債券投資信託のメリット・デメリットは?投信の種類や特徴も

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これから投資信託を始めるにあたって、債券投資信託の仕組みや特徴も把握しておくことは必要です。しかし、運用方針や対象地域などでそれぞれの特徴が変わるため、初めて触れる方にとっては分かりにくい部分もあります。

また、債券投資信託は必ずしも低リスクではありませんし、ファンドによって運用実績も異なります。そこで今回は、債券投資信託の特徴や種類をはじめ、メリット・デメリットについても解説します。

目次

  1. 債券投資信託の特徴と種類
    1-1.債券投資信託は債券のみを組み入れた投資信託
    1-2.組み入れ比率によって公社債投資信託に区分される
    1-3.債券投資信託の種類は地域や投資方針などによって分かれている
    1-4.債券投資信託はベンチマークを基準に運用
  2. 債券投資信託のメリット
    2-1.1つのファンドで複数の債券へ投資できる
    2-2.株式型やアクティブファンドより値動きは緩やかな傾向
    2-3.長期積立投資向き
  3. 債券投資信託のデメリット
    3-1.債券の中には値動きの大きいファンドも存在
    3-2.金利上昇や信用低下による下落リスク
    3-3.海外債券は為替リスクが発生
  4. まとめ

1.債券投資信託の特徴と種類

債券投資信託は投資信託の1つで、文字通り「債券」を取り扱っています。また、債券のみで構成されているか、株式なども組み入れられているかどうかで種類や規約・名称も変わるので正確に知っておきましょう。

1-1.債券投資信託は債券を組み入れた投資信託

債券投資信託とは、社債や国債といった複数の債券へ投資を行うファンドのことです。一般的な債券投資との違いは、ファンドを運用している運用会社が投資方針を決めたり複数の債券を運用したりしている点です。

ちなみに債券は有価証券(財産の価値や権利を証明するもの)の1つで、国や企業などが投資家から資金調達を行う際に発行しているものです。

債券投資信託への投資には、まず投資信託を取り扱っている証券会社へ総合口座の開設手続きを行い、入金します。そして、数多く販売されているファンドの中から、債券投資信託を探し、購入注文をするという流れになります。大まかな購入の流れは、他の投資信託などと共通しています。

1-2.組み入れ比率によって公社債投資信託に区分される

債券投資信託の基本を知る上で欠かせないポイントが、「公社債投資信託」の定義や特徴です。公社債投資信託とは、株式を一切組み入れない債券のみで構成されたファンドのことです。また、投資信託及び投資法人に関する法律の第13条では、以下のように定められています。

公社債投資信託(有価証券(金融商品取引法第二条第二項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利を除く。)については次に掲げるものに限り投資として運用すること(国債証券又は外国国債証券に係る金融商品取引法第二条第二十四項第五号に掲げる標準物についての同法第二十八条第八項第三号に掲げる取引を行うことを含む。)とされている証券投資信託をいう。第二十五条第二号において同じ。)

出典:e-Govウェブサイト

つまり、例えば株式も組み入れている債券投資信託や、ファンドの規約に株式も組み入れられる趣旨が記載されていると、公社債投資信託としては区分されません。

債券のみで構成された投資信託から選びたい場合は、目論見書(規約や運用方針などを詳細に記載した書類)から公社債投資信託かどうか確認してみましょう。

1-3.債券投資信託の種類は地域や投資方針などによって分かれている

債券投資信託は、債券が発行されている地域や発行元などによって種類が分かれています。主な種類と概要を以下に紹介します。

  • 国内債券型:国内で発行された債券を組み入れたファンド
  • 海外債券型:欧米など海外で発行されている債券を組み入れたファンド
  • 社債型:民間企業が発行した債券を組み入れたファンド
  • 公債型:国もしくは公共団体が発行した債券を組み入れたファンド
  • MMF型:短期の公社債や割引手形(CP)を組み入れたファンド(多くのファンドは2016年頃から繰り上げ償還中)
  • 長期国債ファンド:10年や20年の残存期間となっている国債を組み入れたファンド
  • 中期国債ファンド:4年前後の残存期間となっている国債を組み入れたファンド

値動きは、投資対象となる債券の種類や地域によって変わり、特に国内と海外では為替の影響に違いがあります(海外債券:米ドルやユーロ建てのため、為替の変動リスクあり)。

債券投資信託の商品名は、各法人によって異なりますが「発行元」・「商品名」・「投資対象or地域名」・「運用方針」を1文にまとめて表記している傾向です。

1-4.債券投資信託はベンチマークを基準に運用

債券投資信託の運用方針を決める要素の1つが、ベンチマークです。ベンチマークとは運用基準となる指数のことで、各投資法人によって異なるベンチマークを採用しています。

たとえば、「NOMURA-BPI総合」は代表的な指数の一つです。NOMURA-BPI総合は、国内の公社債市場を平均化させた指数で、多くの債券投資信託がベンチマークとして採用しています。

