国連安全保障理事会の専門家パネルが3月12日に公表した報告書の中で、北朝鮮が2017から2018年にかけて仮想通貨交換業者へのサイバー攻撃を複数行い、推計5億7,100万米ドル(約637億円)超を盗み出したことが報告されている。各紙が報じている。
本報告書では、北朝鮮が2017年1月から2018年9月にかけて、日本や韓国などのアジアの仮想通貨交換業者に対して少なくとも5回の攻撃を成功させていたことが報告されている。その中には、2018年1月当時、約580億円相当のハッキング被害を受けたコインチェックの仮想通貨NEM流出事件も含まれているという。
北朝鮮は2017年12月から前年輸出実績約18億米ドルの9割を禁輸対象にされるという厳しい制裁が課せられたが、制裁で失った4割前後の外貨収入をサイバー攻撃で獲得していたことが明らかとなった。安保理は北朝鮮に対して追加の金融制裁を検討し、加盟国にはサイバー攻撃に関する対策強化を呼びかけている。
仮想通貨やブロックチェーン技術はその利便性・拡張性から、広い分野での活用が期待され、社会を次の段階へとステップアップさせる力があると言われている。一方で、残念ながらその技術を悪用しようと考える人々もいる。
仮想通貨は国境を超えた送金を瞬時に手軽に行うことができ、ブロックチェーンはその全ての記録をほとんど改ざんされる恐れなく維持し続けた上で透明性を担保することができる。こうした夢のような技術は、利便性の一方で、資金が誰のものなのかを厳密に把握することはできない特徴をもっており、これらがマネーロンダリングに利用される可能性は否定できない。ハッキングとその対策は、守りと攻めのイタチごっこと言われるが、それでも世界共通のルール作りは不可欠であることに違いはない。
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立花 佑
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