インターネット上で募集した資金を事業者などに貸し付ける「ソーシャルレンディング」の事業会社、ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対し、金融庁は3月14日に登録取消しの行政処分を行った。
行政処分の主な理由は、貸付債権の保全・回収に関して善管注意義務を怠り、投資家保護を図る上で不適切な対応を行ったことや、2018年3月2日に業務改善命令を履行していないと判断されたため。昨年3月の行政処分の際には、貸付先の審査について誤解を招く表現で資金を募集し、その資金を代表取締役の親族の会社に貸し付けたことや、不適切な担保評価などを行ったことなどにより業務改善命令を受けていた。
3月8日には、同じくソーシャルレンディングの事業会社であるエーアイトラスト株式会社が登録取消しの処分を受けており、業界最大手のmaneoマーケット株式会社にも投資家から11億円の損害賠償の集団訴訟が起こされるなど、ソーシャルレンディングにおける投資家保護が問われる状況となってきている。
ソーシャルレンディングは、市場が急拡大する一方で法整備が追いついていないという課題がある。現行の法律では、投資家がソーシャルレンディングの融資ファンドに投資を行うにあたり、貸付先が開示された状態では貸金業に抵触してしまうことから貸付先の情報は匿名化されており、この状況が不正の温床となってしまうリスクにつながっている。
金融庁は現在、金融商品取引法上の投資家保護と貸金業法上の借り手保護を図る観点を踏まえて、融資先の情報開示など新たな取り組みに向けて検討・措置を進めているところだが、投資家サイドでもどの会社に投資資金を預けるかを慎重に選んでいくことが大切だ。
【参考記事】関東財務局『ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について』
【参考記事】関東財務局『エーアイトラスト株式会社に対する行政処分について』
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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