ちなみにベンチマークは、目論見書内に記載されているので購入前に確認可能です。

2.債券投資信託のメリット

債券投資信託は、積立投資ができたり少額投資も可能だったりといった点に始まり、他にもいくつかメリットがあります。

  • 分散投資ができる
  • 値動きが穏やかなファンドもある
  • 長期投資および積立投資向き

それでは債券投資信託へ投資を行う主なメリットを、3つ確認していきましょう。

2-1.1つのファンドで複数の債券へ投資できる

債券投資信託のメリットは、1つのファンドで複数の債券へ投資できる点です。いわゆる「分散投資効果」のことで、複数の長期国債や多くの公社債を投資対象としています。

また、債券投資信託は、他の投資信託と同様に1口100円から注文できるファンドが多く、少額投資から始めたい方にとってもメリットのある商品です。

2-2.株式型やアクティブファンドより値動きは緩やかな傾向

債券投資信託の値動きは、投資対象の債券や運用方針によって変わりますが、株式型などよりも比較的緩やかです。また、金利上昇で基準価額が下落し、金利下落で基準価額が上昇しますが、どちらのケースでも急激な変化は少ない傾向です。

短期的に大きな価格変動が起きるファンドを避け、少しずつ資産を構築したい方に適した投資信託といえます。ただし、全ての債券投資信託が緩やかな値動きというわけではありませんので、後述のデメリットも確認しておきましょう。

2-3.長期積立投資向き

前段でも触れましたが、債券投資信託は株式型の投資信託やブル型・ベア型などと異なり、急激な変動が起こりにくいのが特徴です。そのため、長期投資(10年・30年など)にも適しているファンドといえます。また、積立投資(例:1ヶ月や1週間に1回投資)も可能ですので、少ない金額でも5年・10年と時間をかけることで資産を増やすことができます。

特に老後資金を構築したい方や、10年や20年・30年かけて資産を作りたい方にはポートフォリオに組み入れるメリットがあります。

3.債券投資信託のデメリット

債券投資信託は、株式型やベア型・ブル型と比較して値動きが緩やかな傾向もありますが、損失リスクもあるため投資判断には注意も必要です。

  • 値動きの大きいケースもある
  • 金利上昇や信用低下リスク
  • 海外債券の為替リスク

それでは、債券投資信託のデメリットを確認していきましょう。

3-1.債券の中には値動きの大きいファンドも存在

債券投資信託の中には、値動きの大きなファンドもあるため、価格変動リスクおよびファンド選びに注意しましょう。

特に海外債券投資信託は、国内債券よりも1日あたりの価格変動(騰落率)が大きめです。特に新興国を対象とした投資信託は値動きが大きくなりがちです。また、株式型と同程度の価格変動が生じることもあるので、中長期投資やリスク回避をベースにしている方は過去のチャートや目論見書をよく確認しましょう。

国内債券投資信託は、基本的に変動率(1日あたり)は低い傾向ですが、外的要因(経済危機・パンデミックなど)によって急落・急騰することもあります。購入後は、ファンドの状況に加えて経済情報も確認し、含み益を伸ばしつつリスクにも備えましょう。

3-2.金利上昇やマイナス金利などによる下落リスク

債券投資信託の基準価額は、金利上昇によって下落するほか、発行元の信用低下でも下落につながります。

金利(長期金利)はモノが売れて、設備投資や事業拡大により資金の需要が高まった際に、景気の過熱を抑制するために上昇します。

なお、日本はマイナス金利政策を継続しているため、金利変動による国債投資信託の価格上昇は期待しづらく、一方で損失を被る可能性は高くなっています。国内債券投資信託に関しては、マイナス金利である限り利益を得るのが難しい状況です。

また、発行元の信用低下リスクについては、新興国や企業の債券において顕著になる傾向があります。新興国債はデフォルト(債務不履行)リスクが先進国と比べて高いため、利回りは高い傾向にあります。同様に社債についても、企業の財務体質などによってリスクの大小が変わり、利回りも変動します。リスクが大きいぶん、これらを対象にした債券投資信託も値動きは大きくなる傾向にあります。

3-3.海外債券は為替リスクが発生

海外債券投資信託の大きな価格変動には魅力もあるといえますが、同時に突発的な下落による損失リスクもあります。さらに海外債券投資信託は為替リスクもあるため、為替による損失・利益減少の可能性に注意が必要です。

たとえばアメリカの債券を投資対象としたファンドへ投資した場合、購入時よりも円安であれば為替差益を得られます。しかし、購入時より円高方向へ変化した場合、為替差損になります。

対策としては、為替変動リスクを織り込んだ手数料を支払う「為替ヘッジ」を選ぶことで、為替差損を被る危険性を抑えられます。ただし、同時に為替差益も抑えられるほか、ヘッジコストがかかるぶん基準価額の上昇に圧力が発生するデメリットもあるため、ファンドの状況をよく調べておくことが必要です。

海外債券投資信託は、為替相場と為替ヘッジにも注意しましょう。

まとめ

債券投資信託とは、複数の債券を投資対象とし、債券市場を指数化したものに沿って運用を行うファンドのことです。一般的には、株式型やブル型・ベア型よりも緩やかな値動きですので、中長期の運用向きです。

しかし、市場金利が上昇したりマイナス金利だったりする場合は、基準価額の下落につながります。

債券は価格変動の緩やかな傾向もありますが、必ずしもすべての債券が緩やかということではありません。突発的な事象や発行元の信用力低下などによって、急落・急騰することもあります。

投資信託を始める際は、債券型に加え株式型やインデックス型などを組み入れ、リスク分散を重視するのが大切です。また、債券投資信託を選ぶ時は、目論見書で投資対象や運用方針、過去の実績などをよく確認しましょう。

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菊地 祥

FP3級技能士、投資信託4年目、株式投資8年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託などをやさしく解説。