行政処分を受けたソーシャルレンディング会社に共通していた点とは?

2017年・2018年にみんなのクレジット、そしてラッキーバンクというソーシャルレンディング会社が金融庁から行政処分を受けました。この2社は行政処分を受けた後、案件の募集を停止しており、その後募集再開の見込みが2018年5月時点で立っていません。

なぜこの2社は企業経営に関わるような重大な行政処分を受けたのでしょうか?そして、投資家として今後そのようなリスクを負わないためにはどうしたらいいのでしょうか?今回は、この2点について考えてみたいと思います。

  1. 行政処分を受けたラッキーバンクとみんなのクレジットの共通点は?
    1. 案件の利回りが非常に高かった
    2. 融資先の大半が自社の関連会社だった
  2. 行政処分の内容を受けて考えるリスク管理とは
    1. 1社にのみ融資をしている会社には注意をする
    2. 高すぎる利回りは返済リスクにつながる可能性も
  3. ソーシャルレンディングという投資そのもののリスクを知る
    1. ソーシャルレンディングでは融資先は明らかにされない
    2. 情報開示の姿勢にソーシャルレンディング会社別に差がある
  4. まとめ

1 行政処分を受けたラッキーバンクとみんなのクレジットの共通点は?

これまでソーシャルレンディング関係の会社で行政処分を受けた会社は、みんなのクレジット、ラッキーバンク、そしてクラウドバンクの3社です。クラウドバンクは営業停止処分を受けましたがその後案件の募集を再開しており、現在で300億円以上の募集実績を持つ会社となっています。

しかしみんなのクレジットとラッキーバンクは行政処分を受けた後、みんなのクレジットは現在でもほぼ営業停止状態。ラッキーバンクは営業停止にはなっていませんが、案件の募集は再開できていない状態です。なぜラッキーバンクとみんなのクレジットはこのような状態に追い込まれてしまったのでしょうか。まずその共通点を見ていきましょう。

1-1 案件の利回りが非常に高かった

ラッキーバンクとみんなのクレジット、この2社に共通していたのは案件の利回りが非常に高かったという点です。不動産担保あり案件の平均利回りはおおよそ5%~7%程度となっていますが、ラッキーバンクは不動産担保を設定しながらも9%や10%と言う業界水準を上回る利回りを投資家に提供していました。

みんなのクレジットも最大で12%という非常に高い利回りで案件を募集しており、キャッシュバックキャンペーンも積極的に打つなど、ラッキーバンク以上の高い利回りを提示していました。

1-2 融資先の大半が自社の関連会社だった

また行政処分を受けた内容の中に、ラッキーバンクは「親族が経営する会社への融資」、みんなのクレジットも「グループ会社への融資が大半を占める」とありました。つまり、ソーシャルレンディング会社と非常に関係性の強い会社への融資が、運用される投資案件の大半を占めていたのです。

これはソーシャルレンディング会社の親会社などが、ソーシャルレンディング会社を使って投資家から資金を調達した形」になっています。ソーシャルレンディングでは融資先の名前を明示する義務はありませんが、融資先情報の開示に関しては」それぞれの会社に委ねられています。そのためほぼ1社のみの融資も可能なのです。

2 行政処分の内容を受けて考えるリスク管理とは

ではこのような2社の共通点を見て、ソーシャルレンディングに投資する時にどのようなリスク対策を考えていけば良いのでしょうか。

2-1 1社にのみ融資をしている会社には注意をする

行政処分の内容で2社に共通していたのがほぼ1社への融資であった点です。融資先が限られていると、その融資先の会社が倒産した場合にソーシャルレンディング会社も連鎖倒産しかねません。融資先からの返済が行われなくなると、ソーシャルレンディング会社も投資家に分配金の振込ができませんし、償還もできません。また自社の利益もなくなります。

