは高いと言えます。ソーシャルレンディングで資金を調達する事業者の数は、不況下において一時的に減少することが考えられます。

また、ソーシャルレンディング会社も、資金繰りが悪化してリスクの高い事業者への融資の際は厳しく審査を行います。ソーシャルレンディング会社側の審査や融資を受ける事業者の都合次第で、案件の組成数が減ることが考えられます。

3-2.案件ごとの利回りの低下が考えられる

次に、ソーシャルレンディングの投資家に配当される利回りが低下する可能性について考えてみましょう。

仮に、従来は年利8%で融資を受けていて金利の支払いが厳しかったものの、年利が6%に下がるのであれば借り入れを検討する事業者がいた場合、案件を組成するときに投資家への配当金利が減少することになります。

クラウドバンクが発表したコロナショックで打撃を受けた事業者への支援ファンドでは、貸付金利を3%から4%に抑えています。さらには、クラウドバンクの営業者報酬を0.1%に抑えることで、コロナショックで利益を減らした事業者が低リスクで融資を受けられるようにしています。

今後、このような案件が増えることで投資家にとって利回りが低下するデメリットはあります。しかし、資金調達に窮した事業者への支援や社会貢献を願う人にとって、収入と社会貢献の両面で意義が得られる点にメリットがあるとも言えます。

まとめ

2020年7月時点におけるソーシャルレンディング業界は、コロナショックがもたらす大きな影響を受けておらず、順調に配当や返済が続いています。

ただし、案件の組成や募集額、一部の業者による返済の遅延など、全く影響がないわけでは有りません。ソーシャルレンディング投資自体は貸付金利に基づく配当であり、貸付先の事業者が破綻してしまう事業者リスクが高い状況であると考えられます。

不況下にあっても安定した利益を上げるには、景気の影響を受けにくい案件への投資、複数のソーシャルレンディングサイトに分散して投資することが有効です。今後、ソーシャルレンディングでの投資を検討している方は投資資金を集中させず、分散投資を検討してみましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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