しかし複数の融資先があれば、仮にそのうちの一社が倒産したとしても、自社も倒産するほどの深刻なダメージは発生しません。

なお、自社の関連会社や1社のみに融資する場合であっても、比較的ローリスクなケースもあります。たとえば、LCレンディングは最初から上場企業であるLCホールディングスグループの1社として、グループ内の会社に融資すると明示しています。上場企業はコンプライアンス(法令遵守)が整っており、株式市場や銀行から資金を調達することもできますので、上記2社のような私的な資金融通や資金不足による自転車操業のような状態にはなりにくいと考えられます。

2-2 高すぎる利回りは返済リスクにつながる可能性も

利回りの高さも2社に共通していました。利回りが高いと投資家の利益が増えると考えがちですが、融資を受ける方にとっては負担です。

特に今はマイナス金利の影響で、全体的な金利水準は低下傾向です。そういった状況下で10%以上の金利で融資を受けるということは事業内容がハイリスクである可能性があります。

これまでは貸し倒れがなかったからと言って、その実績を信用し過ぎるというのも危険です。高い金利での融資は、低い金利での融資に比べて貸し倒れが起こる可能性は高い、と想定しておいたほうが良いでしょう。

3 ソーシャルレンディングという投資そのもののリスクを知る

また行政処分を受けたこの2社を通して、ソーシャルレンディングそのもののリスクをよく知っておく必要があります。

3-1 ソーシャルレンディングでは融資先は明らかにされない

先に取り上げたように、この2社ではほぼ一つの会社にしか融資していなかったという点が共通しています。しかしこれはソーシャルレンディングという投資手法が持つ問題であり、この2社に限らず、他の会社でもこのような問題が起こる可能性は存在しています。

融資先をどれくらい分散しているのかそれはソーシャルレンディング会社の案件詳細に記載されている融資先の事業内容、イニシャル、本社の所在地などの情報から自分で読み取るしかありません。融資先が明らかにされていないだけに、投資先を選ぶときにはじっくりと案件の内容を読み込みましょう。

融資先に関するリスク情報がわかりやすい例として、不動産系のソーシャルレンディングサービス「オーナーズブック」では、投資案件ごとに「担保物件のロケーション」「稼働率」「貸付先の信用力」の評価を表示しているため、投資案件のリスクが分かりやすくなっています。

オーナーズブックの投資案件リスク表示

このように、自分が投資する案件のリスクの内容とリスク度をしっかりと認識をしてから投資を勧めていくと良いでしょう。

3-2 ソーシャルレンディング会社毎に情報開示の差がある

また案件に関して、どの程度情報開示をしているか。これもソーシャルレンディング各社によって違っています。たとえば、業界最大手のmaneoというソーシャルレンディングサービスでは、融資の実際の金利や営業者利益の数字が明示されています。

オーナーズブックは東証の上場企業ロードスターキャピタルが運営していますので、会社の決算情報やソーシャルレンディング事業の情報開示はもちろん、投資家向けの「よくある質問」に130を超える回答が用意されているなど、情報開示についても積極的な姿勢を見せています。このように、会社によって投資家に対して情報の開示内容や情報の開示姿勢が異なっています。

またラッキーバンクでは、担保の不動産評価額を自社独自の方法で算出していた事が問題になりました。この点については、前述のmaneoも課題を抱えているところで、担保評価の方法はサイト上で開示されていません。そういった中で、担保評価の方法を明示しているのがレンデックスという会社で、大手不動産会社である東急リバブルに査定を依頼することで不動産担保評価額の信頼性を高めています。

投資家として想定外のリスクを回避したいのであれば、できるだけ自分が知りたい情報を公開している会社、質問に応じてくれる会社を基準に選んでいくことも大切です。

まとめ

ソーシャルレンディング業界はまだ日本で生まれてから10年しか経っておらず、一般的な投資手法として定着してきたのもここ2、3年です。それだけに法整備が追いついていない側面もあります。

ソーシャルレンディング会社を選ぶにあたっては、利回りの高さだけに着目するのではなく、投資家に対して真摯な姿勢で情報開示を行う会社を選ぶようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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